インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 Inside Llewyne Davis

●「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 Inside Llwyne Davis」
2013 アメリカ CBS Films,Studio Canal.105min.
監督・脚本・(共同)製作・編集:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演:オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン、ジャスティン・ティンバーレイク他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
よく分からない内容もありながら、何故か好きなコーエン兄弟。本作は1961年のNYを舞台に
売れないフォーク歌手の、いわば不条理とも言うべき人生を、コーエンタッチともいうべき作画と
ストーリー展開で映画いてく。 冒頭とエンディングが「な~るほど」という形でリンクする表現が
主人公の抜け出られない、成功しない人生を象徴していると感じた。主人公の最後のセリフが
フランス語で「オール・ヴォアール」(また会おう)、だったので、さよならを表す「アデュー」じゃない
ところがまた、芸が細かいな、と。彼の惨めな人生のループは切れがない、ということなのだろうか。
しかしながら、彼は人生を不幸と感じているのか。そのような気配は感じないのが、惨めなままで
終わらないこの映画の優れた点であろう。

あとで思うと、この映画はカラーだったか?と思うほど、色彩の感覚が無く、モノクロ調。さらに
主人公の唄う歌が、ものすごくマイナーというか陰鬱なんだな。(オスカー・アイザックの歌と
ギターは上手いけど) 自分の惨めな人生を歌にすると客に受けないし、レコードも売れない。
でも不器用な主人公は、それが出来ない。共に行動することになってしまう猫が、彼の心の
「自由」のメタファーとして、奔放に走り回る。

惨めな人生をうまく表現することは難しいのではないか。コーエン兄弟は細部に拘って、ちょっと
したトピックスを重ねることで、それを上手く表現していた。ちょっとぶっ飛んだコーエンらしい
登場人物も、切れのある不条理の表現として、効果的であった。本作はカンヌ映画祭で2等賞とも
いうべき「グランプリ」を獲得したが、なるほど、カンヌ好みの出来ではある。

コーエン兄弟の作品はテンションの高いモノも面白いが、こうした一見地味だが、深く心に滲み
いる作品も上手いなあ、と感じた次第だ。
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<ストーリー>
ジョエル&イーサン・コーエン監督が、60年代にボブ・ディランらとともにニューヨーク・グリニッジ・
ヴィレッジのフォーク・シーンで活躍したデイヴ・ヴァン・ロンクをモデルに描く感動の音楽ドラマ。

才能はありながらも不器用ゆえに成功から見放された名もなきフォーク・シンガーが、猫を
相棒に繰り広げる冴えない流浪の日々を、ペーソスとユーモアを織り交ぜしみじみとした
筆致で綴る。
2013年のカンヌ国際映画祭ではみごと次席にあたるグランプリを獲得。主演はオスカー・
アイザック、共演にキャリー・マリガン、ジャスティン・ティンバーレイク、ギャレット・ヘドランド、
ジョン・グッドマン。また、「オー・ブラザー!」でもコーエン兄弟とタッグを組んだT=ボーン・
バーネットがエグゼクティブ音楽プロデューサーを務める。

 1961年、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ。音楽に対してだけは頑固で、それ以外の
ことにはまるで無頓着なしがないフォーク・シンガーのルーウィン・デイヴィス。金も家もなく、
知人の家を転々とするその日暮らしの日々を送っていた。そんなある日、泊めてもらった
家の飼い猫が逃げ出してしまい、成り行きから猫を抱えたまま行動するハメに。おまけに、
手を出した友人の彼女からは妊娠したと責められる始末。たまらず、ギターと猫を抱えて
ニューヨークから逃げ出すルーウィンだったが…。(allcinema)

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by jazzyoba0083 | 2015-07-05 23:20 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)