バックコーラスの歌姫たち Twenty Feet from Stardom

●「バックコーラスの歌姫たち Twenty Feet from Stardom」
2013 アメリカ Gil Friesen Productions,Tremolo Productions.90min.
監督:モーガン・ネヴィル
出演:ダーレン・ラブ、メリー・クレイトン、リサ・フィッシャー、タダ・ヴェガ、クラウディア・ニリア他
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<2013年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
WOWOWの「W座」で放映したものを鑑賞した。これは邦題よりも原題に含蓄がある。
バックコーラスと、センターで歌うスタートの距離はたった20フィートしか無いのだが、その
距離は永遠とも思えるほど遠い。これは、ビッグスターたちの後ろでバックコーラスを務めた
歌唱力も実力もある女性歌手たちが、センターを夢見て努力もし葛藤模する模様を
綴るドキュメンタリーである。実際、ローリング・ストーンズや、トム・ジョーンズ、スティング、
マイケル・ジャクソンなどとの共演でかなり有名な歌手であり、ソロでもアルバムを出している
彼女らだが、やはり、その努力にも拘らず、運とコネとプロデューサーの手腕で、下積みもなしに
いきなりスターダムに躍り出る歌手もいれば、彼女らのように、スターを支え、彼らからは
欠くことの出来ない存在としてレコーディングのたびに指名がかかるような歌手であっても
歌の巧さと、センターの位置にに立てるかどうかは、また別物なのだ、ということが分かる。
しかし、彼女らも挟持はあるわけで、それ故の葛藤もあり、そんな様子も赤裸々に描かれて
いく。フィル・スペクターの悪ぶりが興味深かった。
インタビュー構成だが、カットのつなぎ方が上手く、ポイントを当てた5人の歌姫たちの
歌手人生が自分自身の口から、また周囲の口から語られつつ構成されていき、その
流れはとても良く出来ていたと感じた。

アメリカンポップスの事情をもう少しわかっていると、更に面白いだろうなあと感じた次第。
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<ストーリー>
「1960~90年代の音楽シーンで伝説と言われたアーティストのバックシンガーを務めた
女性たちにスポットを当てたドキュメンタリー。ダーレン・ラヴやメリー・クレイトン、
ジュディス・ヒル、リサ・フィッシャーなど、陰で名レコーディングを支えてきた彼女たちの
知られざる成功と挫折を描く。また、ブルース・スプリングスティーン、ミック・ジャガーと
いったトップミュージシャンが、バックシンガーとの関わりについて語る。

ステージのメインで歌うスターに負けない歌唱力を持ちながら、バックシンガーが注目される
ことはない。そんな彼女達の多くは、子供の頃から教会の聖歌隊で歌う歓びに目覚め才能を
開花させた。現在70歳を超えたダーレン・ラヴは、60年代に黒人コーラスグループ、
ブロッサムズに加入。やがて、エルヴィス・プレスリーやフランク・シナトラなど様々なスターの
レコーディングに呼ばれるようになった。クラウディア・リニアは60年代にアイク&ターナーの
バックコーラス、アイケッツに加入。だがセクシーな衣装と派手なダンスを強いられた
“動くフィギア”のような彼女達は、ステージのお飾りとして侮辱されることも多かった。

そんな中、バックシンガーを積極的に迎え入れたのが70年代のロックミュージシャンだった。
クラウディアはジョージ・ハリソンが71年に主宰した“バングラディッシュ・コンサート”に参加
したことをきっかけにイギリスのロック界で知られるようになり、ミック・ジャガーやデヴィッド・
ボウイと浮き名を流すことになる。
また、子供の頃からレイ・チャールズのコーラス隊に入ることを目指して来たメリー・クレイトンは、
その夢を叶えた後、ジョー・コッカーやレーナード・スキナードなどのバックコーラスを通じて
名を馳せていくが、なかでもローリング・ストーンズの名曲「ギミー・シェルター」を
レコーディングした時の想い出を活き活きと回想する。

ジュディス・ヒルは、09年にロンドンで開催する予定だったマイケル・ジャクソンのコンサート
“ディス・イズ・イット”で彼と共演するはずであったが、マイケルが急死。彼女はマイケルの
追悼式で「ヒール・ザ・ワールド」を歌い、世界から注目を浴びて華々しくソロデビューを飾る。

リサ・フィッシャーもバックコーラス出身でソロデビューし成功を収めたシンガーの一人だ。
ルーサー・ヴァンドロスに才能を見出された彼女は92年のグラミー賞で“ベスト・フィメール・
R&Bヴォーカル”を受賞するほど高い評価を得た。現在はスティングやローリング・ストーンズの
ツアーに参加するなどバックシンガーの世界で最高峰の一人として活躍している。
しかし、90年代に入ってから、様々な事情でバックシンガーの出番は少なくなってきた。」
(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。

フィル・スペクターとの確執が原因で音楽業界を離れ、一時は掃除婦の仕事をしていた
ダーレン・ラヴは80年代に音楽業界に復帰。メリー・クライトンもクラブで歌い続けている。
そんな中、“バックコーラスの歌姫たち”が世代を超えてスタジオに集まり、そのソウルフルな
コーラスを披露する……。」
Commented by gall_gall at 2015-01-05 18:49
おもしろそー。
オリジナルのタイトル、かっこいいですね
Commented by jazzyoba0083 at 2015-01-07 11:40
gal_galさん、こんにちは! 原題、洒落てますよね。一言で真髄を言い当てている。映画もいいです。アメリカン・ポップスシーンに詳しければ、更に面白いでしょう!お勧めです。
by jazzyoba0083 | 2015-01-02 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(2)