8月の家族たち August:Osage County

●「8月の家族たち August:Osage County」
2013 アメリカ The Weinstein Company.121min.
監督:ジョン・ウェルズ 原作・脚本:トレイシー・レッツ
出演:メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガー、クリス・クーパー、サム・シェパード
    アビゲイル・ブレスリン、ベネディクト・カンバーバッチ、クリス・クーパー、ジュリエット・ルイス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
舞台戯曲が原作の映画で、脚本も原作者が書いているので、舞台劇風になるのは
当然である。つまり役者の演技がモノをいう、ということだ。その点キャスティングには
力が入り、メリル以下の実力者たちが居並ぶ作品となった。だから、「お芝居」を楽しむ
映画ということになる。 メリルとジュリアの掛け合いを始めとして、若手のアビゲイルまで、
芸達者が揃った本作は、舞台劇だからシーンの移動も多くなく、セリフも多いのは
仕方がないが、よく出来た映画だと思う。が、「重く」「疲れる」作品でもあった。
含蓄の多いセリフ、冒頭からT・S エリオットが出てくる位だから。それぞれの含蓄を
味わっている暇のない展開である。

それにしても2時間、喧嘩しっぱなし。意地悪のし掛け合い。血の繋がる姉妹、親子だけに
その憎しみは他人同士より過激である。
中心に居るのが、口腔ガンにかかっているバイオレット(メリル)、映画の冒頭で詩人の夫
ベバリー(サム・シェパード)がインディアンの家政婦を雇った後、失踪、湖で溺死体で発見され、
自殺と断定される。
その葬儀に普段は顔を突き合わせない姉妹と家族が集まってくる。それぞれが問題を
抱えた一筋縄ではいかない家族ばっかりだ。という設定がいかにも舞台劇らしい。
父の葬儀に集まる兄弟姉妹・・・。

長女バーバラ(ジュリア)と夫ビル(ユアン)、一人娘で14歳のジーンは反抗期真っ最中で
手に負えない。次女アイビーは一人家にいて両親の面倒を見ていたが、いとこ(実は弟)の
リトル・リチャード(ベネディクト)と愛し合っている。
フロリダに住む三女カレン(ジュリエット・ルイス)は、フェラーリを乗り回す怪しげな婚約者と
現れる。これに、バイオレットの妹、マティ・フェイ(マーゴ・マーティンデイル)と、夫の
チャールズ(クリス・クーパー)が加わり、それぞれの問題を抱えたまま、ガンの治療薬の
飲み過ぎで、やたらハイになるバイオレットの恨みつらみとぶつかり合う。そのぶつかり合いが
ストーリーを構成しているのだが、ほとんどが喧嘩と諍い。そりゃもう激しいものです。

中でも母バイオレットと長女バーバラ、つまりメリルとジュリアの罵り合いは、「ビッチ」と
「ファ○ク」が飛び交う壮絶なもの。映画のポスターは葬儀の会食の際に、母親から
治療薬を取り上げようとする長女との取っ組み合いと、親族たちのワンショット。
ことほど左様な2時間ではある。その中でそれぞれのドラマが描かれ、観客はこの中の
だれかに自らを投影させるのかもしれない。そして、問題は何も解決されず、いや、さらに
悪化しつつ、ラストを迎える。ラストシーンは、喧嘩して我慢ならず、家を飛び出した長女
バーバラのトラックがは途中で止まり、引き返すところ。まさにライフ・ゴーズ・オンだ。
逃げたいけど逃げられない人生があるのだ。三姉妹みんな現実から逃げたいが問題が
発生し、それに絡め取られそうになっている。それが解決したかどうかは描かれず、
家族というもの、人生というものの難しさ、切なさを投げつけて映画は終わるのだ。
いやあ、疲れた。

原題はオクラホマのオサージ郡の8月という意味だが、中西部の、日中の気温が摂氏
40度を超える真夏、という設定が、この映画の空気を一層重苦しくしている。
その辺りの設定と内容がよくマッチしている。アメリカ人が観るともっとよく分かるのだろう。

それにしても、メリル・ストリープという女優さん、映画の中の仕草を見ていると監督の
指示だけではないだろう、というごくナチュラルな演技に唸る。
「お芝居」を堪能したい、という方は満足できる映画だろう。
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<ストーリー>
「ピュリッツァー賞とトニー賞に輝いた傑作舞台を映画化したヒューマンドラマ。父親の
失踪をきっかけにひさしぶりに実家へと戻ってきた家族の悲喜こもごものドラマが繰り
広げられる。メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツらアカデミー賞受賞の名優たちが顔を
そろえ、物語に深みを与えている。監督は『カンパニー・メン』のジョン・ウェルズ。

ある8月の真夏日、オクラホマの片田舎。父(サム・シェパード)の突然の失踪をきっかけに、
長女バーバラ(ジュリア・ロバーツ)、次女アイヴィー(ジュリアンヌ・ニコルソン)、三女カレン
(ジュリエット・ルイス)の三姉妹が、数年ぶりに実家へ集まってくる。
母・ヴァイオレット(メリル・ストリープ)は、重い病を患っているが誰よりも気が強く、いつでも
真実を言うのが正しいと信じている毒舌家。一方、美人で聡明、母親譲りの気質を持った
バーバラは、夫(ユアン・マクレガー)の浮気と娘(アビゲイル・ブレスリン)の反抗期に悩ん
でいた。
何事にも不器用なアイヴィーは、結婚もせず、地元に残って両親の面倒を見る毎日。
婚約者を伴ってきたカレンは、ある不安を抱えていた。それぞれの家庭、夢、恋、そして
自分自身、守るべきものがバラバラな家族たちが、激しく本音をぶつけあう中、数々の
“隠しごと”が暴かれていく……。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-04-06 23:35 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)