華氏451 Fahrenheit 451

●「華氏451 Fahrenheit 451」
1966 イギリス・フランス Anglo Enterprises,Vineyard Film Ltd.112min.
監督・脚本:フランソワ・トリュフォー  原作:レイ・ブラッドベリ「華氏 451」
出演:オスカー・ウェルナー、ジュリー・クリスティー、シリル・キューザック、アントン・ディフリング他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
★はあくまで個人的なもの。原作も読んでないし、トリュフォーの映画を好んで観る方でも
ない。が、NHKBSでたまたま放送していて、タイトルだけはもちろん知っていたので、この際
観てみるか、と鑑賞に及んだしだい。
まあ、古さは致し方ないとして、かなりシュールで思索的な作風は私としては苦手とするところだ。
冒頭、家々のテレビのアンテナをセピアで映し出し、そこにキャストやスタッフの字幕を重ね、
それをナレーションで読み上げるという、予告編みたいな作りの出だしは、経験したことのない
もので、興味深かった。全体としては「焚書」の話であり、本を焼く立場の主人公がいつしか
本を読む側となり、殺人を犯し、職を捨てて、妻とも別れ、「口伝」で本を伝えるコミューンに
身を置くというストーリー。 

映像のカット構成や色使いは、流石に一流なものを感じる。ブラッドベリのSF小説の映像化
には成功してるのかどうかは私には分からない。興味深い作品ではあるが、面白いかと
いうと個人的には「う~ん」という感じだ。 大型双方向テレビとかあの時代に現在を予告して
いるような面もあり、そういうガジェットとしては面白いのだが、なんで本が禁止されたのか、
(世の中の公平性を担保するため、とかの説明があったような気がするが)とか、主人公が
本が好きになったのは知り合った女性の影響だけで良かったのかな、など、の説明が
もう少し丁寧にあったら筋として分かり易いとおもったのだが。

ネットで調べると、ブラッドべりの狙ったのは「国家による検閲社会ではなく、テレビによる
文化破壊を描いた」のだそうだ。そうとすれば、そこまで映画から感じ取れというのは
なかなか難しいのではないか。若き時代の才人トリュフォーの野心的実験的作品、なのかな。
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<ストーリー>
「これは未来の国の物語である。すべてが機械化されたこの時代は、あらゆる知識や情報は
すべてテレビによって伝達され、人人はそのとおりに考え、行動していれば平和な生活が
できるのである。そこでは読書は禁止されており、反社会的という理由で、本はみつけ次第、
消防士たちによって焼きすてられた。
モンターグ(O・ヴェルナー)はその消防士の一人でる。ある日彼は妻のリンダ
(J・クリスティ)にうりふたつの若い女クラリス(J・クリスティ・二役)と知り合う。

テレビのままに動く無気力なリンダの空虚な生活にひきかえ、クラリスは本に熱意を持って
いて、モンターグにはとても刺激的だった。そこでモンターグは生まれてはじめて本を読み、
その魅力にとりつかれてしまった。
それを知ったリンダは、夫が読書をしていることを手紙にかいて密告した。モンターグは
消防士を辞職する旨を消防隊の隊長に申し出たが、とにかく今日だけは、ということで
出動した。ところがなんと行く先は意外にも彼自身の家だったのである。
庭につまれた自分の本を焼きすてるように命じられたモンターグは、本ばかりか家その
ものまで焼こうとした。そんな彼を制止し、逮捕しようとした隊長にモンターグは火焔放射器を
向け、殺してしまった。

殺人犯としておわれたモンターグは逃走し、淋しい空地にたどりついた。そこはいつか、
クラリスが話してくれたことのある「本の人々」が住む国だった。そこでは、人々は、
すべての本が焼かれても、それを後世に残せるようにと、本を暗記していた。やっと本を
よむ自由を得たモンターグはアラン・ポーの暗誦をはじめるのだった。」(Movie Walker)
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by jazzyoba0083 | 2014-09-17 23:10 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)