美しい絵の崩壊 Two Mothers

●「美しい絵の崩壊 Two Mothers」
2013 オーストラリア・フランス Gaumont,Screen Australia,and more.111min.
監督:アンヌ・フォンテーヌ  原作: ドリス・レッシング 『グランド・マザーズ』(集英社刊)
出演:ナオミ・ワッツ、ロビン・ライト、ゼイヴィア・サミュエル、ジェームズ・フレッシュビル他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
舞台はオーストラリアで、タッチはフレンチ。光景は夏なので、今どき見るにはいい感じ。
邦題が意味深長だけど、よくもひねったなあ、とちょっと感心。原題は二人の母だものね。
映画って、こんなことまあありえないけど、あったら面白いだろうな、ということを映像にして
見せる面白さがあるのだけれど、ジャンルはいろいろあれるけど、恋愛映画としての
1つのあり方として、面白かった。ハーレクイン・ロマンスみたいで重厚さはあまり感じなかった
けど、男女の恋の一つの有り様としては楽しませてもらった。大学生の母親としての二人の
主人公はいささか痛々しかったけど、それがまたこの映画の狙い目でもあるわけだ。

幼い頃から親友だったリル(ナオミ)とロズ(ロビン)。長じて結婚して同じ歳ごろの男の子が
出来、その子同士も親友となった。しかし、リルの息子イアンが、親友の母ロズに恋してしまい、
一線を超える。これを目撃したロズの息子トムも、好意を寄せていたリルに手を出してしまう。
リルは夫を亡くした寡婦であり、ロズには大学教授の立派な夫がいるという状況。

やがて二人同士の関係はお互いに知るところとなり、しばらくは4人で愛人生活を送る。
夫がシドニー大学へ職を見つけて引っ越したいというが、ロズはこの場に留まるという。
母親たちは、二人の男の子たちはやがて若い娘を見つけ恋をし、私達から離れていく、
それが当然であり、その時は潔く身を引こうと約束する。

2年が経過し、ロズは夫と離婚。夫は若い後妻を迎え赤ちゃんさえ作ってシドニーで
幸せに暮らしていた。トニーは父親に演劇を習い、演出家としての勉強に励む。
そんな中、劇に出演していたメアリーという女優といいなかになる。リルは当然のことと
して身を引き、二人は結婚する。これを機会にロズもイアンと別れる決意をする。
納得しないイアンであったが、メアリーの友人のハナとくっつき結婚する。

そして数年が流れる。二人の若者は家庭を持ち、ロズとリルもすっかりおばあちゃんと
なっていた。しかし、ある日、リルとトニーがまたしても一線を超える。これを見てしまった
イアンが、皆の前で全てをぶちまけてしまう。事実を知った若者の妻たちは、子供を連れて
去って行ってしまった。そしてエンディング。海の沖に浮かせてある3畳ほどのポンツーンに
上には、恋愛関係にあった時の4人の姿がまたあったのだった。

そんなお話。若いイケメンの二人がお互いの母親と恋愛関係(男女の関係)に陥るという
あまりない想定の物語。それがまた抜き差しならぬほど深い愛情なのだな。お互いの母親が
長い間かかって築いた友情、その子供らも当然のように親友となり、お互いの母親を恋する、
という・・。なんと言っていいものやら。まあ、いいんじゃないの?20歳以上の歳の差も、
今の時代そうびっくりすることでもないだろうし、しかし恋人が60歳の時、男はまだ40代だな。
その時にどうなるのだろうか。余計なお世話だけど。「恋愛の、"ある"形態」。それだけのこと。
全体を美しく描き、女流監督らしい纏め方であった。
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<ストーリー>
ドリス・レッシングの小説『グランド・マザーズ』を「ココ・アヴァン・シャネル」のアンヌ・
フォンテーヌが映画化。女性の親友同士がお互いの息子と恋に落ちたことから、崩壊へと
向かう二組の家族の様子を「インポッシブル」のナオミ・ワッツと「ファレスト・ガンプ 
一期一会」のロビン・ライト主演で描く。
共演は「ドリフト」のゼイヴィア・サミュエル、「アニマル・キングダム」のジェームズ・フレッシュヴィル。

オーストラリア東海岸のビーチタウン。双子の姉妹のように同じ時を過ごしてきたロズ
(ロビン・ライト)とリル(ナオミ・ワッツ)は、今ではそれぞれの伴侶との間に同い年の男の子が
いる。ロズの息子トム(ジェームズ・フレッシュヴィル)とリルの息子イアン(ゼイヴィア・
サミュエル)は、母親たちと同様に親友であり、海辺の生活を満喫していた。

イアンは幼少期に父親を亡くし、それからはロズをセカンドマザーとして慕っていたが、
いつしかロズへの気持ちは強い恋心へと変わっていく。そんなある日、ロズの夫ハロルド
(ベン・メンデルソーン)は、シドニー大学で演劇の専任講師の職を得たと、家族揃って
シドニーへ転居することを提案。トムの為にも都会で暮らした方が良いと主張するハロルド
だが、入り江の家やギャラリーでの仕事を手放したくないロズは即答を避ける。

ある夜、深酒をしたトムの介抱のためにロズの家に泊まったイアンは、ロズへの気持ちを
抑えきれず、二人は一夜を共にする。母とイアンの行為に気付いたトムはショックを受け、
あてつけに同じことをしようとリルに迫る。一度は拒否したリルだが、トムを受け入れて
一線を越えてしまう。

ロズもリルもお互いの息子と関係を持ってしまったことに戸惑いながらも、二人は愛される
幸せをかみしめていた。結局ロズはシドニーへ行くことを拒み、許されないことだと知りな
がら、二組の男女はその関係を続けることを選ぶのだった。

二年後、ハロルドはシドニーで新しい家庭を持っていた。一方、入り江ではロズとイアン、
リルとトムの関係は密やかに続いていた。イアンは母の会社で働き、トムは父と同じ
演劇の道に進んでいる。そんな中、舞台演出のために長期でシドニーへ赴いたトムは、
その舞台の成功とともに女優のメアリー(ジェシカ・トヴェイ)との結婚が決まり、ロズは
自分とイアンの関係も清算する時期だとイアンを説得する。だがロズを愛しているイアンは
納得がいかず、自棄になったイアンはトムの結婚式に出席していたハナ(ソフィー・ロウ)と
付き合うが、そこに愛はなかった。
ハナとの関係を終わらせようとしていた矢先、イアンはハナに妊娠を告げられる……。

数年後、ロズとリルは可愛い孫たちに囲まれていた。入り江で戯れる一家の様子は
美しい一枚の絵画のようであったが、ある晩、リルとトムが秘密裏に体の関係を続けて
いたと知ったイアンは、その脆く美しい絵を一気に崩壊させてしまう……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-08-07 22:45 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)