バージニア その町の秘密 Virginia

●「バージニア その町の秘密 Virginia」
2010 アメリカ Killer Films,TicTock Studios.111min.
監督:ダスティン・ランス・ブラック  製作総指揮:ガス・ヴァン・サント
出演:ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、エマ・ロバーツ、ハリソン・ギルバートソン、エイミー・マディガン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
日本未公開作品を「ジャパン・プレミアム」と称して放送しているWOWOWにて鑑賞。
EPにガス・ヴァン・サントの名前が入っているが、彼っぽい異様な雰囲気がただよう。
切ない母親の愛情と若い息子のひたむきな恋愛、というところを異常な環境下で描く。

主役バージニア(ジェニファー)は、統合失調症の上に(その割には結構まともだったりする)
肺がんを患っていて、まともな終わり方ではないな、という予感はすぐにするだろう。
それと冒頭の映像がラストシークエンスとつながっていて、なるほど、というオチになっている。
「お前はよくやったよ」と幼いころに入っていた幼児病院の黒人の介護士の肩に頭を
預けて眠りにつくシーンが哀しい。精神や肉体状態はどうであれ、子供を守ろうとする
女性の強さ、なのだろう。

バージニアは上院議員候補の保安官リチャードと長年の愛人関係にあり、それは息子の
エメットも分かっていた。リチャードは変態的な性愛の持ち主であったし、母もそれを受け
入れていた。エメットとリチャードの娘ジェシーは恋人同士だが、最初宗教が違うからデート
も出来ないと頑なだったが、次第にそんなことはどうでも良くなっていく。

エメットはリチャードが自分の父親と云われてきたのだが、耳の形の話から自分が彼の
子供ではないことを確信する。
そして上院議員に立候補することになったリチャードが疎遠になりはじめたことから、
バージニアは腹に詰め物をして、自分はリチャードの子供を妊娠した、と言いふらして歩く。
さらに、エメットとこの街を出て、サンフランシスコに行くことを決意したものの、銀行は金を
貸さず、バージニアはエメットがリチャードからかっぱらってきた銃を手にゴリラのお面を
被って銀行に強盗に入る。そんなものすぐに見破られ、ほうほうの体で逃げ出すのだった。

一方、エメットとジェシーはアトランティックシティに行って結婚し、はやりこの街を出ようと
する。そのために遊園地のチケット売り場に、母親が銀行強盗をした格好をして、仲間と
押し入る。しかし、仲間が撃たれてしまい、エメットは自宅に駆け込み身を隠す。事態を
理解したバージニアは、自分が強盗したことにして、エメットを、たまたま来ていたモルモン
教の勧誘員の青年の服を着せて、二人とも人質ということで外に出す。
リチャードらの警察はこの前の強盗と同じ服を着ていたことからまたバージニアがやったと
確信していて、バージニアが一発中を撃つと、一斉射撃となった。当然、バージニアは
即死。
その場を逃げ出したエメットは父親のパトカーを盗んできたジェシーと、とりあえずパトカーで
街を出て行った。バージニアの亡骸はリチャードに抱かれてパトカーに乗せられた。
そこからはバージニアの夢の世界、冒頭のシーンへと回帰していく。冒頭ではバージニアは
生きていたのだが、結果、こういうことになったのだな、という纏め方なのである。
ところで、リチャードの妻は、彼が不在中に彼の変態趣味とバージニアとの付き合いを知って
しまい、自殺を試みるが、やりきれず、エメットの元に去る娘ジェシーに金を渡して、街を
出なさいという。さらに夫の変態趣味の道具の数々を庭に飾り付け、やがてやってくるで
あろうマスコミを待つ(つまりリチャードの身の破滅)のであった・・・。

まあ、なんちゅーか、救いといえばエメットとジェシーの未来だけで、暗澹とした雰囲気が
漂う(ジェニファーの精神もまともじゃないし、エド・ハリスは権力志向の変態だし)作品
だったが、バージニアは結局どうなるのか、知りたくて最後まで観てしまった。万人が
好む映画ではないが、独特の味を持った作品であり、単館系のちょっと斜に構えた映画が
お好きな人には結構ハマるかもしれない。 ジェニファーもエド・ハリスも良かった。
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by jazzyoba0083 | 2014-07-07 23:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)