100歳の華麗なる冒険 The 100-Year-Old Man Who Climbed out the Window And Disappeared

●「100歳の華麗なる冒険 
          The 100-Year-Old Man Who Climbed out the Window And Disappeared」
2013 スウェーデン NICE FLX Pictures,Nice Drama,FLX Comedy AB.115min.
監督:フェリックス・ファーングレン 原作:ヨナス・ヨナソン「窓から逃げた100歳老人」
出演:ロバート・グスタフリン、イヴァル・ヴィクランデル、ダーヴィッド・ヴィーベリ、ミア・シャーリンゲル他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
こういう作品がシネコンに掛かるとは思っていなかったので、奥さんと終わっちゃわない
うちにと速攻出かけてきました。朝一の上映で、さぞかしガラガラ、と思ったら、さにあらず、で
私らみたいな高年齢層のご夫婦がけっこう入ってました。

スウェーデン製の映画は何本か見ていますが、言葉では言い表しづらいですが、やはりどこか
北欧の空気感というかテンポ感がありますね。本作もそんな感じでした。
原作があるのでそのストーリーが面白いのでしょうけど、映像化してもなかなかの出来では
なかったかと思わせる、いい時間を過ごせました。 ブラックユーモアのテイストをまとった
人生ドラマ、とでも言えるでしょうか。
100歳の誕生日を迎えたアランが老人ホームから脱出、途中で5000万クローネという大金を
抱えながらの脱出劇を縦軸に、自分の人生の来し方を横軸に、ダイナミックな動きの中で
その両方のアドベンシャーを描いていく。

「人生、自分ではどうにもならない時がある。そして、どうなるかは分からない」「明日は違う
風が吹く」というのがアランの人生モットーだ。
自分で努力した、というより、上記の人生訓に基づいて思うままに歩いてきた人生。歴史上の
とんでもなく偉い人に何人も遭遇するのだが、それとて自分の選択ではなく、「たまたま」そう
なり、成り行きをあまり気にしないアランの行動が、次々と新しい巨人との出会いを作って
行く。その辺りの過去の人生の経過が面白いのと、100歳のジジイが脱走、途中の駅で
大金をどこからか強奪してきた青年に金が入ったトランクを持っててくれ、と言って持ったまま
バスに乗って消えてしまったの、ギャング団も大騒ぎ。でも、彼らもアランと行動すると
何故か自爆気味になってしまうのだ。その辺りの縦軸もよく構成されていて、時制の混乱も
なく、最後まで引っ張られた。ひとつ分からなかったのはポポフの息子を養子に迎えた
アランだったのだが、最後、四発の輸送機で、養父を迎えに来てバリ島まで飛ぶのだが
あの息子はなんの商売をしてあんな飛行機を自由に扱えるのだっけ?

さて、アランの人生は、トンチンカンな革命家の父、ロシアに行き革命を、と仕掛けたものの
銃殺されてしまう。帰ってきた遺品の中にあった「ファベルジェ」?を質屋に二束三文で
売るのだが、実はそれがとんでもない高価な品で、質屋はいきなり大金持ちに。
しかし、質屋は愛人と手に入れた車でドライブ中、幼い頃から爆破に興味を持っていたアランの
爆破実験の場所で小便をしていて、爆死の憂き目にあってしまう。アランは精神病院に入れられ
「人種人類学者」によって、おそらく「断種」手術を受けさせられてしまう。母は結核?で亡くなる。
そんな感じで、その後スペインのフランコ、スターリンと出会いマンハッタン計画に入り、
オッペンハイマーとの出会い、アインシュタイン、ポポフとの出会い、ソ連とアメリカの間での
2重スパイ、レーガン、ゴルバチョフとの出会いなどなど、歴史上の大物との出会いを経て
来たのだった。

それぞれの大物との出会いは楽しいのだが、そこはもう漫画のような世界だ。アランが希望して
会いに行くのではなく、大物がアランに近づく状況が出てきてしまうのだ。自分では相変わらず
トンチンカンなことしかしないのに。

一方、現代。脱出したアランは廃駅に住む老人と意気投合。トランクを追いかけてきた青年を
冷凍庫に閉じ込め、放置したためギャングの青年は凍死してしまう。二人は死体をアフリカの
ジプチ行きの鉄道貨物に入れてしまう。
更にバリ島にいる親分の指令で次々と手下たちが老人たちを追いかけてくるが、上手いこと
金を奪還できないのだ。老人たちはヒッチハイクで知り合った18歳の学生(とはとても思えない
おっさんだが)と、サーカスから象を「かわいそうだから」とかっぱらってきた女性と出会い、
彼らと合流しさらに逃亡する。追手のギャングの一人は象に踏みつけられて死んでしまう。
その死体を載せた車はガソリンスタンドで盗まれてしまい、故買屋から廃車センターに運ばれ
死体ごとプレス焼却され、証拠は消えてしまった。
さらにギャングの手下のボスは、象を載せたバスを追いかけて、バスと激突、重傷を負い、
老人らに看病されますが、記憶喪失に。自分が何をしているのかさっぱり分からなくなります。
しかし、口から出た言葉が「バリ」。

老人らは象もつれて、息子の大きな輸送機でバリに向かいます。通関手続きとかビザとか
パスポートとかどうしたんだろう??で、ギャングの大ボスがいる所にいっちゃうのですが、
その大ボス、彼らがバリに来ていることを知り、街へ出ます。そこで、老人らが乗って大金の
詰まったトランクも積んだオープンカーを見つけて、Uターンして追い抜こうとした瞬間、
前から大型トラックが突っ込んできて、お陀仏となっちまいます。

これで大金を追いかける奴らは全滅。まんまと大金をせしめた老人たちはビーチでくつろぎ、
象を飼っている女性に、ヒッチハイクさせてくれた学生は告白するのでした。

そんな荒唐無稽といえばそうだし、ちょいと都合が良すぎやしないかい?といわれれば
そうなんだけど、ま、コメディですから。なんか「ケ・セ・ラ・セラ」という言葉が思い浮かぶ
作品で、大笑いは無いですが、クスクスの連発で、十分楽しめました。

主演のグスタフソンは今年50歳のスウェーデンを代表する喜劇俳優らしいですが、
特殊メイクも決まって、大活躍です。結構アクの強い映画なので、ダメな人もいるかも。
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<プロダクションノート&ストーリー概要>
「スウェーデンの小説家ヨナス・ヨナソンが生み出した世界的大ベストセラー『窓から逃げた
100歳老人』(西村書店・刊)を映画化し、同国のアカデミー賞にあたる2014年ゴールデン
・ビートル賞観客賞を獲得したコメディ・ドラマ。
100歳の誕生日に老人ホームから抜け出した男性が、自分の人生を振り返りながら
大冒険を繰り広げていく。
主演は「ぼくのエリ、200歳の少女」のトーマス・アルフレッドソン監督と組んだ
「Fyra nyanser av brunt」(未)で高い評価を受けたロバート・グスタフソン。
かつて名うての爆弾専門家だった男の青年期から100歳までを演じている。
監督は、スウェーデンで俳優としても活躍するフェリックス・ハーングレン。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-11-09 11:30 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)