her/世界でひとつの彼女  Her

●「her/世界でひとつの彼女  Her」
2013 アメリカ Annapurna Pictures.126min.
監督・脚本・(共同)製作:スパイク・ジョーンズ
出演:ホアキン・フェニックス、エイミー・アダムズ、ルーニー・マーラ、(声)スカーレット・ヨハンソン
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<2013年度アカデミー賞脚本賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
オスカーを獲ったから言うわけじゃないけど、これは脚本の勝利だ。だれでも思い付きそうな
ストーリーを、物語性の面白さで引っ張る。ホアキン・フェニックスの職業が手紙の代書人と
いうのも良い設定。事前情報なしで鑑賞したのだが、エンディングロールで初めて分かった
声の主が、スカーレット・ヨハンソンだったのね!上手かった。声だけで感情の押し引きを
演じているのだが、これがなかなかいいんだ。

近未来に、PCのOSがあそこまで発達、自己学習を遂げて、人間と同じ恋愛感情を持てるとは
到底思えないし、逆にそれだけのAIがあると、これもいくつかの映画やテレビドラマのテーマにも
なってきたように、人間に反乱を起こすという恐怖もあるわけだ。(アシモフのロボット3原則は
あるにしても)しかしながら、本作では、それは置いておいて、機械に恋してしまった男の困惑と
リアルな世界に近づいていく恋愛感情のもつれが面白く描けていた。

ホアキン・フェニックスというと個人的には怖い人のイメージがあるが、本作ではメガネと
口ひげといういでたちではあるが、最初だれだか分からなかった。個人的な手紙の代書屋と
いう感情豊かな男性で、いつも紙の上に人様の様々な愛情や感情を綴っていればこそ、
OSのサマンサに引き込まれていく、という見方も出来よう。

マルチタスクの優秀なPCなら当然なんだろうけど、恋人が全世界に600人余いる、告白を
サマンサが主人公にするというエピソードもいい。「あなたが一番なの」といわれても、俄に
機械のいうことを信じられないジレンマというのは当然あるわけで。
OSの肉体部分を担う女性の登場も面白い設定。さらにオチをどう付けるか、見ながらずーっと
思っていたのだが、Windows8が10になるように、全部のOSが消える運命になったのだった。
(と私は理解した)つまりサマンサの恋愛相手600人余も恋人を失ったわけだ。

サマンサのカウンターとなるのが主人公の離婚交渉中の妻(ルーニー・マーラ)と、仕事の
友人(エイミー・アダムス)。肉体を持った人間臭い女性を演じて、OSの彼女との対比を
演じる。それにしても、スカーレット・ヨハンソンの声は、彼女らの存在を凌駕する存在感を
示していた。

それにしても今の日本でも歩きスマホが問題となっているが、街中が耳に挿した超小型PCと
ぶつぶつ話ながら歩いている光景は、おぞましいものと映った。
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<ストーリー>
「 「マルコヴィッチの穴」「かいじゅうたちのいるところ」のスパイク・ジョーンズ監督が
「ザ・マスター」のホアキン・フェニックスを主演に迎えて贈る異色ラブ・ストーリー。
コンピュータがさらなる進化を遂げた近未来を舞台に、傷心の作家が女性の人格を
有した人工知能(AI)型オペレーティング・システム(OS)と心を通わせ、本気で恋に
落ちていく切なくも愛おしい姿を描く。
共演はエイミー・アダムス、ルーニー・マーラ、オリヴィア・ワイルド。
そして主人公が恋に落ちるAI“サマンサ”の声を務めたスカーレット・ヨハンソンは、
ローマ国際映画祭において、声だけの出演で史上初となる最優秀女優賞に輝いた。

 そう遠くない未来のロサンゼルス。他人に代わってその相手への想いを手紙に綴る
“代筆ライター”のセオドア。仕事は順調だったが、その一方で離婚調停中の妻キャサリンとの
思い出を、別れて1年経った今も断ち切れないでいた。
そんなある日、最新式のAI型OS“OS1”の広告を目にしたセオドアはさっそく自宅のPCに
取り込むことに。すると起動した画面の奥から聞こえたのは、“サマンサ”と名乗る女性の声。
それは無機質で事務的なAIとは思えないほどユーモラスかつセクシーで、バイタリティーに
満ち溢れる人間のようだった。サマンサをすぐに気に入ったセオドアは携帯端末にも彼女を
インストール。

こうして常に一緒のふたりは新鮮で刺激的な日々を過ごし、いつしか恋に落ちていく。
そしてついに、セオドアはキャサリンとの離婚届に判を押そうと決意。しかし、再会した彼女の
前でAIとの交際を打ち明けたことをきっかけに、セオドアとサマンサそれぞれの想いが
すれ違い、ふたりの関係に異変が生じていく…。」<allcinema>

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by jazzyoba0083 | 2015-05-09 23:40 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)