シャドー・ダンサー Shadow Dancer

●「シャドー・ダンサー Shadow Dancer」
2011 アイルランド・イギリス BBC Films,Element Pictures.101min.
監督:ジェームズ・マーシュ  原作:トム・ブラッドビー(脚本も) 『哀しみの密告者』(扶桑社刊)
出演:アンドレア・ライズブロー、クライヴ・オーウェン、ジリアン・アンダーソン、ブリッド・ブレナン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
IRAもの。アメリカではベトナムもの、最近ではイラク・アフガンもの、が国家民族のトラウマ
として描かれる作品が見られる。日本人にはなかなか理解しずらいジャンルであるが、
特にIRAは、同じキリスト教をベースにした長年の民族抗争があり、一般にイギリス、と
言われる国家の中の不幸な歴史は特にわかりづらいものがある。

本作はそうしたアイルランド紛争を舞台にしたスパイ、サスペンスものだが、終わり方が
なんともやりきれないというか、悪女を描き切ったというか、ある意味衝撃的であったが
私の好みではなかった。クライブ・オーウェン、可哀想すぎ!

幼い時、紛争の中でお使いを弟に任せたことで、殺されてしまうというトラウマがあり、
IRA運動に身を投じる。一家は全員闘士だった。(弟はあとで味方の流れ弾に
当たって死んだことが分かるのだが)

しかし、映画の冒頭で描かれるように、地下鉄に爆弾を仕掛け、監視カメラの映像から
マークされていた主人公コレットは逮捕される。(しかし、爆弾は破裂しないようにされていた
から、コレット自身、罪のない人を傷つけるのを好まなかったのかもしれない。これが後々の
エンディングでの矛盾点になってしまうのだが)
コレットはロンドンのMI5のエージェント、マック(クライブ)から、IRAのスパイになって
情報を流せば刑務所送りは許そう、息子と会えなくなるのは耐えられないだろう、と持ちか
けられ、情報屋を引き受ける。

IRAによる刑事殺しの捜査の情報を警察に流したことから、コレットにも疑いの目が
向けられる。 コレットは自分に惹かれ始めているマックと情報交換の場でキスを交わす。
これがマックをあざむく作戦だったのだ。恐ろしいねえ、コレット。

捜査の過程の中で、コレットともう一人情報屋がいることを突き止めるが、なんとその人物は
コレットの母親だったのだ。自分の家族を守ろうとするコレットたちは、マックのクルマに
爆弾を仕掛け、彼を殺害してしまう。秘密を抱えて死んでしまったマックこそいい面の皮。

IRA内部の子を思う母親二人のそれぞれの組織と警察との駆け引きが、我が子を守る、と
いう一点に置いて、彼女らの覚悟を決めさせていくわけで、現実にマックを爆殺したコレットの
非情なほどの愛情がむしろ恐ろしい・・。

コレットが着る真っ赤はコートが、イギリス映画の常としてどんよりと曇ったダブリンの光景の
中で映えていて、彼女の決心の強さを表現しているように思えた。
アイルランド紛争の背景説明などは一切されないので、なんだかよく分からん、という
人もいるだろう。日本人には苦手なジャンルの映画かもしれない。
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<プロダクションノート&ストーリー>
「1990年代のアイルランド共和軍とイギリス諜報局保安部の闘いを、スパイとなった若い
母親の目を通して描くサスペンス。監督は、「マン・オン・ワイヤー」のジェームス・マーシュ。
出演は、「ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋」のアンドレア・ライズブロー。
2012年ディナール英国映画祭最優秀作品賞受賞。

1970年代の北アイルランド。幼いころに弟を失い、IRA(アイルランド共和軍)としての
活動が日常である家族と暮らしてきたコレット・マクビー(アンドレア・ライズブロー)は、
IRAに身を捧げていく。1993年ロンドンでの爆破未遂事件の容疑者として逮捕された
彼女は、IRAと敵対するMI5(イギリス諜報局保安部)の捜査官マック(クライヴ・オーウェン)
から、究極の選択を迫られる。それは、スパイとして家族を欺くか、幼い息子を残し拘留
されるか、というものだった。
コレットは息子との生活を選び、IRAの厳しい目に追い詰められながら、2つの組織の間で
揺れ続ける。一方、MI5の情報源としてコレット以外にもスパイがいるのではないかと疑い
始めたマックは、上司ケイト・フレッチャー(ジリアン・アンダーソン)が隠している
“シャドー・ダンサー”の秘密に迫っていく。
コレットは、IRA内のスパイへの追及に追い込まれていく。そして“シャドー・ダンサー”の
秘密が暴かれると、マック、コレットと家族の運命も左右されることになる……。」(Movie Walker)


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by jazzyoba0083 | 2014-07-06 22:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)