シュガーマン 奇跡に愛された男 Searching for Sugerman

●「シュガーマン 奇跡に愛された男 Searching for Sugerman」
2012 スウェーデン/イギリス Red Box Films,Passion Pictures.90min.
監督・製作・撮影・編集:マリク・ベンジェルール
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<2012年度アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
昨年のオスカー、長編ドキュメンタリー賞を獲得し注目された作品。WOWOWのオスカー
週間に放映され録画していたものを鑑賞。短編映画なんかもそうだけど、この手の作品を
いながらにして見られるというのはありがたい。

アメリカではまったくの無名だったロドリゲスというミュージシャンの歌う曲は何故かアパルトヘイトが
吹き荒れる南アフリカに渡り、放送禁止歌になったりしたが大ヒットを連発することになり
伝説のスーパースターになった。しかし、その後舞台上で短銃自殺した、という噂を最後に
忽然と消えてしまった。その謎を本作のすべてを担当したマリク・ベンジェルールが丹念に
明かしていく。 

ネタバレになりますので、ここからは了解してお読みください。
結局、人間ドキュメンタリーでありながら、優れた謎解き作品であり、なおかつ、遂に居場所を
突き止めたロドリゲスという人物のキャラクターが素晴らしく、観ている人に「人生」を
感じさせるのだ。 アメリカでは全くの無名(私も当然知らなかった)の歌手が、何が縁なのか
南アフリカで反アパルトヘイトを象徴する歌・歌手として絶賛されていた・・(コンサートなどは
開かれておらず、単にレコードだけでのこと)。
マンデラの登場後、アパルトヘイトを辞めた南アフリカに、ロドリゲスは渡り、コンサートを
何本か開くのだが、すべてソールドアウト。戸惑い気味に歌う彼に聴衆は大熱狂するのだ。

彼の歌は確かに歌詞がユニークで独特。メロディーラインもいいものもあるが、びっくりする
ような名曲があるとは思えないが、その歌われた精神が当時の南アフリカではピッタリだった
のだろう。50万枚から100万枚は売れたであろうといわれる彼の2枚のLPだが、印税は
入ってない。

マリクは、ロドリゲスのアメリカのファンとともに、彼のその後を追う。なかなか難しかったが
歌詞の中に出てくるデトロイト郊外の街にヒントを得て、さらに探すと、ロドリゲスは今も
元気に生きていた。彼はお金や物に執着が無く、今でも家の解体や修理に仕事を得て
喰っているのだった。結婚して家族もある。40年間、デトロイト郊外から動いてないよ、
というのだった。彼から聞く話では、当時のレコードプロデューサーなどのファンから居場所を
突き止められ、その後南アでコンサートを開くのだが、その売り上げも家族や仲間に
分けてしまっていたのだ。

85分の作品は彼の音楽と、関係者のインタビューを中心に構成されるが、白眉は家族がビデオを
回した南アでのコンサートの模様の映像だ。

ある国では全くのそこいら辺のおじさんが、南アでは何万人ものホールを満員札止めにする
スーパースター。その落差。彼なりに一生懸命生きてきた人生が、別の人々に大きな影響を
与える。人生、捨てたものではない、どこで何があるか分からないのだ。そんなことを考え
されられた。しかもロドリゲス自体は昔となんらぶれていない。そこもこの映画の質を高めて
いると感じた。かっこいい男とはロドリゲスのような男のことなんだろう。久し振りに質の高い
ドキュメンタリーを観た。
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<プロダクションノート&ストーリー>
アメリカでは成功を収められなかったものの、南アフリカでは数々の著名ミュージシャンと
肩を並べる歌手シクスト・ロドリゲスに迫るドキュメンタリー。
彼の楽曲が世代を超えて支持される理由、また、自殺したとの都市伝説が残る彼の消息に
迫る。サンダンス映画祭ほか世界中の映画祭で上映されるや、話題を呼んだ一作だ。

1968年、ミシガン州デトロイトの場末のバーで、ロドリゲスという男が歌っていた。その姿が
大物プロデューサーの目にとまり、満を持してデビューアルバム『Cold Fact』をリリースする。
しかし将来を渇望されるも、2枚目のアルバムも含めて商業的には大失敗に終わる。

多くのミュージシャン同様、ロドリゲスも誰の記憶にも残らず、跡形もなく消え去った。
しかし運命に導かれるように海を越えた音源は、反アパルトヘイトへの機運が盛り上がる
南アフリカの地へ渡る。ロドリゲスの音楽は体制を変えようとする若者たちの胸に突き刺さり、
革命のシンボルとなった。
その後、南アフリカでは、20年に渡って幅広い世代に支持され続け、ローリング・ストーンズや
ボブ・ディランより有名なアルバムとなる。しかし、ロドリゲスがその後どうなったのかを、誰も
知らなかった。残されたのは、失意のうちにステージで自殺したという都市伝説だけ。
アメリカで無視されたロドリゲスの音楽は、なぜ同時代の南アフリカで熱狂的に受け入れられた
のか? ロドリゲスはどこへ行ってしまったのか? 南アフリカの熱狂的ファンがロドリゲスの
運命を探る調査を始めると、そこには驚くべき真実があった……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
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Commented by ETCマンツーマン英会話 at 2014-06-09 10:42 x
『Searching For Sugar Man』見ました。

>彼なりに一生懸命生きてきた人生が、別の人々に大きな影響を
与える。

おっしゃるとおりですね。言葉少ないロドリゲスと、幸せそうに語る娘さんたちの笑顔がとても印象に残りました。

素晴らしい作品との出会いに感謝です。
Commented by jazzyoba0083 at 2014-06-10 13:10
ETCマンツーマン英会話さん
コメ、ありがとうございます。この映画、謎解きと人生の不思議さが味わえるいい映画だと思いました。 人生の幸せはお金ではないところにある、ということも証明していましたね。
Commented by ETCマンツーマン英会話 at 2014-06-10 18:37 x
jazzyoba0083さん、お返事有難うございました。実はこの映画を監督したマリク・ベンジェルールさんが先月5月13日に自殺していたことを先ほど知りました。生き続けることの大切さを教えてくれた映画だったこともあり、とても残念です。
by jazzyoba0083 | 2014-03-19 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(3)