クロエの祈り Inch'Allah

●「クロエの祈り Inch'Allah」
2012 カナダ・フランス micro_scope 102min.
監督・脚本:アナイス・バルボ=ラヴァレット
出演:エヴリーヌ・ブロシュ、サブリナ・ウアザニ、シヴァン・レヴィ、ユーセフ・スェイド、ヨアヴ・ドナット他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
タイトルの原題は「インシャラー」という有名なアラブの言葉。「すべては神の思し召しのまま」と
言うほどの意味で、ここに作品の中のある種の決意と諦観がある。
しかし、タイムリーなときに観た。時あたかもイスラエルとパレスチナの争いが酷さを増している
時。そうした中でこの手の映画を見る意義はあろうと思うが、はやり、とことん根深い宗教戦争は
当事者でなければ、1つ1つのセリフさえ重みが欠るような気がするのだ。

それにしても、やるせない物語だ。現実がそれ以上なのだからいたしかたないのだし、
ハッピーエンドになんかなるわけもないと分かっていても、どこか主人公の半径5メートル位に
幸せが訪れてくれないか、と願うのだが、そんな甘っちょろい状況ではないのだ。

クロエとはカナダからイスラエル来て、イスラエルに住みつつ、パレスチナに通う医師だ。
彼女なりに悲惨な戦争で傷つく人や、医療を満足に受けられないパレスチナ人たちを
ケアしようとするし、心も通い始めるのだが、結局「国に帰りなさいよ」と言われるのだ。
底に住み続けなくてはいけない人と、帰ろうと思えばその地を離れられる人では、思いは
違うのだ、ということの現実を思い切りぶつけられ、悄然とするクロエ。
やるせない・・・。自分は一生懸命現地の人の為、と必死で努力もし、心を開いているのに。
悲しい・・。それが、2000年以上も相容れない歴史を持つアラブとユダヤの絶対的な
キーのない鍵なのだから・・・。 見終わって重い想いが残る厳しい映画だが、それがまた
この地の現実なのだ。

なお、この映画は日本劇場未公開でDVDにもなっていない。WOWOWで鑑賞した。
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<ストーリー>
「カナダ人の女性産婦人科医クロエは赤十字のボランティアとしてイスラエルで暮らし
ながらパレスチナの診療所で働いている。
日々繰り返されるイスラエル軍によるパレスチナの人々に対する弾圧に辟易としながらも、
クロエは患者の妊婦ランドやその家族と親しくなる。しかし、ランドたちと親しくなればなるほど、
クロエは「外国人=部外者」である自分と彼らとの間に距離があることを感じる。

そんな中、急に産気づいたランドが乗った車が軍の検問に阻まれて病院に辿り着けない
事態が発生する。ランドの兄ファイサルの必死の願いも検問の兵士には届かず、それに
強く抗議したクロエも銃を向けられる。仕方なくクロエは車の中で何とかランドの赤ん坊を
取り上げ、病院に連れて行こうとするが、その途中で赤ん坊は亡くなる。
これをきっかけにクロエとランドの関係はぎくしゃくし、ランドはクロエに「国に帰れ」との
言葉をぶつける。しばらくしてクロエはランドが自爆テロを起こして死んだことを知る。」
(wikipedia)

ランドの自爆テロは、彼女が赤ん坊を失ったことをきっかけとした彼女なりの結論だった。
「インシャラー」、全ては神の思し召しのままに・・・。前が見えない絶望の中で、死んで
赤ん坊と出会うこと、そういう状況を作ったシオニストらへの復讐の重いが凝縮されていた。

この映画の詳細はこちらのwikipediaまで。
by jazzyoba0083 | 2014-08-20 22:55 | 洋画=か行 | Comments(0)