ジャージー・ボーイズ Jersey Boys

●「ジャージー・ボーイズ Jersey Boys」
2014 アメリカ Warner Bros.Four Seasons Partnership,GK Films,Malpaso Productions,
RatPac Entertainment.134min.
監督・製作:クリント・イーストウッド
出演:ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、ヴィンセント・ピアッツァ、
    クリストファ・ウォーケン他
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<★★★★★★★★★☆>
<感想>
イーストウッドの作品は、何はともあれ劇場で観る、というこのところの方針を守ると
いうか、だいたい、テーマが私にはドンズバ!で、何をおいても観なくちゃ、というわけで
昨日封切りしたての本作へ直行! 入りは結構なもの、しかしやっぱり平均年令が高いなあ。
それは悪いことじゃなのだけれどね。

ブロードウェイで高い評価を受けたミュージカルを、イーストウッドが映画化したものだ。
故に、ケチの付け所があまり見当たらないのだが、イーストウッドの最近作って、「人生の
特等席」もそうだけど、眉根にシワを寄せて観るタイプから、肩の力を抜いて観られて、かつ
人生模様を味わえるタイプになってきているような気がする。

個人的には音楽も含め、構成、カメラ、衣装、装置など★8個をにしようか9個にしようか
迷った。何故なら、これまでのイーストウッドの出来栄えからするとやや大衆受けすぎるかな、
という感じがしたから。でもそれは決して悪いことじゃく、むしろ、「受けを狙う」とうことでは
なく、老若男女等しく楽しめる映画に仕上げた、ということからすれば積極的に評価すべき、
と感じたのだ。イーストウッド好きからすれば、「大衆迎合映画」に堕落しやがって、という
ことをいう人がいるかもしれない。私はそういう意見には全く与しない。

アメリカのポップ史、ドゥワップ史に一時代を画したフォー・シーズンズ。名前は知らなくても、
「シェリー」「君の瞳に恋してる」などの大ヒットチューンはご存知だろう。それに「タモリ倶楽部」
のテーマソングも、そうだよ、というと、みなさん「へえ」っていうよね。

作品の中ではやはり彼らの最初の大ヒットとなった「シェリー」誕生の瞬間と、「君の瞳に
恋してる」誕生の瞬間は、分かっていても鳥肌が立つ。
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ニュージャージー州の田舎町の若者4人が、大スターとなり、グループの常として、金や
生活態度や女の件でゴタゴタとなり、仲間が去り・・・という、ありがちというと彼らに失礼だが
まあ、「ありがち」なストーリー。注目され大金が入れば、自分を見失いがちになり、また
ツアーで家を空けるとなると、妻を始めとして家族とはすれ違いになる。多くのミュージシャンもの
で描かれてきたことだが、はやり実話の持つ面白さに根付いたストーリーは興味ふかい。
その辺りはイーストウッドの演出の面目躍如というところか。
だだ、他の人も書いているが、同時代にヒットを競い合ったビーチボーイズや、ビートルズの
話題が皆無なので、その辺りを絡めると、一層リアリティを持ち、かつ華々しくなったのではないか、
とも感じた。

出演者でこのグループのキャラクターでもある高音担当のフランキー・ヴァリを演じた
ジョン・ロイド・ヤングは、ブロードウェイでも本人を演じた。似ているし、歌も上手い。
ほか知っている人は少なかったが、パトロン的存在のクリストファー・ウォーケンが美味しい
役どころであり、またいい味を出していた。

モノクロのテレビが映るシーンに何気なく若き日のイーストウッドが映っているのには場内から
笑いが漏れていた。(笑)

全体に、「ドリームガールズ」(シュープリームスをモデルにした、と言われるが)の男性版の
ような感じもしたが、2時間強の山の作り方など、やはりイーストウッドらしい見せ方、
ストーリーの構成の仕方はさすがだと思った。ま、彼のファンなのでその辺りは割り引いて下さい。

今はヴァリしかオリジナルメンバーはいないが、フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズの
来日コンサートが2013年9月に予定されていたが、映画撮影に伴い、イーストウッド監督から
史実に忠実に仕上げたいと、ヴァリに立会を求めたため、今年の1月に延期になったという
曰くがある。
蛇足だけど、いつも思うのだが、1950年代とか60年代とかのシーンにその時代のクルマが
ちゃんと、しかも沢山出てくるのだが、映画用に用意されているのだろうか。

「君の瞳に恋してる」はボーイズ・タウン・ギャングの曲、と思っていた若い世代も、きっと
楽しめる映画だと思う。物語として楽しめると思う。
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<ストーリー>
「トニー賞受賞の同名大ヒット・ブロードウェイ・ミュージカルを「ミリオンダラー・ベイビー」
「グラン・トリノ」「人生の特等席」の巨匠クリント・イーストウッド監督で映画化。60年代から
70年代を中心に活躍したニュージャージー出身の4人組ヴォーカル・グループ、
フォー・シーズンズの栄光と挫折の物語を、『シェリー』『君の瞳に恋してる』はじめ彼らの
ヒット・ナンバーの数々とともに綴る。
出演は、リード・ヴォーカルのフランキー・ヴァリ役にブロードウェイ版のオリジナル・キャスト
でもあるジョン・ロイド・ヤング、その他のバンド・メンバーにエリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、
ヴィンセント・ピアッツァ、共演にクリストファー・ウォーケン。

 ベルヴィル。そこは犯罪が日常茶飯事というニュージャージーの最貧地区。1951年、
イタリア系移民が多く住むこの街で、しがないチンピラ暮らしをしているバンドマンの
トミー・デヴィートは、美しいファルセットを響かせる少年フランキー・カステルチオ
(のちのヴァリ)を自分のバンドに迎え入れる。フランキーの歌声は地元マフィアのボス、
ジップ・デカルロも魅了し、サポートを約束する。最初は鳴かず飛ばずの彼らだったが、
才能豊かなソングライター、ボブ・ゴーディオとの出会いによって大きな転機を迎える。

ヴォーカルのフランキー、ギターのトミー、ベースのニックに、キーボードと作曲を担当する
最年少のボブが加わり、バンド名を“フォー・シーズンズ”と改めた4人は、『シェリー』を
皮切りに次々とヒットを連発、ついにスターダムへとのし上がるのだったが…。」(allcinema)
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この映画の詳細はこちらまで。
Commented by 犬飼 at 2015-09-01 16:17 x
正直、ミュージカル系って喰わず嫌いだったみたいです。実はこの作品、なんとなく興味はあったのですが、観ようかどうしようか?という程度の興味だったのですが、大庭さんのコメントにちょいと惹かれたので観てみました。めっちゃよかったです。観てよかったと正直思いました。悩んだ作品はとりあえずここに来て大庭さんのコメントチェックですね(笑
Commented by jazzyoba0083 at 2015-09-02 12:13
犬飼君、コメありがとう。この映画をミュージカル系というかどうかは別として、私なんか年齢的に当時の出来事にシンパシーを感じますので、とても良かったです。実話がベースという下駄は履いてますが、それにしてもイーストウッドに外れなしです。私の拙文がお役にたてるかどうか怪しいものですが、頑張って参考していただけるような感想を認めたいと思います。
by jazzyoba0083 | 2014-09-28 11:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(2)