刑事マディガン Madigan

●「刑事マディガン Madigan」
1967 アメリカ Universal Pictures.101min.
監督:ドン・シーゲル 原作:リチャード・ダワティ 『コミッショナー』
出演:リチャード・ウィドマーク、ヘンリー・フォンダ、インガー・スティーヴンス、ハリー・ガーディノ
    ジェームズ・ホイットモア、スーザン・クラーク、マイケル・ダン、シェリー・ノース他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
本作の後、「マンハッタン無宿」や「ダーティー・ハリー」などクリント・イーストウッドを組んだ
作品など、西部劇も含め一貫してアクションを描いたドナルド・シーゲルの作品。
ウィドマーク主演と聞いただけで時代が分かっちゃうが、私が中学3年の時のものだ。
事件を追うというよりも、またアクションというよりも、刑事たちの人間性に重心を置いた映画で
この路線が「ダーティ・ハリー」などへと継がる感じだ。ただ、恋愛模様や、H・フォンダらの
警察幹部の思いなど、いろんな要素が短い時間に詰め込まれていて、逆に平板な感じ
になってしまった感がある。

この頃の刑事モノなどのアクション映画によく使われたような雰囲気を持つドン・コスタの音楽が
時代を感じさせるが、調和は時代にあっていて良いと感じた。ラロ・シフリンとかああいう
感じのジャズっぽいオーケストレーションだ。
ウィドマークは流石だが、フォンダも含め後のキャスティングは今ひとつぴんとこない演技だと
思った。というか物語がたら~としているからそう見えたのかも知れない。

冒頭、ギャング部屋に踏み込むものの、銃を奪われ逃げられてしまうウィドマークとガーディノの
コンビ。必死に彼を追い、最後には対決、ということになるのだが、その間、ウィドマークの嫁と
の関係のもうひとつぴりっとしない描写、息子の不正行為を親友の警察委員長(フォンダ)に暴かれ
警察をやめようとする本部長(ホィットモア)との間の葛藤、黒人牧師からの抗議、不倫、
(ウィドマークのほうもよくわからない関係の不倫?をクラブ歌手としているのだね)
など、エピソードが沢山ある割に、どうも全体としてピリッと締まらない感じを受けた。
原作がタイトルから見て「コミッショナー」だから本来の主人公はフォンダの警察委員長
(コミッショナー)の物語ではなかったか。それ故、ボケた感じになったのでは?
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逃亡犯が街中で発見され、警官が撃たれて死亡するあたりからようやく緊張感が出てくる
感じかなあ。これがウィドマークの最高傑作なの?
それと撮影を担当したラッセル・メティって、名手らしいけど、今はもう使わない急激な
ズームイン、ズームアウトでは、画がぶれている(よたっている)んだけど、あれは下手なん
じゃないのかな?あれも演出?

個人的には、あの時代までは男は結構帽子を被っていたのだなあ、と言うこと。
携帯とかネットのない時代の刑事ドラマのアナログな面白さはあるかもしれない。
これをヒントにテレビの「マディガン刑事シリーズ」が誕生したのだそうだ。
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<ストーリー>
マディガン(リチャード・ウィドマーク)とロコ・ボナーロは、スパニッシュ・ハーレム地区
第23分署の敏腕刑事である。ある日2人は、ブルックリン地区の、名うてのやくざ、
ベネシュのアパートに踏みこんだが、ちょっとしたすきに逃げられてしまい、そのあげく、
拳銃をも、奪われてしまった。
署に帰った2人は、逃げたペネシュが殺人容疑者だと聞かされ驚いたが、それ以上に
気になったのは、奪った拳銃を使ってベネシュが第2、第3の殺人を続けやしないか、
ということだった。

ところでマディガン刑事は、常に仕事第1の男で、そのために妻のジュリア(インガー・
スティーヴンス)は、いつも不満だらけだった。一方、警視総監のラッセル(ヘンリー・
フォンダ)は、マディガンの失敗に頭をかかえたものの、自分にも、いろいろと面倒な
問題がふりかかっていた。というのは、彼の親友ケイン警部が売春汚職にまきこまれ
たり、関係をもつ上流夫人から別れ話を持ち出されたり、黒人指導で高名な牧師から
抗議されるなど、悩みはつきなかった。

マディガンと、ロコは、72時間以内にベネシュを逮捕せよ、との厳命を受けた。
2人は躍起になって聞きこみを始めた。妻ジュリアの不満が爆発点に達していると悟った
マディガンは勤務中ではあったが、彼女を連れて警察官のパーティーに行った。
だが、それとほとんど時を同じくして、街頭でベネシュを発見した2人の警官が彼に射たれた。
1人は即死、もう1人は重傷だった。しかもベネシュの凶器はマディガンから奪ったものだった。
必死の聞きこみでベネシュの隠れ家が分かった。多数の警官が非常線をはり、マディガンと
ロコが踏みこんだ。体当たりで室内に入ろうとした時、マディガンはベネシュの弾をうけて倒れた。
その時ロコの拳銃がベネシュの胸へ。ベネシュが倒れたことを聞いたマディガンは救急車の
中で息をひきとった。彼は最後まで妻のジュリアに心を残していた。ラッセル総監が彼女を
慰めようとしたが、彼女は総監を人殺しと呼んで痛罵し、夫のマディガンを返せ、と
叫ぶのだった。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2014-11-12 22:40 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)