大誘拐 RAINBOWKIDS

●「大誘拐 RAINBOWKIDS」
1991 日本 東宝 キハチプロ他 120分
監督・脚本:岡本喜八 原作:天藤真「大誘拐」
出演:北林谷栄、緒形拳、風間トオル、内多勝康、西川弘志、神山繁、水野久美、岸部一徳、嶋田久作他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
<物語の根幹に触れています。ご注意ください>

原作となった天藤真著「大誘拐」がものすごく面白く、(週刊文春主催ミステリーベスト10、
20世紀国内部門第一位)その解説文のなかに、岡本喜八で映画化されている、と知り、
ネットでレンタルした。映画の評価は高いのだが、私はそれほどではないな、と感じた。
順番が逆だったらそうでも無かったかもしれないけど、原作の面白さを十分に出しきれて
いないのではないか、と。ただし、最初から2時間の映画として鑑賞すると、先に書いたように
評価が高くなるかも知れない。原作にはこの物語を面白くする微妙なニュアンスや挿話が
もっともっとあるからだ。まあ、分厚い本を2時間の映画に仕立てた岡本監督の脚本は
それはそれで上手く纏まって仕上がってるとは思うけど。

今から25年程も前の映画なので、北林谷栄も緒形拳も鬼籍に入ってしまった。今となっては
再現できない彼らの演技を見ることが出来るのは嬉しいが、風間トオルも含め、全体に
大阪弁が上手くなく、原作の人を喰った面白いニュアンスに欠けていたように思う。
北林も緒形も風間も関東の出身だから、ネイティブの関西弁じゃあないのだ。その辺り、
関西に住まわれている観客はもっとシビアに感じるのではないか?
原作の緻密さと比べて、大味でチープというのは易いけれども・・・。

岡本喜八監督の作品をどうこう言えるほど氏の作品を鑑賞していないが、本作に限って
云えば、原作の持つユーモアを上手く処理出来ていて、演出、カメラワークや編集も
作品全体のタッチとしては良かったと思う。原作のどこを映像化するのか、とう点でも
良かったのではないか。まあ、この小説を映画化しようと思うこと自体が、恐れいりました、
なんだけど・・・。
またセリフやキーになるガジェットの使い方も原作を忠実にトレースしていて、良かった。
個人的には緒形拳の役どころは、もう少しガタイの大きい柔道の達人のような姿では
あるが、北林谷栄や樹木希林は良かったと思う。
チンピラ3人組は前記3人のような芸達者ではないので、その演技の差が痛かった。

原作者が亡くなってから数年経っての映画化、著者本人が観たらどう思っただろうか。
放送局のシーンでは地元和歌山放送が全面的に協力、それなりのリアリティを醸し出す
コトに成功していたが、惜しむらくは重要な鍵となるヘリコプターが、原作のシコルスキー
では無かったこと。こればかりはもう時代が新しくなったので仕方がないことかも知れないが
あのフグが腹を膨らましたような格好が、この物語に良く似合うのだ。映画ではフランスの
エアロスパシアル社製のヘリが使われていた。小説が発表されたのが1978年だから
映画化が23年後ということを考えれば無理筋のことではあるが、如何にも勿体無かった。
これまた重要なガジェットであったチンピラ一味が使う中古のマークⅡが、原作通りの
年代のものだっただけに。岡本監督、探したのだろうなあ。でもあっても動かなかったり
したのでしょう。
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<ストーリー 結末まで触れています>
ある夏の日の朝、大阪刑務所に仲間の正義と平太を迎えに行った健次は、二人に誘拐の
計画を話す。最初は反対する二人だったが、健次のねらいは紀州一の山林王・柳川とし子
刀自。さっそく計画を実行する三人。ところがこのおばあちゃんただ者ではなく、やっと山中で
拉致に成功した彼らに向かって和歌山県警本部長・井狩の知るところとなれば逃げるのは
難しい、と落ち着いた表情で論じ始める始末。

こうして三人は刀自に用意させた家に身を隠すことになる。この家は柳川家の元女中頭
だったくーちゃんことくらの家だった。そのころ、和歌山県警本部では“刀自誘拐”の連絡が
届き、刀自を生涯最大の恩人と敬愛する井狩が火の玉のような勢いで捜査に乗り出して
来た。
連絡を聞いた刀自の子供たちも次々と柳川家に到着。騒然とした空気の中、刀自救出作戦が
開始された。一方、三人は隠れ家で身代金要求の策を練っており、その額が五千万円だと
知った刀自はいきなり表情を変え、「大柳川家の当主なんだから百億や!」と三人に言い
放つ。それによって誘拐犯と刀自の立場は完全に逆転してしまい、事件はいつしか刀自と
井狩との知力を尽くした戦いになっていた。

そしてついに身代金の受け渡しの日がやってくる。それは前代未聞の全世界へ生中継される
にまで至っていた。こうした大騒ぎの中で百億は犯人に渡され、事件は終わった。
三人組はそれぞれの道を歩んでいき、数日後、柳川家に戻った刀自の前に事件の全謀を察
した井狩が姿を現わし、刀自はその真実を打ちあけるのだった。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
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by jazzyoba0083 | 2015-09-19 23:15 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)