飛べ!ダコタ

●「飛べ!ダコタ」
2013 日本 アッシュ・ジャパン、製作委員会 109分
監督:油谷誠至
出演:比嘉愛未、窪田正孝、洞口依子、中村久美、芳本美代子、螢雪次朗、ベンガル、柄本明他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
この映画が出来たときにテーマとなった事実を知ったのだが、隠された美談で、マスコミにも
あまり取り上げられることはなかったと思う。だが、実際起こったことをつぶさに読むと、2時間
少々に納まる話ではないので、監督もそのあたりを理解して、話を大胆に折りたたんだのだろう。

その結果、薄味の映画になってしまった。製作には3年という長い年月とダコタの同型機を
タイで見つけ、解体して運び、組み立てたというから(その飛行機はいまだに浜に飾ってある
そうだ)佐渡島の市民の協力も含め、労力がかかった映画であったということは理解できるが、
不時着のシーンもないし、実は島民の協力で敷いた石の滑走路も大波で流されてしまい、
ついには米軍の工科部隊が乗り込み、あっという間に網目の鉄板を敷いて完成させてしまった、
とか、上海から厚木に向かっていた乗員には女性が一人いて、赤く塗られた爪に島民が
びっくりした、とか総領事が乗っていたとかはオミットされている。まあ、そこまでのエピソードを
入れ込んだら2時間じゃあ収まらないとは思うけど、本作はあまりにもあっさりしすぎ。
せっかくの事実の面白さが半減してしまっているのではないか、と感じた。

ストーリーは割と単純で、終戦直後の昭和21年、上海から厚木に向かうイギリス総領事を乗せた
英空軍の輸送機が佐渡島に不時着。けが人はいなかったし、飛行機も大した壊れ方を
しなかった。村人はこの前まで戦っていた敵国人がやってきたのだが、「困ったときは助ける」
という島の人の伝統から、飛行機を浜から引っ張り上げ、石の滑走路を敷き、文化の違いに
苦労しながら村人なりにおもてなしをし、無事にダコタ号を再び空に戻すことに成功した。

そういうことなのだが、その間には、帰国した元日本兵の青年がこれを苦々しく思い、
ダコタに放火しようとしたり、ダコタの乗員と地元の女性の淡い恋心があったりという
エピソードが加えられる。こうした事実を元にした映画が好きなので観てみたが、出演者も
含め、地味なので興業的には苦戦したに違いない。これ、教育映画として学校を回れば
いいのに、と思う。

この飛行機ダグラス・エアクラフト社製DC-3(輸送機名=C-47)は、ビルマ方面でイギリスの
マウントバッテン司令官を運んでいた「Sister Ann」という由緒ある機体であり、本物は
まだアメリカ・フロリダ州のエーボン・パーク空港の格納庫に個人所有として保存されている。
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<ストーリー>
終戦後わずかの昭和21年、佐渡島に不時着したイギリス軍輸送機の乗組員と、
彼らをもてなし、再び飛び立つ協力をした島民たちとの国境を越えた友情と絆を描く、
実話を基にした人間ドラマ。かつてダコタの搭乗員だった兵士の息子が佐渡島を来訪し、
その事実を風化させまいと、地元フィルムコミッションの働きかけで製作された。

終戦からわずか5ヶ月後の昭和21年(1946年)1月14日。その日、鉛色の空を切り裂いて、
一機の飛行機が佐渡島にある高千村の海岸に不時着した。それはイギリス空軍の
要人機《ダコタ》であった。真っ先に駆けつけたのは、海を見渡せる丘の上からその
光景を目にした森本千代子(比嘉愛未)。イギリス空軍のパイロットたちは、上海の
英国総領事を東京へ送る途中、悪天候に見舞われやむなく不時着したのだという。

だが《ダコタ》は砂に埋もれ、滑走路もないことから乗組員は島に留まるしかなかった。
つい半年前まで敵国であり、その戦争で家族を失った者や、帰らぬ息子を待つ者など、
様々な想いを胸に抱く島民たち。しかし、千代子の父親で村長の新太郎(柄本明)は
考えあぐねた末に「困った者を助けるのが、佐渡ん人間(さどんもん)」という、この土地に
根付く精神に従って《ダコタ》が再び飛び立つまでの間、イギリス兵たちを自分が営む
旅館に迎えることにする。

初めは警戒していたイギリス人たちも、千代子や島民たちの温かいもてなしに、次第に
打ち解けていくのだった。一方、千代子の幼なじみの木村健一(窪田正孝)は、兵学校での
事故がもとで出征することなく村に戻ったまま終戦を迎えていた。英語の通訳をという
千代子の頼みも無下に断り、一人殻に閉じこもる健一。
そんなある日、島民と英兵たちが協力して滑走路づくりに励む中、親友の義春の戦死
報告を受け取った健一は《ダコタ》が義春の死んだビルマ戦線でイギリスの将軍専用機
だったこと知る。健一の中で、暗い憎悪の炎が燃えたぎり、ある夜、健一は遺書めいた
書置きを残し一人《ダコタ》がある海岸へと向かう……。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2014-09-24 22:30 | 邦画・新作 | Comments(0)