パララックス・ビュー The Parallax View

●「パララックス・ビュー The Parallax View」
1974 アメリカ Doubleday Productions,Gus,Harbor Productions.103min.
監督・製作:アラン・J・パクラ
出演:ウォーレン・ベイティ、ウィリアム・ダニエルズ、ヒューム・クローニン、ステイシー・キーチ.Sr他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
社会派、パクラが今から40年近く前に製作した、ポリティカル・サスペンス。
パクラはジェーン・フォンダが主演女優賞を獲得した「コール・ガール」('71)があるが
本人はオスカーとは無縁だったんだな。98年に交通事故で亡くなってからもう15年
近くにもなるんだ。60歳だったから、元気ならまだまだいい作品が撮れたのに、残念。
監督としては15作しか作ってないが、「ソフィーの選択」は格別な印象がある。

そのパクラの監督3作目の作品。やはり時代を感じてしまうが、ニュープリントなのか
WOWOWで観た映像はとても綺麗だった。
ハッピーエンドでないところがいかにもパクラらしいが、ケネディもキング牧師も暗殺された
あとの映画としては、大統領候補の警備が偉く甘いんだが、当時はそんなものだったのか。
不良新聞記者がある主人公が大統領候補暗殺の闇を追いながら、さらに起きてしまう大統領
候補暗殺の犯人にされてしまう、という国家なのか、マフィアなのか、分からない組織の存在が
不気味に描かれる。タイトルに謳われているパララックス社という暗殺者の集団のような
ものの背後には何があるのか、最後まで明かされない。
背後にはJFKの謎が色濃くあるのではないか、と個人的には思った。
国家や、マフィアという普段の生活からはあまり見えない力の闇の部分の恐ろしさを
映画というエンタテインメントとして描いている。逆光を使ったり、俯瞰を使ったり、洗脳の
カットバック(やややりすぎで、だれ気味なのと見ている人が洗脳されそうになるよ)とか、
撮影が素晴らしい。冒頭に出てくるシアトルタワー屋上の乱闘シーンは、ビビったな。
全体として荒っぽい作りとなっていて、スタイリッシュになっていないのが逆にいい。またシーン
展開が多彩であるため、映像的にも飽きなかった。

ウォーレン・ベイティが若すぎて、最初誰だか分かんなかったよ。
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<ストーリー>
シアトルの万博会場跡にそびえる宇宙塔の展望ルームで、次期大統領候補と目されるキャロル
上院議員が兇弾に倒れた。この事件の調査委員会は狂信的愛国者の単独犯行であると発表し、
そのまま事件は忘れさられた。
3年後、ロサンゼルスの地方紙の新聞記者ジョー・フラディ(ウォーレン・ベイティ)の下宿に
女性ジャーナリストで恋人でもあったリー・カーター(ポーラ・プレンティス)が訪問した。
彼女は、キャロル上院議員が暗殺されたときすぐそばにいた20人近い人間の一人だったが、
3年間にそのうちの6人が不慮の事故で死亡し、やがて自分も殺されると、ひどく怯えていた。

ジョーはその話を一笑に付したが、数日後、リーは死体となって発見された。死因は睡眠薬の
飲みすぎだという。この事件に疑惑を抱いたジョーは、やはり殺人現場にいた判事が魚釣りに
出かけた谷川で事故死したことを知り、その小さな町を訪ねた。保安官はジョーをその事故
現場に案内すると、いきなり水門を開け、彼を溺死させようとするが、烈しい格闘の末、
ジョーだけが助かった。彼はその足で保安官の家に忍び込み、彼の机の引き出しから
“パララックス・コーポレーション”という会社の就職願書と適性テスト用紙を発見した。

社に帰ったジョーは編集長のリンテルズ(ヒューム・クローム)から叱言を言われるだけで、
信じてはもらえなかった。ジョーは例の願書を大学の心理学研究所に持ち込んでテストして
もらったところ、それが巧妙に反社会的な性格をもつ人間を選びだすことを目的としたものと
判明した。彼は今度はキャロル上院議員の選挙参謀だったオースチン・タッカー(ウィリアム・
ダニエル)の行方をさぐる。事件以降、姿を消していたタッカーはやっとジョーに会うことに
同意したが、二人の乗ったヨットが爆発し、死亡した。奇蹟的に助かったジョーの姿を見て
今度はリンテルズも信じないわけにはいかなかった。

ジョーは最後の手段としてパララックス社に潜入する決意をかためた。やっとのことで入社
を認められたジョーは、そこでキャロル上院議員の暗殺現場に給仕として雇われていた男を
目撃した。黒いカバンをもった男の行先は飛行場だった。男はカバンを国内線のカウンターに
あずけた。だがジョーが離陸直前にその飛行場に乗り込んだが、男の姿はなく、その代わりに
一等客室に政界の大立者といわれる議員が乗っていた。
時限爆弾による暗殺だと直感したジョーは、飛行機をロス空港に引き返すよう要請した。
乗客が機外に脱出すると同時に飛行機が爆発した。前後してジョーの活動を知っている
リンテルズも暗殺者に毒殺される。

ジョーはパララックスが次の暗殺犠牲者としてじき大統領候補であるハモンド上院議員を
マークしていることを知るとその選挙演説が行われる会場にもぐり込んだ。リハーサルが
終わると、ハモンド目がけて銃声が響いたが、ジョーは屋根裏にとじこめられていた。
四方八方からじりじりと彼を追いつめる暗殺者たち。やがてその屋根裏に銃声が響きわ
たった。
数カ月後、政府の調査委員会は事件の報告を行った。「ハモンド上院議員の暗殺は、精神
錯乱をきたしたジョー・フラディの単独犯行である…」。(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2014-09-02 23:30 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)