ペーパーボーイ 真夏の引力 The Paperboy

●「ペーパーボーイ 真夏の引力 Tne Paperboy」
2012 アメリカ Millennium Films, Nu Image.107min.
監督:リー・ダニエルズ  原作: ピート・デクスター 『ペーパーボーイ』(集英社文庫刊)
出演:ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザック、メイシー・グレイ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
これも豪華キャスティングの作品だ。舞台はフロリダの湿地帯で、蒸し暑さが画面から
噴きだしてきそうなテイスト。ミステリーなのだが、オフビートな感覚を出している。それゆえ
何を言いいたいのか、よく分からないという面もある。
物語は要するに、冤罪事件を追いかける地元新聞記者兄弟が事件を追う過程で巡り合う
不思議な(不気味な)人たちのキャラクターを通して見えてくる人間の本性というか、暗部と
いうか、そんな点を並べた感じだ。 60年代後半のディープサウスにはこんな奇妙な事件と
人々がいたんだ、という物語の面白さは感じるけど、それ以上の深みみたいなものは
感じることは出来なかった。ラスト、エフロンは何を思いながら二人の愛する人の遺体を
ボートに乗せていったのであろうか。作家になった、というが・・・。

ストーリーはジャック(エフロン)とウォード(マコノヒー)の兄弟が育った家の黒人家政婦の
語りで進められる。ジャックは自堕落な生活をしていて職もなく、父の経営する地元新聞に
職を得ようとしていた。そこにフロリダの新聞で記者をしている兄が同僚ヤードリーを
連れて、地元の冤罪事件を洗いに来た。ジャックは兄の運転手となる。

兄が追っている事件は、黒人に嫌がらせをすることで知られる保安官が何者かに殺され
(彼の銅像が建った)、犯人として逮捕されたヒラリーは冤罪の可能性がある、という
ことで、調べに来たのだった。
更にやってきたのは、刑務所の囚人と手紙をやりとりして恋愛関係を作るという変な趣味を
持つ女シャーロット(キッドマン)。新聞社を経営している兄弟の父親は出て行った母の
代わりにこれまた一癖ありそうな年増を家に入れ、結婚するといいだす。

ウォードらの調べで、ヒラリーは殺しのあった夜は、沼地に住むタイリーと男とゴルフ場で
芝生を盗み、それをディベロッパーに売った、帰宅は日が昇ってからだ、というアリバイを
主張する。ヤードリーがしらべると、そういう事実はあったという。ウォードは沼地に
タイリーを訪ね、真相を尋ねる。彼は当日ヒラリーと一緒だったというが証言はしないと。

一方、現れた金髪の女にメロメロになってしまった弟ジャック。彼は彼女に母の影と恋人と
しての二つを追い求めていたようだ。一方で女シャーロットは獄中のヒラリーを実は愛して
なんかいなかったのだ。
そうこうするうちに、兄がモーテルで裸で血まみれで発見される。実は兄はゲイでSMマニアと
いう隠された面があった。実は兄はプレイ中であったのだ。その事実に激しく動揺する
ジャック。そんなことがあったので同僚のヤードリーは本社に帰ってしまった。
過激なSMプレイで片目を失ってしまった兄だが、ヒラリー無実の証拠を集めていたが、
何のことはない、ヒラリーは知事の特赦で出所してきてしまったのだ。

当然、自分を好いてくれているというシャーロットを沼地に連れて行く。シャーロットはそこを
抜け出そうとするが、ヒラリーに絞殺される。そこに兄弟がシャーロットを探してやってきた。
ヒラリーに捕まった兄ウォードは、ヒラリーの包丁のような刃物で首を掻き切られて殺される。
ジャックも追われるが、沼地に飛び込みなんとか逃げることが出来た。ワニも避けて。
シャーロットはジャックに手紙を書いていた。今回は失敗した、と。
ウォードは、二件の殺人で逮捕され、死刑となった。ジャックは物書きになったという。

ジャックもマザーコンプレックスっぽくまともじゃない感じだが、兄はハードゲイ、殺人鬼
ヒラリー、エロオヤジ、売名のために囚人と偽の愛情関係を作り殺されるシャーロット、
まともな人は誰もいないという不気味な映画だ。

ディープサウスの湿気と狂気、しかも60年代という雰囲気を味わうにはそこそこグロではある
ものの、いいんじゃないでしょうか。しかし、刑務所の面会に行ったシャーロットの、顔芸で
ヒラリーをイカセてしまう場面には驚いたね。
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<ストーリー>
60年代のフロリダを舞台に、獄中の婚約者の冤罪を証明してほしいと依頼する謎の女と
出会った事で、運命を狂わせていく青年とその新聞記者の兄の姿を描くサスペンス。
原作はピート・デクスターの同名小説で、謎の女を演じたニコール・キッドマンは、第70回
ゴールデン・グローブ賞で助演女優賞候補に。

1969年、フロリダ州モート郡の小さな町。大学を中退し、父親(スコット・グレン)の会社で
新聞配達をしているジャック・ジャンセン(ザック・エフロン)は、取りたててやりたいこともなく
、鬱屈した日々を過ごしていた。母親は幼い頃に家を出てしまい、父親の現在の恋人
エレン(ニーラ・ゴードン)とはまったく馴染めない。極度にオクテでガールフレンドもいない
ジャックが心を許せる話し相手は、黒人メイドのアニタ(メイシー・グレイ)だけだった。

そんなある日、大手新聞社マイアミ・タイムズに勤める兄ウォード(マシュー・マコノヒー)が、
同僚の黒人記者ヤードリー(デヴィッド・オイェロウォ)を伴い、4年前にモート郡で起きたある
殺人事件の死刑囚の冤罪疑惑を再調査するために帰省する。
人種差別主義者の保安官が刃物でめった刺しにされたこの事件は、ヒラリー・ヴァン・ウェッター
(ジョン・キューザック)という貧しい白人男性が逮捕され、既に死刑判決が確定していたが、
ウォードは裁判が極めて不公正な状況で行われたため冤罪の可能性があると睨んでいた。

運転手として彼らの取材を手伝うことになったジャックは、オフィス代わりのガレージに突然
訪ねてきたシャーロット・ブレス(ニコール・キッドマン)に目を奪われる。今回の取材の
依頼主であるシャーロットは、獄中の死刑囚ヒラリーと手紙を交換しただけで意気投合、
婚約まで交わした女性だった。
出会った瞬間に恋に落ちたジャックは、刑務所でのヒラリーとの面会に同行するが、ヒラリーは
初めて対面した婚約者シャーロットへの欲望を剥き出しにする。
そんな中、ウォードは殺人事件当日の夜、ヒラリーが伯父のタイリー(ネッド・ベラミー)とともに
ゴルフ場に忍び込んで芝生を盗んだという話を聞き出す。タイリーはヒラリーのアリバイを
そっくり裏付ける証言をしたが、ウォードとジャックは彼らが口裏を合わせたのではないかと
疑念を抱く。やがて殺人事件の深い闇に分け入り、叶わぬ恋に身を焦がすジャックは、想像を
絶する悪夢のような現実を目の当たりにすることになる……。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2014-09-05 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)