2014年 12月 23日
タクシードライバー Taxi Driver
1976 アメリカ Columbia Pictures. 114min.
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、ジョディ・フォスター、ピーター・ボイル、ハーヴェイ・カイテル他
<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
何度目だろうか。いつ観てもいい。しかし、WOWOWで放映していたのを観たわけだが、
制作された時期(ヴェトナム戦争終結直後)、スコセッシとデ・ニーロともにイタリア系、更に
殆ど同じ時代に生まれていて、(43年と42年)同じ時代背景を背負って育ち、本作製作
当時はふたりとも30歳代なかば。こうした背景を理解した上で観てみると、当然のことながら
映画の内容の迫り具合がまた濃くなるというものだ。
もう幾多の映画ファンによって語り尽くされている名作であるので、いまさら何をか言わんや、
なのであるが、海兵隊を除隊し、社会に戻ってきた若者が(26歳という設定)、何を目的に
生きて良いのかわからないまま、大都会の中で彷徨う精神、孤独、狂気、というものが
本作が遺作となったバーナード・ハーマンのジャズ・サックスともに描かれていくわけだ。
自分の考えと上手く合わない社会、ぎこちなく折り合いをつけようとするが、上手くいかない。
襲う孤独、理解されない寂しさ、評価されない苦悩などが主人公トラビスを襲う。
その結果としての大統領候補暗殺未遂(あまりにも隙だらけで、準備の割にお粗末なのが
言いたかった所だ)であり、12歳の娼婦を勝手に救いだすとかいって、結局ヒーローに
なってしまうという皮肉なのだが。しかし、気がつかないポイントだが、ラストシーン、
かつて自分を振った大統領候補選挙事務所の女性を、様々な事件後再びタクシーに乗せ
料金を取らずに去っていった時に見せた、トラヴィスの視線の狂気!!
見ている人はその視線ひとつで、トラヴィスの心の孤独や傷は少しも変化していないと
ぞっとするのだ。
この映画はまた観るだろうなあ。
<ストーリー>
「ニューヨーク。毒々しい夜の色彩と光の洪水に飾りたてられたその『闇』をじっと見つめる
虚ろな、しかし熱っぽい感情をこめた視線があった。彼の名はトラビス・ビックル(ロバート・
デ・ニーロ)、タクシーの運転手である。彼は他の運転手のように仕事場をきめていない。
客の命令するまま、高級地区だろうと黒人街だろうと、どんなところへも行く。
そんなトラビスを、仲間たちは守銭奴と仇名した。
ある日、トラビスは大統領候補パランタインの選挙事務所に勤める美しい選挙運動員
ベッツィ(シビル・シェパード)に目をつけた。数日後、彼は事務所をたずね、選挙運動に
参加したいとベッツィに申し込み、デートに誘うことに成功した。だが、デートの日、トラビスは
こともあろうに、ベッツィをポルノ映画館に連れて行き、彼女を怒らせてしまったのだ。
以来、トラビスはベッツィに花を贈ったり、電話をかけても、なしのつぶてだった。
毎日、街をタクシーで流すトラビスは、「この世の中は堕落し、汚れきっている。自分が
クリーンにしてやる」という思いにとりつかれ、それはいつしか確信に近いものにまでなった。
そんなある日、麻薬患者、ポン引き、娼婦たちがたむろするイースト・ビレッジで、ポン引きの
スポート(ハーヴェイ・カイテル)に追われた13歳の売春婦アイリス(ジョディ・フォスター)が、
トラビスの車に逃げ込んできた。トラビスはスポートに連れ去られるアイリスをいつまでも
見送っていた。
やがて、トラビスは闇のルートで、マグナム、ウェッソン、ワルサーなどの強力な拳銃を買った。
そして射撃の訓練にはげみ、やがて4丁の拳銃と軍用ナイフを身体に携帯し、それらを手足の
ように使いこなせるまでになった。
ある夜、トラビスは食料品店を襲った黒人の強盗を射殺した。この頃から、彼はタクシー
仲間から『キラー』と呼ばれるようになった。そしてアイリスとの再会。泥沼から足を洗うように
説得するトラビスは、運命的な使命を信じるようになった。大統領候補パランタインの大集会。
サングラスをかけモヒカン刈りにしたトラビスが現われ、拳銃を抜こうとしてシークレット・
サービスに発見され、トラビスは人ごみを利用して逃げた。
ダウンタウン。トラビスはスポートの売春アパートを襲撃、重傷を負いながらもスポートを
はじめ、用心棒、アイリスの客を射殺した。アイリスは救われ、新聞はトラビスを英雄扱いに
した。やがて、トラビスは何事もなかったように、またタクシー稼業に戻るのだった。」
(Movie Walker)
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