THE ICEMAN ~氷の処刑人~ The Iceman

●「THE ICEMAN ~氷の処刑人~ The Iceman」
2012 アメリカ Bleiberg Entertainment,Millennium Films,RabbitBandini Pro.106min.
監督:アリエル・ブロメン   原作: アンソニー・ブルーノ 『氷の処刑人』(翔泳社刊)
出演:マイケル・シャノン、ウィノナ・ライダー、ジェームズ・フランコ、レイ・リオッタ、クリス・エヴァンス他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
実際に100人以上を暗殺したといわれる実在の殺し屋リチャード・ククリンスキーの物語。
主役は貴重なバイプレイヤーで、私にとってはテレビドラマ「ボード・ウォーク・エンパイア」の
不気味なFBI捜査官を演じたマイケル・シャノン。この人は一癖あるような、あるいは心が少し
病んでしまっているような役柄をよく見るが、これが似合っている。本作も、作品の中からは、
幼いころの両親から受けた執拗な叱責がトラウマになって、性格にゆがみが出てしまった男の
感じが上手いこと出ていたと感じた。

ポルノ映画のダビング屋であったポーランド系のククリンスキー(シャノン)は、向かいの
ビルで働くデボラに恋してしまい、猛烈アタックの末、結婚する。裕福ではないが、子供にも
恵まれ、幸せな生活だった。妻はもっと広い家に引っ越したがっていたが、彼女は我慢して
いた。
そんな折、ダビングの遅れからトラブルとなり、そのいざこざの中での振る舞いを見たギャングの
ボス、ロイ(リオッタ)に見込まれ、殺し屋稼業となる。テストケースとして街のホームレスを
殺して来いと銃を渡されると、ククリンスキーは躊躇なく浮浪者を射殺、顔色一つ変えないので
あった。一方家庭ではいい父親として振る舞い、次第に金が入り、引っ越しも出来て、二人の
娘にも不自由をさせないようになるのだが、家族には為替ディーラーとして儲かっていると
説明していた。

裏ではククリンスキーの殺しは加速し、マスコミは彼の犯罪をアイスマンによる、と表現
し始めていた。確かに彼の心は殺しに当たってもまったく動じないものであった。
しかし、ある時、暗殺を目撃した少女を逃がしたことから、ロイから足を洗え、と勧告される。
しかし、ククリンスキーは、フリージーというフリーの暗殺屋と組み、シアン化合物を使った
暗殺を始めたのだ。しかし、彼はある仕事で支払いを渋った雇い主を衝動的に殺したこと
からマフィアに狙われることになり、また娘が待ち伏せした車にひき逃げされるという事件が
起きてしまった。妻や娘たちから、父親のトラブルのせいで(この時点ではヒットマンであることは
ばれていない)こうなったことをなじられる。復讐を誓うククリンスキーだったが、警察の包囲網は
狭まっていた・・・。

一般市民は巻き込まず、女子供はやらないという主義ではあったものの、100人を銃で時には
ナイフで時にはロープで首を絞め、ナイフで首を切り、殺したククリンスキー。やはり心を病んだ
怪物といえるだろう。長年いい父親だと信じてきた家族は、真実を知った時の衝撃は如何ばかり
であっただろう。周囲の人々もまたしかり。家族は人殺しの娘となりどうやって生きて行ったので
あろうか。家族を持った時点で、彼は勘違いをしていた。家族を愛することは、警察に捕まった
時、その後の家族がどういうことになるのか、想像しなかった(出来なかった)ことだ。
彼が殺人を重ねていたのは1970~80年代であるから、娘たちはまだ存命であろう。どうなったか
気になる。86年に逮捕され、本人は裁判で終身刑×2の刑を受け、(死刑廃止の州だったのかな)
2006年、結局獄中で亡くなる。家族とは二度と会えなかったそうだ。ククリンスキーという特徴的な
苗字は名乗れなかったのではないか。 やはり幼いころの家族での出来事というのは大人になって
からの人格を決定づけてしまうのだな、という恐怖心を味わった。映画では子供の頃のトラウマが
原因となり殺人鬼や異常者になってしまうドラマ(現実にもとづいているものも含め)多くみられると
感じる。最後に本人の独白があり、「悪いのは自分。悪いことをしたことも分かってる。だから
悔い改めもしない。」などと心境を語るのだが、人を殺した、ということについての自責のような
ものは聞かれなかった。派手なキャスティングはないが、事実に基づいているだけに、重苦しいが、
迫るものがある作品だった。
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<ストーリー>
「1964年。ニュージャージー州で生まれ育ったポーランド系の青年リチャード・ククリンスキー
(マイケル・シャノン)は、思いを寄せていた女性デボラ(ウィノナ・ライダー)と結婚。
子宝にも恵まれる。
彼は、家族には秘密のまま、マフィアの息がかかったポルノ映画の海賊コピー製造工場で
働いていたが、度胸の良さをギャングのロイ・デメオ(レイ・リオッタ)から見込まれ、
“命令に従えば、いくらでも稼げる”と裏社会に誘われる。

以来、専属ヒットマンとして働き始めるのだった。1970年代半ば。ニュージャージーの
高級住宅街にマイホームを構え、幸せな生活を手に入れたククリンスキーは、表向き
為替ディーラーを自称し、2人の娘をカトリック系の学校に通わせていた。
そんなある日、ドラッグを巡るトラブルに巻き込まれたロイから、マーティ・フリーマン
(ジェームズ・フランコ)という男の殺害を指示される。いつものようにその仕事を遂行した
ものの、目撃者の少女を逃がし、ロイからクビを言い渡される。
失業したククリンスキーは、何とか生活を立て直そうと、公園のアイスクリーム売りを
装う殺し屋ミスター・フリージー(クリス・エヴァンス)と手を組む。

フリージーからシアン化合物を利用した殺害方法を伝授され、次々と殺人を実行し、
死亡時刻をごまかすために死体を冷凍庫へ運び込むククリンスキー。1980年代初頭。
ククリンスキーがフリージーと組んで密かに殺し屋稼業を続けていたことがロイに知られる。
ロイから恫喝され、足を洗おうとしたククリンスキーだったが、報酬の支払いを渋った
雇い主レオを衝動的に殺害。更なる窮地に陥り、家族にまでマフィアの影が忍び寄る。
怒りと焦りに捕らわれるククリンスキー。さらにこの時、遺体を冷凍して遺棄する手口から
“アイスマン”と呼ばれて世間を騒がせる謎の殺人鬼を追う当局は、捜査線上に浮かんだ
ククリンスキーへの包囲網を張り巡らせていた……。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2014-09-22 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)