プレイス・ビハインド・ザ・パイン~宿命/The Place Behind the Pines

●「プレイス・ビハインド・ザ・パインズ/宿命 The Place Behind the Pines」
2012 アメリカ Sidney Kimmel Entertainment,Electric City Entertainment.140min.
監督・原案・脚本:デレク・シアンフランス
出演:ライアン・ゴスリング、ブラッドリー・クーパー、エヴァ・メンデス、レイ・リオッタ、デイン・デハーン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
面白かった。お勧めしたい映画だ。公開した時は地味だったのだろう、気が付かなかったなあ。
出ている俳優さんたちも凄いのに。WOWOWで鑑賞したのだが、俳優さん目当てという気持ち
からだったが、見始めてみたら、ストーリーがとてもうまく出来ている。どこか、イーストウッドの
「ミスティック・リバー」の雰囲気に似ていたような気がした。

この監督さん、2作目だそうだけど、着想から脚本まで手掛けているわけで、次作が楽しみで
ある。親子2代にドラマなのだが、片やワル、片や警官という組み合わせ。その親子の人生が
交差し、大きなドラマを生んでいくのだが、そのダイナミックさがよく出来ていた。ラストあたりは
ちょっと、急いで終わらせたかな、とう不完全燃焼気味な点もないではなかったが。

個人的に思ったのは「父性のありよう、あるいは欠如から生まれる悲劇」という印象。
ワルから生まれた子供と、そのワルを逮捕時に射殺した警官の子供が同じ学校で友人となる
という「宿命」から、その周りの家族が大変なことになっていくのだが。

父性の描き方は何種類かあって、主人公の一人、ワルのルークと息子のジェイソン、そして
ジェイソンの黒人の義理の父の関係、警官エイヴリーと州裁判所判事の父の関係、さらに
エイヴリーと実の息子AJの関係と、これだけの父子の関係が出来る。ワルの息子はやっぱり
ワルだ、とかルークが射殺されるまえ、息子を思って泣いていたとか、ルークを射殺した
エイヴリーがずっとルーク親子の写真を財布にいれいてた、とか、それを見てジェイソンの考え
が変わるとか、それぞれのありようが描かれていて深い。予断を許さないストーリー展開が
面白い。落としどころは何処に?とワクワクする。交差する人生ドラマの面白さがいい。

どれがいいとか悪いとかじゃなくて、父と子のいろんなありようが多彩に描かれて面白かった。
逆に言えば、ポイントがぼけたと思われる方もいるかもしれない。
出演者はどれもいい。ゴスリングは早めに死んじゃうのだが、結局息子を愛して墓穴を掘る。
正義感溢れる新人警官ブラッドリーは、初めて人を殺し、自分もけがをするが、自分の子と
同い年の赤ちゃんを残した男を殺したことをトラウマとしてずっと心に抱えている。
それぞれに悩みを抱えた父を演じていて良かった。悪徳警官レイ・リオッタはこういう役は
実にハマるなあ。ゴスリングの愛人にしてジェイソンの母エヴァ・メンデスも老け役も含めて
良い。さらに、ジェイソンを演じた今売出し中のデイン・デハーンの狂気が良かった。この人
バットマンといい、クロニクルといい、本作といいエキセントリックな役が似合うのだが、これ
ばっかというのもなあ。顔つきがそうだからキャスティングされるのだろうけど、別の
キャラクターも見てみたい俳優さんだ。

お勧めしたい作品である。
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<プロダクションノート&ストーリー>
数々の映画祭で評判を呼んだ『ブルーバレンタイン』のデレク・シアンフランス監督と
ライアン・ゴズリングが再びタッグを組んで放つクライムドラマ。妻子を養うために強盗を
するバイクレーサーと野心的な警官の物語が、子どもの世代にもわたって描かれる。
警官役には、『世界にひとつのプレイブック』のブラッドリー・クーパー

移動遊園地で命懸けのバイクショーを行い、その日暮らしの生活を送る天才ライダー、
ルーク(ライアン・ゴズリング)。巡業先で、偶然かつての恋人ロミーナ(エヴァ・メンデス)と
出会った彼は、それまでの生活を抜け出し、彼女の住むニューヨーク州スケネクタディに
やってくる。ロミーナが密かに自分の子を生んでいたことを知ったルークは、2人を養うため、
彼のバイクテクニックに目を付けた修理工の誘いに乗り、銀行強盗を行う。
計画は無事に成功し、大金を手にするルーク。その後も強盗を繰り返していた彼は、ある時、
ミスを犯して警察の追跡を受ける。立身出世に野心を燃やす新米警官のエイヴリー
(ブラッドリー・クーパー)はその追跡に加わり、ルークを追い詰めたものの、直接対峙した時に
重大なミスを犯してしまう。誰にも打ち明けられず、自分の過ちを深く恥じ入るが、皮肉にも、
彼はこの一件で周囲から高い評価を受けることに。複雑な思いを抱えたまま出世してゆく
エイヴリー。

それから15年。親同士の過ちが、子どもたちに報いを及ぼすことになる。高校生になった
ルークの息子ジェイソン(デイン・デハーン)とエイヴリーの息子AJ(エモリー・コーエン)は、
何も知らないまま同じ学校に入学。同級生として親しくなるが、やがて父親のルークと
エイヴリーの間に横たわる因果を知ったジェイソンは、湧き上がる復讐心を押さえられ
なくなってゆく。葛藤の末、ジェイソンが取った行動とは……。」(Movie Walker)

以上のサマリーには省略されている点が少しあって、まず、エイヴリーはレイ・リオッタを
首謀者とする警察内の悪徳組織に誘われて、ルークの奪った金をもらってしまうという
ミスを犯すのだが、彼は怪我から証拠品倉庫係に配転され、そこでも証拠品のヤクの
横流しを要求されたりしたことから、検事にたれこむ。困った検事はもみ消そうとするが、
エイヴリーは判事補の席を用意しろ、と脅し、警察から悪徳警官を一掃し、自分は
検事補になり、さらに州の司法長官に立候補するのだ。そのあたりは野心家でかつ
ずるい点もある。加えて、エイヴリーの一人息子は、まともには育っていなくて、これも
まともじゃないジェイソンと薬の取引をしたりして、警察につかまったりしている。
そのころはジェイソンは自分の父を殺したのが友人の父とは知らない。やがてバイク屋を
たずね、真相を知る。そこからジェイソンの復讐劇が始まるのだが、エイヴリーを森の
中に連れて行ったジェイソンは銃を向けるが、奪った財布から自分が赤ちゃんの時の
写真が出てきて、エイヴリーがずっと彼らを気にしていたことを知り、その場から消える。
そしてエイヴリーは州の司法長官に当選するのだ。どうやら息子のAJも、父の立場を
理解し始めたような顔つきだった。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-09-01 23:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)