2015年 07月 27日
バッドガイ 反抗期の中年男 Bad Words
2013 アメリカ Aggregate Films,Darko Entertainment,Lasky Productions.89min.
監督:ジェイソン・ベイトマン
出演:ジェイソン・ベイトマン、キャスリーン・ハーン、ローハン・チャンド、フィリップ・ベーカー・ホール他
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
幼いころに捨てられた子供の、父親に対する壮大な復讐劇、なのだが、まあ何とも
ブラックというか、嫌な感じとういうか。子供相手にそこまでするか、とジョークも一応
ユーモアのテイストをまとっているのだが、子供が真剣勝負に来ているのに、それは
ないだろう、というシーンが主人公に対するシンパシーよりも嫌悪の方が強くなってしまい
損をしているなあと感じた。全米のスペリング大会が舞台なのだが、子供を蹴落とすために
自分の彼女のパンツを横に座った男の子に持たせ、母ちゃんは浮気をしたぜ、と言って
動揺させたり、ケチャップをイスに撒いて、生理が始まっちゃったのか?と女の子をその場
から逃げるように仕向けたり。全体として味のある作品なのだが、個人的には設定が
なんだかなあ、という感じを受けてしまった。監督が主役を演じている日本劇場未公開作品。
---------------------------------------
ルールの隙間を縫って子供が出るスペリング大会に出場したガイ。周りの避難をよそに
大人げなく子供に混じって州大会を突破、全米大会に進んだ。そこでも先に書いたような
えげつない手を使って子どもたちを蹴落とし、全米スペリング協会の理事の悪巧みも
はねつけ、快進撃。最後に残ったのは、本大会に出場するための飛行機に乗り合わせた
インド系の少年チャイタニアだった。
彼は、不思議とガイに懐き、大会の合間に街に出て、万引きしたり酒を飲んだり、娼婦の
おっぱいを見に行ったり、ガイのめちゃくちゃな遊び方に喜んでしまう。少年は友達も
いなくて、勉強ばかりの日々だったので、ガイみたいな友達が出来たのは嬉しかったのだ。
しかし、ガイにとっては迷惑な話。
最後に残ったのは、ガイとチャイタニアだった。もとより優勝することが目的ではないガイは
わざと間違えてチャイタニアに優勝させようとするが、彼も意地になって間違えて、真剣な
勝負をせよと譲らない。最後にはガイが少年に助け舟を出し失格となり、チャイタニアが
優勝となる。会場はガイの存在に大ブーイングだったので、少年の優勝に拍手喝采。
しかし、全米にテレビ中継されていた大会で、ガイが次々とやらかす嫌味の数々に大会は
大混乱となるのだった。
チャイタニアは素直な少年で、5万ドルの賞金の半分はガイのものだ、と主張する。
本作のストーリーの本筋は冒頭書いたように、ガイが実は全米スペリング協会の会長と
なっているボウマン博士が自分を幼いころに捨てた父であることを突き止め、父が徹底的に
恥をかくような仕掛けをしたのだった。ガイは幼い頃から天才の要素があると言われていたが
十分な教育も受けさせてもらえず、成長してきた。しかし頭はもとから良かったのでスペルを
覚えることについては優秀ではあったのだ。
そしてガイと行動を共にするネット新聞記者のジェニー。前からの知り合いのようで、セックスも
する中なのだが、位置づけが今ひとつはっきりしない。恋人、ということでいいのかな。
彼女はガイの正体を、友達の連邦捜査官に突き止めてもらい、大会の会長がガイの父である
ことを知って愕然とする。
混乱した大会も終わり、全米に赤っ恥を晒したボウマン博士が帰り際のガイと出くわす。ガイは
父に宛てた手紙を書いて渡すが、ボウマン博士はその場で破り捨てる。しかし、ガイから「息子
からの手紙だ」と言われ、愕然とし、手紙をつなぎあわせて読むのであった。
そこには何でガイがこんなことをしたか、父にわかって欲しいという趣旨の言葉が書き連ねて
あった・・・・。
-----------------------------------------
スペリング大会を舞台にした映画は他にもあるけど、ここを復讐の場にする大人げない男の
話に仕立てるとは驚いた。主人公ガイは、ほとんど全編嫌われ者なのだが、心底悪人では
ない、ということはそこかしこに出る態度でわかる。そして無邪気は少年チャイタニアの
存在がこの映画を救っている。ガイが単なる悪ではないことをこの少年を通じて描いている
訳だ。そして、スペリング大会の決勝戦で父親に恥をかかせるという回りくどいことを何故したか
ということも、本人は分かっているのだ。冒頭で自分がこういう手段しか取れないということを
独白している。決して後味がいい映画とは言えないが、(ラスト、チャイタニアへのいじめっ子を
私設パトカーで追い回す、なんてところはいい)なんとも味のある(味わい深いではない)
作品ではあったと思う。短い作品ではあるが、エピソードというかガジェットというか、面白い
挿話があり、その辺りは楽しかった。ロブスターとトイレのオジサンとか。しょうもないネタだけど。
この映画の詳細はこちらまで。