スペア・パーツ Spare Parts

●「スペア・パーツ Spare Parts」
2015 アメリカ Brookwell-McNamara Entertainment and more.83min.
監督:ショーン・マクナマラ
出演:ジョージ・ロペス、ジェイミー・リー・カーティス、マリサ・トメイ、カルロス・ペーニャ、アレクサ・ペニャベガ
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
ホノルルからの帰路、飛行機の中で鑑賞。日本では未公開。短い映画だから、ということ
だけで見始めたのだが、これが実話を元にして作られているとはいうものの、馬鹿に面白ろ
かった。不覚にも飛行機の中で涙を流すところだった。胸がじーんと熱くなった。
まだ日本で公開されていないので情報は少ないけれど、評価の高い映画だと思う。

映画の3分の1がスペイン語というラティーノの少年たちの青春物語であり、また、
今年のアカデミー賞で主要部門を独占した「バードマン・・・」のイリニャトゥ監督が表彰式で
熱く語った移民政策でも分かるように、メキシコからの不法移民の現状を描くという側面を
持つ。物語は、NASAが主催する「全米水中ロボット大会」に出場した4人のヒスパニックの
少年たちの、奮闘と裏にある移民問題を描く。彼らの手作りのロボットが、MITやコーネル大学と
いった名門大学を抜き去って優勝してしまう過程を、社会、親子、学校、友情、師弟という様々な
視点から描いていく。短い時間ではあるが、よく出来ていたと思う。

アリゾナ州フェニックスにある「カール・ヘイデン コミュニティ高校」は、学校中にスプレーで
落書きがあるような、典型的なダメ高校。在学生の多くは不法移民だったりで、圧倒的に
ヒスパニックが多く、スペイン語が公用語のように飛び交う世界だ。ただし、銃がぶっ放されたり
警官隊が乗り込む(落書きで乗り込みかけたが)ような酷さはないようだ。
そんな高校に、短期休養の教師の代わりにやって来たエンジニアあがりの教師(一応博士)が
職を求めてやってきたのだ。
彼は、生徒たちのやる気を引き出すため、(というかやる気がでないのは、そのチャンスと
評価に恵まれないからだという信念のもと)、NASA主催の水中ロボット選手権に出場する
仲間を集めることにした。集まったのは4人のラティーノたち。それぞれ不法移民だったり
親の理解がなく、せっかく優秀な頭を持っていながら、地を這うような生活を抜けられなかったり
問題児だらけであった。しかも、あえてエントリーした部門に出場してくる大学は全米でも
名だたる優秀な大学ばかり。資金も2万ドル近くを費やしていた。

そんな大会に800ドルの資金で、DIYショップで買い込んだ材料で超アナログなロボットを
作り上げた。理解のあるポップな女性校長の支えもあり、苦心惨憺の挙句に完成した
ロボットを、大会会場に持ち込む一行。
水中の潜水艦のハッチを開ける、ベルを鳴らすなどのミッションを時間内にクリアしていかなくては
ならない。名門大学は高性能のロボットで難関を突破するが、ちょっとしたミスが命取りと
なる。そんななか、水漏れをタンポンで防水した「カール・ヘイデン コミュニティ高校」のロボットは
ミスも犯しながらも、最難関のミッションをクリアしたりで総合4位という出来すぎのポジションを
得た。コンテストは、実技だけではなく、ロボット工学に理解があるかという口頭試問もある。
高校生らは事前に設問を予想して勉強を重ね、インタビューに臨む。しかし、中の一人が
指導教官から「指導者から援助を受けると失格になる」と聞いていたにも拘らず、担当教諭から
百数十ドルの援助を受けた、と言ってしまう。当然失格となると思い、誰にも言えなかった
メンバーの一人。そして表彰式。高校生には「審査員特別賞」が贈られた。高校生らは
これで上位3位までには食い込めないとがっかりする。3位はコーネル大学、2位はMIT。
そして最後に呼ばれたのは、何と、「カール・ヘイデン コミュニティ高校」であった。
一瞬信じられない高校生ら。そして次には狂喜が爆発する。会場には、父親から理解されず
弟の面倒だけを見るようにと言われていたメンバーの父の姿が。彼はようやく自分の息子の
真の姿を見たのだった。抱き合う二人・・・。

映画のラストで実際のメンバーや教師のその後が説明される。優秀な成績につき、市民権を
得られたり、大学奨学金を得たり、オバマ大統領まで大学卒業式に来るメンバーもいた。
カール・ヘイデン高校はその後もロボットコンテストで優秀な成績を収めているという。

驚愕の事実と、裏にある様々な愛憎、苦悩が短い間によく描かれ、最後のコンテストには
手に汗を握り、顛末を知らずに見た私は、ラストの優勝シーンとメンバーの父親の登場シーンで
胸が熱くなり、思わずウルウルしてしまったのだ。

この映画のもう一つのテーマはメキシコからの不法移民ということ。それも溢れること無く
描かれていた。単なる水中ロボットに高校生優勝ということだけでない重みがこの映画には
ある。全高校生に見せたい映画だ。派手ないから、単館上映かビデオスルーになるかも。

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by jazzyoba0083 | 2015-06-01 13:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)