バーニーズ・バージョン ローマと共に Barney's Version

●「バーニーズ・バージョン ローマと共に Barney's Version」
2010 カナダ・イタリア Serendipity Point Films.134min.
監督:リチャード・J・ルイス
出演:ポール・ジアマッティ、ロザムンド・パイク、ダスティン・ホフマン、ミニー・ドライヴァー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
面白かった。全く警戒していなかった作品で、WOWOWで放映していたところ、配役に
惹かれて鑑賞した。ローマと共に、は要らないんじゃないかな。余計な意味を与えそう。
長い作品なのだが、驚くことに、冒頭のシーンがオチになっている。ほとんどの人は
そうとは知らずに見始めるわけだが、観終わったら、今一度冒頭から20分位、見返して
見ると話の筋がとてもクリアになってくるはず。

約40間の一人男の愛に生きた男を演じたポール・ジアマッティが素晴らしい。また
彼の3回の結婚の中で、最後にして最愛の女性、運命の女性ミリアムを演じた
ロザムンド・パイクも、実は30歳半ばのまだ若い女優さんなのだが、老け役まで
実にすばらしくハマっていた。この女優さん、出ている作品は何気なく観ているのだが、
意識してみたのは初めてだったが、本作の役柄にピッタリで、今後の活躍を期待したい。
実際もとても頭のいい人のようだ。

青春時代をローマからスタートさせたカナダ人バーニー。一回目の結婚は妊娠したから
という理由で若い画家クララと。子供は黒人との子であり、また彼女は幼いころから情緒不安定で
薬を大量に摂取し自殺してしまう。NYからやってきたユダヤ教?の黒一色の衣服の父親に
それを知らされる。

そしてカナダに帰ってきた。
二番目の妻は、何かとイスラエルの保障、を売り文句にする商社のおじさんの紹介で
パーティー会場で知り合った女性。ヒューモアとウィットに富みかつ時事や文学にも理解が
ある、そういう会話をしたかったバーニーには玉の輿ではあったが、きわめて不満であった。
が、流れで彼女と結婚することに。ユダヤ式の大結婚式が開かれた。浮かれる周囲をよそに
どこか酔えないバーニー。と、目についたのは青ドレスの女性。NYから来た新妻の友人で
ラジオDJをしているミリアム(パイク)に一目ぼれ。それこそ見た瞬間に恋に落ちた。
披露宴が跳ねると、バーニーは、駅まで彼女を追いかけ、列車の中で、「今すぐ駆け落ち
しよう。もう君なしでは生きていけない」と迫るが、今あったばかりのしかも結婚式の新郎から
そんなこと言われて、はいそうですか、と言えるわけもなく、ミリアムは当然断る。

悄然としたバーニーは、結婚生活を続けるのだが、真の愛で結ばれているわけではないので
おざなりとなり、次第に二人の心は離れてくる。そんな折、妻とバーニーの親友がベッドイン
しているところにバーニーが帰宅してしまうという事件が起きる。内心しめた、と思ったが
「何てことしてくれたのだ」という程で、妻と親友に迫りる。しかし、親友ブギーと浮気の証言の
件で、もめて、湖に泳ぎに行こうとしたブギーを、警官だった父(ダスティン・ホフマン)から
二番目の結婚の時に贈られた短銃を威嚇で撃った。それが当たったのかどうなのかは
分からないが、ブギーは湖に転落し行方不明になった。警察が乗り込んで、バーニーも
事情を聞かれるが、なんら証拠もなく、本人も撃った記憶がないので否定。事件は迷宮いり
してしまう。そして、まんまと離婚は成立した。

そんな間にも、バーニーは、ミリアムの元に赤いバラの花束を定期的に送って、思いは送り
続けていたのだ。ミリアムに「離婚した」と告げ、彼女がDJをするラジオ局があるNYに飛ぶ。

会いたい、と言われても断りづつけるミリアム。ディナーがだめならランチでも、と食い下がる
バーニー。その熱心さに負けたミリアムはついに彼との結婚に合意する。

テレビ制作プロダクションを経営し、みずからもプロデューサーとして活躍するバーニー、
仕事を辞め、二人の子供をもうけ、幸せな生活が続いた。
そして子供たちも大学にいったりして巣立つと、ミリアムはDJの仕事に復帰したい、と願うが
ラジオ局の上司ブレアとの間を要らぬ嫉妬もし、彼女の復帰についてはしぶしぶだった。
そしてブレアとの間を勘ぐるのだった。ミリアムの妻で母である自分から別の自分の人生を
生きてみたい、という想いに愛しているのなら、すぐに同意してあげればよかったのに、
邪推と嫉妬がバーニーの限界だった。

ミリアムから「しばらく距離を置きたい」と言われ、NYの長男のところに行かれてしまう。
ショックを受けたバーニーは酔いの勢いで若手の女優と一夜の間違いを犯してしまう。
これがミリアムにばれて、二人は離婚することになる。
そのころから、バーニーに認知症の症状が出てくる。次第に悪化し、ミリアムの電話番号も
思い出せなくなる。再び会うバーニーとミリアムだったが、症状は極めて進んでいた。
バーニーは遺書を書く。別荘のほとりのベンチにたたずむバーニーは、すでに完全に
夢見る人になってしまった。

そして・・・。新しい墓。そこにはバーニーが2010年に亡くなったこと、そして隣には
ミリアムの名前も刻まれていた。ミリアムと永遠にともに眠ることはバーニーの願いであった。
そしてブレアと再婚したミリアムも、そこに刻まれた自分の名前を感慨深く見つめるのだった。

冒頭、夜中の3時に電話したのはミリアムと再婚したブレアだったし、その次のシーンの
酒場で出てくるひげの太っちょは、ブギー殺人?事件の捜査をした刑事で、彼がそれに
ついて書いた本を、バーニーに献呈するシーンだったのだ。彼は真犯人はあくまで
バーニーだと信じて疑っていない。のちに30年ぶりに発見されるブギーの遺骨は、スカイ
ダイビングで落下した時のような骨折が見られるという所見であったのだが。
バーニーの遺書には親友ブギーが帰ってきたときのお金を残す、と書かれていたので
二人の子供らは、父親はブギー殺しなんかやってない、と信じるのだった。

年老いたバーニーと、年若い彼のエピソードが行ったり来たりする。その時間の経過や
戻りは、ジアマッティのメイクで表現されている。これがまたうまく出来ている。さらに
若いのに老けて見えるパイクが自然な感じで良かった。ジアマッティは父親ダスティン・
ホフマンゆずりの女性観。惚れっぽくて一途なのだが、どこか抜けている。しかし、いったん
惚れこむと自分しか見えなくなるくらいの愛し方をしてしまう。それが相手にとって不幸な
ことになるということまで知恵が回らない程に。

長い映画だが、ある愛のあり方を一人の男の人生を通じて描いた本作、見直さないと
よ~くは分かりずらい難点はあるが、久しぶりで面白い映画を見た。横糸と経糸が
興味深く提示されていてまとまりも良く、観終わった後もいい気持ちになるのだ。
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本作のストーリーなどの詳細はこちらのwikipediaを参照ください。
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by jazzyoba0083 | 2014-09-25 23:40 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)