はじまりは5つ星ホテルから Viaggio sola

●「はじまりは5つ星ホテルから Viaggio sola」
2013 イタリア Bianca Film.82min.
監督・原案・(共同)脚本:マリア・ソーレ・トニャッツィ
出演:マルゲリータ・ブイ、ステファノ・アコルシ、レスリー・マンヴィル、ファブリッツァ・サッキ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
邦題はオシャレだけど、いわば「ホテル覆面調査員の孤独」という副題がつきそうな
作品である。世界各地の5つ星ホテルを名前を伏して宿泊し、白い手袋をはめて、部屋の
隅から隅まで「あら探し」。もちろん受付やボーイ、ルームサービス、レストランのサービスや
食器まで、目を光らせて、チェックを入れていく。忙しくて家にろくに帰れないし、結婚も
出来やしない。しかし、もう40歳も超えてしまった。主人公のイレーネに、何か割り切れない
ものが生まれてくる。自分は人に自慢出来る、尊敬される仕事をしているんだ、という自負が
崩されてくる。
それは、夫がオーケストラの楽団員で小さい子供が二人いる妹の、金持ちでも派手でもないけど
地に足がついた生活、さらに元カレが新しい恋人に赤ちゃんが出来た、と相談してきたことから
だった。そんなことを突き抜けてしまったベテランの境地にも至らず、なんだか生活の疲れが
見えてしまう調査員になってしまい、最近はどうもシンドさや周りの安定した暮らしの人々にばかり
目が行ってしまう。そんな折、ベルリンのホテルのサウナで知り合った同い年くらいの独身の
性科学者、彼女の芯のある話しっぷりに刮目したイレーネだったが、翌朝、彼女が急死し、別れた
旦那しか知らせる人がいないとホテルが困惑しているところに遭遇してしまう。明日は我が身だ。

この事件がセレステを変えるきっかけとなった。
最近ケンカしてしまった妹と仲直りし、赤ちゃんが出来た元カレやその彼女との間も修正し、
そして、自分探しの旅に上海へと出かけるのだった・・・。

そんな映画なんだけど、雰囲気があることは認めるが、底が浅いなあ、と思わざるをえない。
言いたいことは終始分かっちゃっているんだよね。アラフォーのばりばりのキャリアウーマンの
孤独。そして自分探し。まあ、セレステが独身でもいいや、と吹っ切れたのか、どうなのかは
分からないし、なんで上海に行ったのかも分からないけど。セレステのアンチテーゼとして
提示される妹家族や元カレと彼女(と出産)という、わかり易すぎる構造も、今ひとつ心に
こだわりを残しづらい。主人公の職業の設定の面白さだけで引っ張る作品だ。主題に基づく
エピソードの積み重ね方には工夫も感じられるし、それなりに見られるのではあるが、
全体に食い足らなさが残った作品であった。
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<ストーリー>
「実在する数々の5つ星ホテルを舞台に、ホテルの覆面調査員が直面する人生の岐路を描く
ヒューマンドラマ。
出演は、「題名のない子守唄」のマルゲリータ・ブイ、「ぜんぶ、フィデルのせい」のステファノ・
アコルシ、「家族の庭」のレスリー・マンヴィル。
監督・脚本は、「ダブルボディ」のマリア・ソーレ・トニャッツィ。

フランス・パリのオテル・ドゥ・クリヨンをチェックアウトしたイタリア人のイレーネ(マルゲリータ・
ブイ)は、世界の5つ星ホテルのサービスをチェックする覆面調査員だった。誰もが憧れる
仕事をしているが、私生活では40歳独身。それでも自由な生活を謳歌していた。

イタリア・トスカーナのフォンテヴェルデ・タスカン・リゾート&スパで調査中のイレーネの前に、
元婚約者アンドレア(ステファノ・アコルシ)が現れる。今は親友のアンドレアは、現在の彼女
との間に子供ができたことを相談し、自分たちに子供ができていたら産んだかとイレーネに
尋ねる。イレーネは、必要ないから産まないと答える。
ある日イレーネは、ローマにある妹夫婦の家で過ごしていた。2人の娘を持つシルヴィア
(ファブリツィア・サッキ)はイレーネの将来を案じるが、イレーネは姪が世話してくれるとかわし、
姪たちと絆を深めるため南イタリア旅行へ出かける。しかし夜になるとママに会いたいと
泣かれてしまい、失敗に終わる。

イレーネは仕事で行ったモロッコ・マラケシュのパレ・ナマスカで素敵な男性と楽しいひとときを
過ごすが、愛妻家という言い訳でフラれてしまう。ローマに帰ったイレーネは、子供が産まれる
彼女の側にいるために新居を探すアンドレアに同行する。次第に父親の責任を持ちつつある
アンドレアに、なぜか冷たい態度をとってしまうイレーネ。さらにシルヴィアとも些細なことで
喧嘩してしまう。イレーネはドイツ・ベルリンのホテル・アドロン・ケンピンスキーで、人類学者
ケイト(レスリー・マンヴィル)と意気投合する。翌日、一緒にトルコ街に行く約束をするが、
突然の別れが訪れる。
将来への不安から孤独を感じたイレーネは、ローマに戻ってもシルヴィアと仲直りできず、
さらに孤独を深める。思わずアンドレアにすがるが、彼にはまもなく新しい家族ができる。
華やかで自由な人生と引き換えにある孤独に気づいたイレーネは、自分らしい人生の旅の
答えを出す。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-04-23 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)