レイルウェイ 運命の旅路 The Railway Man

●「レイルウェイ 運命の旅路 The Railway Man」
2013 イギリス・オーストラリア Archer Street Productions,Latitude Media,Lionsgate.116min.
監督:ジョナサン・テプリツキー  原作:エリック・ローマクス『泰緬鉄道 癒される時を求めて』(角川書店刊)
出演:コリン・ファース、ニコール・キッドマン、ジェレミー・アーヴァイン、ステラン・スカルスガルド、真田広之
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
事実に基づいた話で、「戦場に架ける橋」のアナザーバージョンと言った風情。今の時代
だからこそ、見る価値がある作品だと思った。重いテーマであるが、当事者の一方は
日本人であるので、内容をしっかり受け止める覚悟と必要があるだろう。

クアイ川マーチでも有名な泰麺鉄道とその工事に当たらされた連合軍側捕虜の苛烈な扱いに
ついてはこれまでもいろいろな形で語られてきた。本作もその一環であるが、大きなテーマと
してあるのは、実話として存在した、イギリス兵と日本人憲兵の赦しの物語であることだ。

現在日本は、隣国と先の大戦についてまだゴタゴタしているのだが、許す側の寛容さ、
その寛容さを引き出す、加害側の心からの反省と詫びがなければ「赦し」は成立はしない、
ということが本作を見ているとよく分かる。特にラスト、真田広之が出てくる当りからその
テイストが色濃くにじみ出てくる。実際にあったこととはいえ、エリック・ローマクス中尉と、
憲兵永瀬のやがては友情に変わる「赦し」は、ありえないほどの苦痛を伴いつつも、深い心を
持った二人だから出来たのであろう。特に、苛烈な拷問を受けたエリックが、最後には永瀬を
見て許す下りはにわかには信じられない行動と思えるかもしれない。時が薬になっているのか、
またどんな時もエリックを支えてきた妻の存在が大きいのか。
これが国を代表する政治家同士となると話しはまた別のことにはなるのであろうが、通底する
心の持ちよう、つまり加害者と被害者のスタンスは同じだと思うのだ。
それが受け取れただけでも本作を観た価値がある。できれば日本人の多くに観て欲しい作品
だと感じた。

日本軍敗戦とともに逆に捕虜となった永瀬は、イギリス軍の質問に対し、自分は単なる
通訳であった、と嘘を言って、戦犯指名を逃れるわけだが、確かに厳しい言葉を投げかけては
いたが、上官の下にいて、指示に通訳しつつ見ていただけで、直接暴力を振るったわけでは
ない。その辺りに永瀬の人間性が垣間見ることができたような気がした。

もちろん日本軍によるイギリス兵の拷問シーンなどはあるが全体として抑制が効いた作風で
コリン・ファース、ニコール・キッドマン、真田広之など抑えつつも内心には様々な思いが去来
する人物を好演していた。映像の美しさも救いになっていたと感じたのだ。
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<ストーリー>
「英国人将校の壮絶な戦争体験や妻の献身的な愛をつづり、「エスクァイア」誌ノンフィクション
大賞に輝いたエリック・ローマクスの自叙伝をコリン・ファース主演で映画化したヒューマンドラマ。
第2次世界大戦時に日本軍がタイからビルマへの物資輸送のために計画し、多くの死者を
出した泰緬鉄道建設にまつわる悲劇がつづられる。

献身的な妻パトリシア(ニコール・キッドマン)と平穏な日々を過ごしているかのように見える
エリック・ローマクス(コリン・ファース)だが、胸のうちでは第二次世界大戦中に日本軍捕虜と
なったときの苦しみを引きずっていた。
彼は捕虜としてタイとビルマを結ぶ泰緬鉄道の建設に従事し、非道な扱いを受けていた。
その現場で通訳をしていた日本人・永瀬(真田広之)がまだ生きていると知ったとき、エリックは
激しく動揺する。永瀬はタイで戦争体験を伝える活動をしていた。決して癒えることのない辛い
思いが呼び起こされ苦しむエリックは、永瀬と直接向き合うために一人タイへと向かう……。」
(Movie Walker)


上記は概略であるので仕方がないが、映画では、エリックがなぜ戦時中のことを妻に語らない
のか、時々悪夢に苛まれるのか、戦友たちとの友情、そしてエリックと永瀬を合わせたい、
復讐をさせたい親友が、自らの命を断ってエリックに覚悟を促すなど、内容は結構苛烈である。
ラストシーンで当時の本人たちと、晩年、泰緬鉄道の鉄橋の上で撮影した二人のショットが
映しだされる。

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by jazzyoba0083 | 2015-03-26 23:15 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)