天使の分け前 The Angels' Share

●「天使の分け前 The Angels' Share」
2012 イギリス・フランス・ベルギー・イタリア  101min.
監督:ケン・ローチ 
出演:ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショウ、ガリー・メイトライド、ウィリアム・ルアン、ジャスミン・リギンズ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
スコットランドを舞台にしたウィスキーと青年の映画、というからサクセスストーリーかと
思ったらさに非ず。でも、物語の組み立てが上手く(脚本がいい)、あまり期待して観て
いなかったのだが、とても面白い映画でした。カンヌの審査員特別賞受賞はだてではない。

グラスゴーやスコットランドの空は相変わらずのイギリス映画で、曇り空。そうした気候は
この前観たIRAものでもそうだが、イギリスっぽいニュアンスを与えるのだな。
悪さばかりしている青年ロビーが、社会奉仕担当の男性ハリーにウィスキーを嗜む
面白さを教わり、生来の鼻の良さが活きて、一仕事やらかした後、更生の道を踏み出すという
お話。その間、仲間たちとのやりとり、父親となった彼に対してのガールフレンド、レオニーとの
こと、幻のスコッチをめぐる一大事などがトピックスとして積み重ねられ、観ていて飽きない。

本能的に切れてしまう性格なのか自分をコントロールできないロビーが、次第に丸くなるのだが
結局ハッピーエンドになるところに若干の強引さは感じたが、欠点はそれだけ。あと敵対して
いたグループとはどうなったのかな。

奇跡のモルトのオークション会場にケルト衣装を着けて登場し、樽からこっそり4本分の
モルトを盗み出すことに成功。抜いた分をほかのウイスキーで補っておいた。本チャンの
オークションでは115万ポンドだったかな、で落札されたが、最後まで競り合っていた
アメリカのウイスキーコレクターに抜き取ったモルト4本を20万ポンドで売る話を成立させた
のだ。
しかし、帰り道、仲間のワルたちがはしゃいでいるうちに2本を割ってしまう。希少価値が増した
じゃないかと云い逃れる張本人にインスパイアされたロビーは、後日あったコレクターに10万
ポンドで売りつけることに成功。しかも1本だけ。一人25000ポンドの分け前であった。(邦貨にして
430万円くらいかな)

ロビーはコレクターにウィスキーを売る条件としてウィスキー製造会社に就職できるようにして
もらう、ということを付けておいたのだが、これにも成功し、幼子と一緒にまともな暮らしの
道を歩みだすことに成功した。
そして、彼は奇跡のウイスキーの最後の一本を、更生係として世話を焼き、スコッチの製造所の
見学を身銭を切ってやってくれて、ロビーにウイスキーの道を教えてくれたハリーにプレゼント
したのだった。メモには「天使の分け前」と書かれていた。
天使の分け前とは、樽の中でウィスキーは毎年2%ずつ蒸発していくのだが、それを「天使の
分け前」と云っていたのだ。そのシャレ。普通のビンに入っていた幻のウィスキーを口にして
驚くハリーであった。

知っている俳優さんがいるわけでもない作品だが、脚本の巧さ、意外性、そしてカタルシスと
映画の面白さが揃っている佳作である。まあ悪いことをしたのだけれど、観た後が清々しい
作品であった。
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<プロダクションノート&ストーリー>
「麦の穂をゆらす風」で第59回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを獲得したケン・ローチ監督が、
トラブルばかり起こす青年がウイスキーと出会ったことにより成長していく様を描いたヒューマン・
コメディ。
“天使の分け前”とは、ウイスキーが熟成する過程で年2%ずつ減っていくその減少分を指す
言葉。本作でデビューを果たしたポール・ブラニガン、「エリックを探して」のジョン・ヘンショウ、
「クィーン」のロジャー・アラム、「明日へのチケット」のガリー・メイトランドらが出演。
脚本は「SWEET SIXTEEN」や「麦の穂をゆらす風」などケン・ローチ監督と数々の作品で
タッグを組んできたポール・ラヴァティ。第65回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作品。(Movie Walker)

「ケス」「麦の穂をゆらす風」の名匠ケン・ローチ監督が、荒んだ環境に生まれ育ったスコット
ランドの若者を主人公に描く感動のハートフル・コメディ。
暴力に明け暮れた先の見えない生活を送る青年が、ウイスキーが取り持つかけがえのない
出会いをきっかけに初めての希望を見出すさまと、仲間たちと挑む人生の一発逆転を賭けた
一世一代の大勝負の行方を、スコッチウイスキーの奥深い世界とともにユーモラスかつ痛快に
描き出す。主演は本作のリサーチ中に見出されたという新人、ポール・ブラニガン。
 
長引く不況で若者たちの多くが仕事にあぶれるスコットランドの中心都市グラスゴー。
教育もままならない環境に育ち、親の代から続く敵対勢力との凄惨な抗争が日常と化した
日々を送る青年ロビー。
恋人の妊娠が判明し、心を入れ替えようとした矢先に再び暴力事件を起こしてしまい、
裁判所から300時間の社会奉仕活動を命じられる。そこで彼が出会ったのは、同じく
社会奉仕を命じられた男女3人の若者と、彼らの指導にあたるウイスキー愛好家の中年男
ハリーだった。ロビーはやがて、親身に接してくれるハリーからウイスキーの奥深さを学び、
興味を持つようになる。そして、ひょんなことから“テイスティング”の才能に目覚めるロビー
だったが…。」(allcinema)

この映画の詳細はこちらまで。
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by jazzyoba0083 | 2014-07-08 23:15 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)