2014年 04月 21日
華麗なるギャツビー('12) The Great Gatsby
2012 アメリカ Warner Bros., Village Roadshow Pictures.142min.
監督・脚本:バズ・ラーマン
出演:レイナルド・ディカプリオ、トビー・マクガイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン他
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
原作も読んだし、ロバート・レッドフォード版も観ている。しかし、本作は1920年代のアメリカの
雰囲気をCGも多用して表現。衣装やセットも凝っていて、プロダクションデザインとしては
良かったと思う。しかし、ジャズエイジだったりフラッパーの世の中の雰囲気は今ひとつな
感じもあった。個人的には、身も蓋もないのだが、原作より本作の方がストーリーが伝わってきた。
ディカプリオのギャツビーは、レッドフォードより原作の雰囲気に合っていたと思う。トビーもまた。
デイジーのキャリー・マリガン、綺麗な女優さんで儚げな雰囲気はいいのだが、顔が現代的な
面、ミワ・ファーローのレッドフォード版の方が、フラッパーな感じが出ていたのではないか。
第一次世界大戦が終わり、禁酒法時代、狂乱の株高、ある種のバブル、ここから29年の
ブラックマンデーまでの世の中の雰囲気を背景に、謎の男、ギャツビーという男の生き様が
隣に住むようになった証券会社社員、ニック・キャラウェイ(トビー)によって語られていく。
本作は原作に充実に話が進んでいく。本を読むより明解にギャツビーの出自と現在に至る
までの「危ない稼業」に手を染めつつ巨額の富を獲得した様が映像で語られ、分かり易い。
本当は貧民の子ギャツビーは、戦争に出て武勲を上げ、あるパーティーでデイジーと出会う。
一目ぼれしたギャツビーは、すべてはデイジーの愛を獲得するため5年間、金を貯めに貯めた。
そして大金持になって、再びデイジーの前に現れるのだが、その時にデイジーはすでにこれも
富豪のトム・ブキャナンと結婚してしまっていたのだ。
ギャツビーはデイジーの心が変わっていないことを確かめ、なんとかトムと別れさせ自分と
結婚する方策を練っていた。トムはトムで、デイジーという妻がありながら、自動車整備工の
妻と不倫関係ももっていたのだった。 果たしてギャツビーはデイジーを再び自分の元に
連れ戻すことが出来るのか、というところが映画のハイライトになるわけだ。
結局デイジーの口からは「トムも愛していたし、ギャツビーも愛している」「過去は取り戻せない」
とギャツビーとの距離を置くようになる。しかしギャツビーは「過去は取り戻せる」と譲らない。
そこから事件は起きるのだが・・・。
男の未練と、女の割り切り。原作者フィッツジェラルドの個性・人生の投影のように見えた。
あの時代のスノッブ的な演出はレッドフォード版の方が上手く出いてたかな。ただ、一見
強そうに見えるギャツビーの、実は孤独で寂しがり屋の側面をディカプリオは好演していたと
思う。ちょっと美術がゴテゴテ過ぎたかなあ、という恨みも残った。また、ニックはギャツビーの
自伝的小説を書くのだが、最後のギャツビーとタイトルをタイプし、直後に、ペンで
The Greatと書き入れるところもいい演出だった。黄色いデューセンバーグは綺麗なクルマだった。
あの時代をよく表しているガジェットだ。
<プロダクションノート&ストーリー>
F・スコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャツビー」を『ムーラン・ルージュ』の
バズ・ラーマン監督が、レオナルド・ディカプリオを主演に迎え、独自の解釈で映画化した
ラブストーリー。
ある日突然、人々の前に現れたミステリアスな大富豪ギャツビーの知られざる過去と、
上流階級の女性との禁じられた愛が描かれる。
ニューヨークの郊外、ロングアイランドのウェストエッグにあるその大邸宅では毎夜、
豪華絢爛な饗宴が繰り広げられていた。近隣から、ニューヨークから着飾った大勢の
男女が訪れ、軽快な音楽に合せてダンスを踊り、シャンペンが何本も抜かれ、何人もの
コックが大量のご馳走を作り、給仕達が忙しく、大広間、芝生の庭、プールの回りを
駆け回っていた。
ニック・キャラウエイはある夜その喧騒が静まった静寂の中、じっと佇み、海の向こうの
緑色のランプを見つめる男を見かける。その男はギャツビー、かつての恋人デイジーに
再会するために盛大なパーテイを毎夜繰り返していた。
数年前、大富豪の娘であるデイジーと軍人のギャツビーは愛し合うようになるが、
ギャツビーは戦場に行き、帰ってきても無一文の貧乏青年。デイジーはギャツビーをあきらめ、
大金持ちのトム・ブキャナンと結婚してしまう。1920年代の繁栄するアメリカの中でギャツビー
は成功を納め巨万の富みを得て、デイジーの愛を取り戻そうとする。
ギャツビーはニック・キャラウエイの手助けによりデイジーとの再会を果たす。夫への愛が
冷めていたデイジーも過去の愛を思い起こしていく。デイジーの愛を再度得たギャツビーは
トムと別れることを望むが、デイジーは決心がつかず、ギャツビーとトムの口論に取り乱し、
部屋を飛び出す。後を追うギャツビー。その帰り道に事故が起きる。愛のため自分を犠牲に
することを厭わないギャツビーだったが、悲劇は事故だけでは終わらず、思わぬ方向へと
展開していく。果たしてギャツビーの思いは遂げられるのだろうか。(wikipedia)
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レッドフォード版鑑賞時の感想はこちらをご一読ください。