ブギーナイツ Boogie Nights

●「ブギーナイツ Boogie Nights」
1997 アメリカ New Line Cinema.155min.
監督・脚本・製作:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:マーク・ウォルバーグ、バート・レイノルズ、ジュリアン・ムーア、ヘザー・グレアム、
    ジョン・C・ライリー、ウィリアム・H・メイシー、ドン・チードル、フィリップ・シーモア・ホフマン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
先日からPTAの作品に興味があり、WOWOWで評判の高い本作を放映していたので
録画して観た。PTAの映画の常として、何がいいのか後にならないとなかなか判りづらい
タイプの作品であるが、どこか面白く、見終わったあとで反芻すると、いろんな意味が見えて
くる、という構図。ただしこれも例によって長い!
しかし、今から17年前の作品なのだが、出演陣がとんでもなく豪華だし、当時のウォルバーグに
目を付けるあたり、PTAのキャスティングの先見性は素晴らしい。
本作は97年のオスカー脚本賞のノミニーであるから、映画としての出来は良いのだろうが
私には、それほどかな、という感じを受けた。確かに、「デカマラ」ひとつでポルノ映画界の
大スターに成り上がった青年が、やがてそのポジションを新人に奪われ、お金に困り・・と
いう、人生の不条理というか厳しさを、PTA独特の語りと映像で綴っているのだが。
というより、PTAはそんな深遠な意味を持たせていないのかもしれない。後から聞けば、
様々な映画のオマージュが埋め込まれていて、実在の俳優のチップスも振りまかれていて
(細かすぎてわからない)、映画の前半にずっと流れている70年代のポップスやロックの名曲
たちも、PTAのリアルタイムの趣味であるようで「時代をおちょくった」とも読めるのかもしれない。

ポルノ映画界という普通あまり取り上げないであろう世界を描くことで、むしろ、人生と
いうものはそうそう上手くいかない、ということを理解しやすくあぶりだしていたと思う。
キャストがまた全員ツボにはまっていて、良かった。これも後から聞いたことだが、PTAの
育った町ではポルノ撮影が合法化されいて、幼い頃からPTAはポルノ映画に対する
一方ならぬ興味があったようだ。
なにか、こう根っからの悪い人が出てこず、ただ不器用だったり、自分のことを自分で
よくわかっていなかったりすることが、悲劇を生み出したり、また他人のことを考えないで
行動することが結局は自分の幸せに繋がらない、という意味を汲むのは深読みし過ぎか。
どなたかが書かれているが「バカ人間賛歌」という言葉もハマるなあ。

特に、妻が他人の男とおおっぴらに浮気する(野外パーティーで公衆の面前でアオカンに
及ぶ)夫(ウィリアム・H・メイシー)が、ついには妻と相手を浮気中に銃殺し、自分も自殺する
場面は衝撃的で、そのシーンを以って時代が80年代に転換する、という構造も、見どころだ。
その辺りから、古きよき、マリファナと酒の70年代が、ビデオ時代で、コカインの80年代に
なり、登場人物たちは、人生が上手く回らなくなっていく。

そうしてみると無邪気な70年代が、管理されるシステマチックな80年代に変化することにより
登場人物たちの生活に(不幸な)変化をもたらして行く、とも読み取れうよう。

出演者は少なくないが、それぞれがキャラクターが立っていて分かりやすく、不幸への転落も
それぞれに「なるほどね」と理解でき、一見シュールでオフ・ビート感がつきまとう映画だが
「具象化」された出来事を「客体化」できる、時代と人々のありようが面白いのだと思うのだ。

しかし、PTAの脚本って、個性の描き方はもちろんだけどセリフ回しも含めて真似できる人は
いないだろう。しかも本作を撮った時、PTAはまだ26歳だったのだ。
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<ストーリー>
「1977年のロサンゼルス郊外、サン・フェルナンド・ヴァレー。ディスコで皿洗いのバイトを
しているエディ・アダムス(マーク・ウォールバーグ)は、ファラ・フォーセットとブルース・リーに
憧れる普通の17歳の高校生。だが、ひとつ普通と違っていたのは優に35センチはあろうか
という巨大なペニスだ。
ある日、それを見込んだポルノ映画監督ジャック・ホーナー(バート・レイノルズ)が、ポルノ
男優にならないかとスカウトしにきた。初めて他人から認められる幸せを噛みしめたエディは
、美少女ローラーガール(ヘザー・グラハム)とのオーディションで早速実力を発揮する。

エディは冷たい実家を飛び出し、ポルノ業界に飛び込んだ。ジャックの妻でポルノ界きっての
スーパーヒロイン、アンバー・ウェイブス(ジュリアン・ムーア)や、プロダクション・マネージャーの
リトル・ビル(ウィリアム・H・メイシー)、男優のリード(ジョン・C・ライリー)らに導かれ、またたく間に
ポルノ業界のスーパーヒーローに登り詰めていくエディ。名前もダーク・ディグラーと改め、
次々と主演作をヒットさせ、ポルノ界の各賞を総ナメにしていった。

しかしそんな彼をドラッグという罠が待ち受けていた。次第にドラッグの快楽に溺れていくエディ。
頼みのイチモツもだんだん使い物にならなくなってきた。そんな時、若くハンサムな新人ポルノ
男優が現れた。あせったエディは皆に八つ当たりし、勢いでジャックの元から飛び出してしまう。
それからのエディは墜ちる一方。
同時に80年代に入ってからビデオ時代、そしてレーガン時代の到来などで、ポルノ映画産業は
急速に冷え込んでいく。元ポルノ俳優達は社会の偏見や就職問題に苦しみ、華やかだった
ジャック邸も今では誰もいなくなってしまった。
そんな状況の中、最低のところまで落ちぶれたエディが、ジャックの元へ帰ってくる。やはり自分
にはポルノ業界しかないと鏡を見つめるエディだが、そこに希望の光はなかった。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2014-10-18 23:45 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)