ギフト The Gift

●「ギフト The Gift」
2000 アメリカ Lakeshore Entertainment,Alphaville,Paramount Classics.111min.
監督:サム・ライミ
出演:ケイト・ブランシェット、ジョヴァンニ・リビシ、キアヌ・リーヴス、ケイティ・ホームズ、グレッグ・キニア、
    ヒラリー・スワンク他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
デビュー作が「死霊のはらわた」のサム・ライミ(私にとっては「スパイダー・マン」だけど)だけあり
サスペンスというより、ホラーに近い作品だ。しかし、オスカー女優が並んで脇もしっかりした配役の
おかげもあり、また脚本がただの「驚かせ」に終始していないので、深みのあるホラー・サスペンスに
仕上がった。そのあたりライミ監督の手腕だろう。

個人的にはホラーってあまり見ないし、急に大きな音が出たり、目の前に何かが落ちてきたりという
古典的な「お化け屋敷的」な演出は好きでない。本作でそういう古典的な脅しはそこかしこに見られる
が、「ほれ、怖いだろう」そうろうの作りではなく、「人は見かけではない」という至極分かりやすい
人間的テーマがホラーから浮かび上がってくる構造となっていて、裁判シーンも挿入され、犯人捜し
はそう難しくないし、面白く鑑賞できた。

ブランシェットの抑えた演技は安定感があるが、みなさん書かれている通り、「絶対何かあるな」的
存在の自動車修理工を演じたジョヴァンニ・リビシが全体を締めていた。彼はいい映画の脇を与え
られているなあと思った。キアヌはまあ、あんなものかな。憎まれ役が嵌っていたんじゃないか。
無実となって出てきてどうしたか知りたいところではあったが。 一番気になったのは旦那が亡く
なって1年、小さな子供3人を抱えた女性霊能者が4人だけで暮らすかなあ、という点。
いろいろ見えてしまう母の元では子供が危ないんじゃないかなと。

ブランシェットの霊能者が完全ではない、どこか頼りなさげなところも本作に深みを与えていた
気がする。鉱山の事故で死んでしまう旦那を、危ないという信号を受け取りつつ仕事に出かける
旦那を止められなかったトラウマを持ったりして。裁判で追い込まれても感情的になって声を
荒げたりしない性格の女性。
しかし、怖いことがいろいろ見えてしまうのは大変だろうなあ、と同情してしまうなあ。

登場してくる人物はほとんど普通ではない。(ブランシェットの子供を除いて。保安官もまあまともな
ほうかな) 霊能者アニー、相談にやってくる自動車修理工バディ、(父親を焼き殺そうとする。
幼い時に父から性的暴力を受けていたっぽい)、旦那にDVされているヴァレリー(スワンク)、
その旦那で、アニーを魔女呼ばわりし、ジェシカ殺しで有罪になるドニー(リーヴス)、
アニーの長男の担当教諭で、結局の真犯人であるウェイン、ウェインの婚約者だが淫乱で
半裸クサリ巻で殺されてしまうジェシカ(ホームズ)、彼女はドニーを有罪にする裁判の検事とも
性的関係を持っていた。どこか一目では善人なのか悪人なのか分からないようなキャラクター
ばかりが揃い、観ている人の疑いの目をかく乱する仕組み。
霊能者アニーが自らも危険な目にあいながら真犯人と対峙していくのだが、ラストは
「シックス・センス」的は終わり方であった。
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<ストーリー>
「ジョージア州の小さな町に住む未亡人の占い師アニー(ケイト・ブランシェット)は、人の
運命を見抜く特殊な能力の持ち主。夫婦仲に悩むヴァレリー(ヒラリー・スワンク)にも助言
するが、その暴力的な夫ドニー(キアヌ・リーヴス)には魔女扱いされている。
ある日、息子の教師ウェイン(グレッグ・キニア)と婚約者ジェシカ(ケイティ・ホームズ)の
結婚の行方を占うのだが、彼女はそこに恐ろしい幻想を見てしまう。

数日後、ジェシカが失踪。やがて死亡が判明。事件解明のため保安官に協力を要請された
アニーは、占いでドニーを容疑者として浮かび上がらせ、裁判で彼は有罪に。だが真犯人は、
実はウェインだった。アニーは事件のあった池のそばでウェインに襲われかけるが、そこを
精神が病んでいるもののアニーを慕っている車の修理工バディ(ジョヴァンニ・リビシー)が
助けてくれる。しかしバディはその前に自殺しており、助けてくれたのは彼の霊魂なのだった。」
(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2014-08-06 23:15 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)