2014年 10月 21日
バーニー /みんなが愛した殺人者 Bernie
2011 アメリカ Mandalay Vision and others.99min.
監督・脚本・製作:リチャード・リンクレイター
出演:ジャック・ブラック、シャーリー・マクレーン、マシュー・マコノヒー、ブレイディ・コールマン他
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
面白かった!エンタテイメントとして成功している映画だな、と単純に感じた。実際に起きた
へんてこりんな事件がベースになっているし、映画の大きな部分を本物の住民のインタビューで
綴る(これがまた俳優がやっているんじゃないか、と思うような上手さ)のでドキュメント風でも
ある。が、基本はコメディっぽいタッチで、乾燥度は高い。「スクール・オブ・ロック」の監督と
主演で作ったので、なかなかの味わいに仕上がっている。しかしながら、こういうキャラクターが
現実に存在したことを見つけてきたプロデユースサイドの目の付け所もいい。
なんといっても主演のジャック・ブラックがハマりまくり。葬儀屋の葬祭ディレクター助手として
テキサスの田舎町に就職したバーニーは、人の嫌がる仕事を積極的に引き受け、亡くなった
遺族のアフターケアまでしっかりして、また自慢の喉で教会での葬儀の時には賛美歌を歌ったり
すっかり街の人気者になったのだ。
そんな街にマージョリー・ニュージェントという老女の旦那が亡くなった。大富豪だったのだが、
未亡人のマージョリーは、いけずな鬼ばばあというのが街の人々の一致氏体験で、家族とも
遺産の相続で裁判沙汰になっているような女性。人を信用することをしなくなっていたのだ。
意地悪だし。しかしバーニーだけは、彼女は友達がいない寂しい女性だと連日慰めに訪れ
これに応じてマージョリーは心を開いて行く。そしてそのうち、バーニーの葬儀屋の仕事は
バイト並みになり、主にマージョリーの家政婦、執事、財産管理などを任されるようになり、
二人で超豪華な世界旅行をしたりしていた。バーニーも自家用機を買ったりして。
しかし、マージョリーは所詮嫉妬心と独占欲の強いごうつくババアであることに変わりはなく、
次第にバーニーに辛く当たるようになった。どこでも呼び出すし、遅いといって怒るし。
温厚なバーニーもついに堪忍袋の緒が切れて、アルマジロ退治用の銃でマージョリーの
背後から4発打ち込み殺してしまう。すぐに自分の行動に驚き反省するのだが、彼は
マージョリーを冷凍庫に隠し、軽い心臓病で療養所に入っていると説明し、9ヶ月が経過。
街のみんなは、別にマージョリーの姿が見えようが見えまいがあまり気にしなかった。
その間、バーニーは、けちなマージョリーが寄付を渋っていたようなところに寄付をし、
困っている人にお金を貸したりして善行に熱心であった。
ところが、株の取引を管理している男や家族からやはり連絡が取れないのはおかしいという
ことで警察がマージョリーの家を家宅捜索し、冷凍された彼女の遺体を発見したのだ。
バーニーは素直に自白し、罪は償わなくてはならない、と泣いたのだ。裁判になったのだが
街のみんなはバーニーの見方。検事はそんな状況に逆に張り切り、裁判所に訴えて
公平な裁判が出来ないということで隣の郡の裁判所に所管を移してしまった。
出てくる証言はバーニーがいかにいいやつであったか、マージョリーを殺したことは確かに
悪いことだが、遺体を遺棄しようと思えば出来たし、財産だってくすねて逃げようと思えば
逃げられたのに、それをしなかった。バーニーは、然るべき時にマージョリーを埋葬したいと
思って冷凍していた、人はだれでも埋葬される権利がある、と涙ながらに語ったのだ。
しかし検事は第一級殺人で起訴してしまった。
しかし、他の街の陪審員はバーニーの事情に暗く、結局彼に終身刑を宣告した。仮釈放までも
50年かかるのだ。今でもバーニーは刑務所にいて、聖歌隊を率いたり、料理教室を開催したり
なかなかそれなりの刑務所生活をしているのだった。
ラストに本物のバーニーとマージョリーの写真や、ジャック・ブラックがバーニーをインタビューし
ているところが映る。
胡散臭いのかな、財産目当てなのかな、と思わせておいて、実際に本当にいいやつだったみたいだ。
しかし、第一審で結審なのかな。上訴はしなかったのかな。住民は減刑嘆願などはしなかった
のだろうか。日本なら情状の酌量があり、執行猶予が付きそうな犯罪なのになあ・・・。
しかし、本作ジャック・ブラックの鼻の下にひげを蓄えた主人公の、人の良さの裏に何かありそうな
感じとか、バーニーのキャラクターをうまいこと出していて、魅力的だった。分かりやすいし、
好きなタイプの映画だ。まだ遺族も生きているだろうに、かなり辛辣な描き方をされているのも
大丈夫なのかな、と気になった。
<ストーリー>
「テキサス州の田舎町カーセージ。葬儀社の助手として働くバーニー・ティーディ
(ジャック・ブラック)は、住民の誰からも愛される人気者だ。肉親を亡くした遺族への配慮と
気遣い、美しく繊細な遺体処理、よどみない葬儀の進行と演出、賛美歌の演奏、棺桶を
売り込む営業力まで全ての仕事ぶりが完璧で、葬儀のプロとして高く評価されているだけで
なく、町の美化運動を推進するなど市民活動への取り組みも献身的だった。
ある日、石油で莫大な財産を築いたドゥエイン・ニュージェントの葬儀を執り行ったバーニーは、
その遺産を相続した未亡人マージョリー(シャーリー・マクレーン)に出会う。
彼女は、高慢で頑固な性格で町中から嫌われ、友達は皆無、息子家族とも裁判沙汰となって
いる孤独な老女だった。バーニーはそんな彼女を気遣い、相談相手となって慰めるうち、
マージョリーに気に入られ、彼女の所有する会社の社員となって働くことになる。
数年後、銀行預金の管理までも任されるほどに信頼されるようになったバーニーだったが、
マージョリーの支配欲は次第にエスカレート、ついには彼が他の住民と交流することさえ
嫌がるようになっていく。理不尽な要望の数々に日夜振り回され続けたバーニーは
神経衰弱に陥り、ある日、マージョリーのわがままについカッとなって思わずアルマジロ
退治用の銃で彼女を撃ってしまう。バーニーはマージョリーの死体を物置の冷蔵庫に隠すと、
彼女が誰とも会いたがらないと言って全ての面会要求を拒絶、それまでとまったく変わらない
生活を続けるのだった。
以前よりも自由にマージョリーの金を使えるようになったバーニーは、教会をはじめ町の
施設や困っている人たちに資金を提供し続けるが、あまりにも長期間マージョリーの姿が
見えないのを不審に思った投資管理会社の担当者が地方検事ダニー・バック・デヴィッドソン
(マシュー・マコノヒー)に通報、検事は家宅捜索を行って冷蔵庫からマージョリーの死体を
発見する。バーニーは逮捕され、全てを自白して謝罪。
検事はこの事件を自分の大きな手柄として迫った再選に利用しようと、バーニーをより
凶悪な殺人者として喧伝、第一級殺人で起訴する。しかし、裁判が始まると町の住民たちは
誰もがバーニーを擁護し、殺人者であるはずの彼の無罪を求めるのだった……。」(Movie Walker)
この映画の詳細はこちら>まで。