最後の忠臣蔵

●「最後の忠臣蔵」
2010 日本 配給:Warner Bors. 制作:「最後の忠臣蔵製作委員会(WB、角川映画ほか)133分
監督:杉田 成道        原作: 池宮彰一郎 『最後の忠臣蔵』(角川文庫刊)
出演:役所広司、佐藤浩市、桜庭ななみ、山本耕史、風吹ジュン、田中邦衛、伊武雅刀、笈田ヨシ
    安田成美、片岡仁左衛門ほか
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
「北の国から」の杉田監督のメガフォン、さすがに情緒表現は上手いなあ。忠臣蔵ものは
好きなので、機会があれば見るようにしているのだが、この度WOWOWで放映されていたので
鑑賞した次第。 いい映画でした。ま、ラストの有り様はちょっと合点が行かないものもありますが、
あれもまた武士の生きる道なのでしょう。

「忠臣蔵」外伝とも言うべきもので、創作の世界。(ただし、寺坂も瀬尾も実在の人物で、討ち入りの
前後に謎の逐電を遂げた話は有名。これをベースに小説化)大石内蔵助の命によりう討ち入り
切腹に加われなかった二人の武士の生き様を描く。一人は、吉良邸の討ち入りには加わったものの、
内蔵助から「見聞きしたことを赤穂に伝え、遺族の行方を安堵せよ」と言われた寺坂吉右衛門
(佐藤浩市)。
もう一人は、京都時代に内蔵助とお軽の間に産まれた女児を育てあげよ、と命じられた
藩士ではないが、内蔵助の側用人の瀬尾孫左衛門(役所広司)である。

冒頭、来年浅野内匠頭、また四十六士の17回忌が近づいていた。寺坂の遺族援助の度も
終わりに近づいていた。そんなおり、親友であり、殿の仇討ちを固く誓っていた親友
瀬尾孫左衛門の姿を見かける。討ち入り直前に皆の前から逐電した瀬尾。その目的は
まったく分からなかった。 瀬尾は美しい娘、可音(かね)と暮らしていた。そして、二人の
身の回りを世話をするのが、かつて伏見の太夫で茶屋四郎次郎に身受けされた、ゆう
(安田成美)であった。彼女は誰なのか、映画の中ではなかなか明かされない。

そんなおり、京の豪商、茶屋四郎次郎の竹本座で興行される、人形浄瑠璃を見物に行くが、
そこで可音は茶屋の長男修一郎に一目惚れされる。茶屋の側に寺坂の姿を見つけた
瀬尾は訳のわからぬ可音を芝居の途中で小屋から引き出して家に帰ってしまった。

骨董品の鑑定のため、茶屋家に出入りしていた瀬尾は、四郎次郎から、皮肉にも、
小屋に来ていた娘の身元を探しだして欲しいと以来される。長男も、四郎次郎自身も
惚れ込んでしまい、是非長男の嫁にしたいというのだった。

寺坂は、瀬尾の後を付けて、瀬尾に逐電の理由を聞くが、絶対に答えない。逆に寺坂に
刀を抜いて迫ってきた。寺坂は、自分が何をしてきたかを問わず語りに瀬尾に聞かせる。
まったく同じようなことで、内蔵助と切腹できなかった瀬尾は、自分以外に同じような
使命を帯びた男がいて、それが親友の寺坂だったことに驚く。

16歳になった可音は、ひそかに瀬尾を恋いていた。しかし、それは受け入れられない。
やがて、瀬尾は可音に、自分が内蔵助の隠し子だということ、内蔵助の命で、16年間
育ててきたこと、などを説明した。瀬尾は、武士は戦や争いで命を失うこともある、可音を
嫁に出すなら商家だ、と決めていた。可音は、瀬尾の言いつけを聞き入れ、茶屋に
お輿入れすることになった。 茶屋に瀬尾がその旨を説明すると、驚く茶屋であったが
「大石殿の隠し子ということで茶屋様にご迷惑がかかりはしまいか」という瀬尾の言葉に
茶屋は「何をおっしゃる。大石殿といえば天下の忠臣の鏡。そのお姫様を迎え入れ、
なんの差し障りがありましょうか」とむしろ歓迎の意思を示した。

瀬尾は、ゆうから、ずっとあなたを好いていた。この先私と暮らしてくれないか、死なないで
欲しい、と懇願されるが、断ってしまう。
可音と瀬尾。二人で住む庵から花嫁衣装になり、しばしの別れをした後
行列が茶屋の家に向かった。と、寺坂を初めとして、このことを聞きつけてきた旧浅野家
家臣らが、途中から行列に加わらせてくれ、と入ってきた。(ここはちょいと感動のシーンだ)

そして、「高砂や・・」と婚礼が進む中、瀬尾の姿がない。瀬尾は、庵に戻り、内蔵助の位牌を
前に、自分が命じられたことは今日終わった、この際は大石様の身元につかまつる、と
腹を切る用意をし始めた。脳裏に浮かぶ可音との日々。しかし、瀬尾の幸せは、命を投げ打ち
仕えると決めた内蔵助の元に逝くことであった。
瀬尾の不在を不審に思った寺坂は、瀬尾の家に馬を飛ばすが、時既に遅し。「解釈無用」と
瀬尾は己の首を脇差しで掻き切って果てたのであった。
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そんなお話。武士の本懐を遂げられず、一人は地味な、一人は裏切り者呼ばわりの中で
共に内蔵助の命を守った武士。どちらも武士であった。切腹した瀬尾の姿を見た寺坂の
心中はいかばかりであったろう。逝き遅れた武士として、己は・・・、と思ったに違いない。
しかし、観客は、寺坂に「死ぬな!」と叫ぶことであろう。

他の書き込みにも「何も切腹させなくても」と書いた意見もうなずけるが、こういう生き方も
きっとあったのだろうと、今では想像も付かない武士道の一面を垣間見る。
原作は未読であるが、物語として、映像美として、納得の一編であった。ただ、最近の
邦画が何かにつけて役所広司と佐藤浩市なのは何とかならんのだろうか。確かに二人は
素晴らしい役者なんだけど。可音が内蔵助の隠し子と分かった時点での騒動は、実際は
映画のような塩梅にはいかなかったであろうと思う。

この映画の詳細はこちらまで。
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by jazzyoba0083 | 2015-08-02 23:20 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)