クレアモントホテル Mrs.Palfrey at the Clarermont

●「クレアモントホテル Mrs.Palfrey at the Claremont」
2005 アメリカ・イギリス Cineville 108min.
監督:ダン・アイアランド 原作:エリザベス・テイラー
出演:ジョーン・プロウライト、ルパート・フレンド、アンナ・マッセイ、ロバート・ラング、ゾーイ・タッパー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
NHKBSで放映してたのを録画して鑑賞。イギリスはロンドンの長期滞在型ホテルで
繰り広げられる、いい感じの人間ドラマ。さりげない(そうでもないホテル滞在客も
いるのだが)大向うを唸らせるようなことのない、ささやかな世界で考えさせられる
ことがきっと多いだろう。単純なストーリーなのだが、ミセス・パルフレイと、たまたま
知り合う作家志望のルード青年の考え方や行動は、一つ一つが心に染みてくる。
いかにも泣かせてやろうとか、感動を押し売りされる向きがないので、見終わった時に
心がホッと暖かくなっているだろう。 グランドホテル形式か、と思うのだけどあくまで
主人公は先述の二人。しかし、同宿になる老人たちや、ルード青年の恋人など
出てくる人がみんな心優しい人ばかりで、最後はハッピーではないのだけれど、
青年と恋人が笑顔で歩き去る姿がむしろ清々しい。
そう多くない登場人物だが、見ている人は自分が当てはまる人やシーンが必ず1つは
出くわすに違いない。
パルフレイ夫人が、最後のほうで、「妻であり母であり祖母であるのに疲れてロンドンへ
一人でやってきたのに、もう私を監視しないで」と、すでにすっかり馴染みとなった同宿の
友人や従業員に言うのだが、一人になりたいと思っていても、孫からの電話を待って
いたり、ルード青年との出会い、また恋人が出来た青年を暖かく見つめる目は、一人きりに
なりたい気持ちとは裏腹の、誰かと繋がっていたいという気持ちを表していた。
それは、ひたすら愛したが若くして亡くなった夫の面影を追っていたのかもしれない。
単純なハートウォーミングなストーリーをここまでのレベルに仕上げたのは監督の手腕も
さることながら(原作もだけど)やはり、プロウライトの演技が素晴らしいからだろう。
パルフレイ夫人が好きな映画が「めぐり逢い」と聞けば再生装置もないのにレンタル店に
行って借りようとしたりする青年の行動は、ちょっと、という面もあるのだが(このことが
ガールフレンドとの出会いをもたらす訳だが)彼は、夫人を題材にして本を書きたかったから
その精神的な背景を是非知りたいと考えたのだろう。

プロウライトの抑制した演技が光る一方で、これがデビュー作となるルード青年の
フレンドも、傷つきやすくも暖かい好青年を好演している。なかなか、見る機会のない
単館系作品だが、喜劇的な要素もあったりの佳作、チャンスがあれば見て欲しい作品だ。
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<ストーリー>
「ロンドンにある古くて小さなホテルを舞台に、初老の未亡人とひとりの青年との心の
交流をつづる人間ドラマ。20世紀のジェイン・オースティンと称される英国の作家
エリザベス・テイラーの小説を、米国シアトル映画祭の創始者でもあるダン・アイアランド
監督が映画化。温かな視点がジワリと胸に迫る。

英国ロンドン。クレアモントホテルの前に、老婦人サラ・パルフリー(ジョーン・プロウライト)が
やってくる。最愛の夫に先立たれ、娘エリザベス(アンナ・カートレット)から自立した生活を
送るため、この長期滞在型のホテルに単身やってきたのだ。
想像とはかけ離れたホテルに落胆しつつ、ドレスアップした夫人がダイニングルームへ入ると、
滞在客たちが無言のまま注目している。居心地の悪さを感じているところへ、
アーバスノット夫人(アンナ・マッセイ)が声をかけてくれる。

翌日、朝食の席で、パルフリー夫人がロンドンに住む孫デズモンドのことを話すと、皆、俄然と
興味を示す。ここでは、訪問客とかかってくる電話が一番の関心事なのだ。
早速、パルフリー夫人は、デズモンドへ電話をかけるが留守電になってしまい、その後も
彼から電話がかかってくることはなかった。誰も訪ねてこない言い訳も底をついた頃、夫人は
外出先でつまずいて転倒、偶然それを目にした青年ルードヴィック・メイヤー(ルパート・
フレンド)に助けられる。作家志望の彼は、孫と同じ26歳の青年だった。

パルフリー夫人は、お礼に彼をホテルでの夕食へ招待する。ホテルに戻り近く来客がある
ことを伝えると、皆はついにデズモンドが訪ねてくるのだと勘違いする。困った夫人は、
そのことをルードヴィックに話すと、ならば自分がデズモンドのふりをしようと提案する。
こうして謎の孫デズモンドの初来訪がセッティングされた。
やってきたそのハンサムな青年に、ホテルの住人は興味津々。一方、ルードヴィックはこの
偶然の出会いが小説の題材になる予感を感じていた。その後も夫人とルードヴィックは
頻繁に会うようになり、お互いの孤独な生活の中で本音を語りあうようになる。
だが、ある朝、突然ホテルに本物のデズモンドが現れる。パルフリー夫人は慌てて追い返し、
ホテルの皆には会計士だとウソをつくのだが……。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2014-11-24 22:50 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)