私をスキーに連れてって

●「私をスキーに連れてって」
1987 日本 配給:東宝 製作:ホイチョイ・プロダクション、フジテレビ、小学館 98分
監督:馬場康夫  原作:ホイチョイ・プロダクション 脚本:一色伸幸
出演:原田知世、三上博史、布施博、沖田浩一、高橋ひとみ、原田貴和子、鳥越まり、田中邦衛他
私をスキーに連れてって_e0040938_15412062.jpg

<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
本作を含む所謂「ホイチョイムービー3部作」、これまで未見であり、興味もなかったが、
クルマ好きとしても見逃せない作品であるので、「時代の空気感」を懐かしむ意味も含め
WOWOWでの放送をきっかけに鑑賞した。

この映画は、今から28年前、爆発的スキーブームのキッカケとなったとか、トレンディードラマの
キッカケを作ったとか、雪山にスタッドレスを履いて四駆で出かける習慣に影響を与えたとか
この映画以降の、バブルに突入していく若者の流行の一歩先を捉えた「トレンディー映画」、
「ファッション映画」ということ。という意味では「時代の雰囲気を活写した作品」ともいえよう。

「わたスキ」には熱狂的なフリークが多いのであまりタイソウなことは言えないのだが、
さすが「見栄講座」のホイチョイ、元々映画制作集団だけあり、ストーリーこそ取り上げるものは
ないけど、あの時代の若者の断面を瑞々しく切り取った功績は大きいと思う。
この時代に20歳代を過ごした人は、ユーミンの数々の曲とともに、何年かには一度、必ず
見たくなる映画ではないか。

今観ると、役者(若い人)のセリフ回しは下手だし、突っ込みどころも満載だが、まだ時代が
おおらかな頃で、景気も上向きになっている中で、若者が「真面目や堅いことはカッコ悪い、
ユーモアの中でおおらかに過ごすことを良し」とする当時の雰囲気がよく出ている。
のほほ~んとしてた同時の空気感が良く伝わってきて、よくも悪くも80年代の若者だなと
いう感じだ。19歳の原田知世はいるだけでオーラを放っていた。(セリフは下手です)

一度観てもう一度見なおしたのだが、今回は事前にこの映画の話題などを仕入れて観たので
面白かった。個人的には1987頃は30歳代後半だったが、この時のことはよく覚えていて
周りの若いのがみんな女の子や男の子とスキーに出掛けていたなあ。私個人は寒いのが苦手
で、ハワイにばっかり興味が行っていたけど。

冒頭のシーン、赤いカローラⅡリトラタイプ、矢野=三上博史の愛車だ。身分不相応な
ガレージ。そこで白く塗っったホイールのスタッドレスに履き替え、無線をチェックし、
4点式シートベルトを締め、カセットを入れると、ユーミンの「サーフ天国 スキー天国」が
流れる。クルマには彼が勤める商社が扱うスキー用具「Sallot」他の小さいステッカーが
ペタペタ貼ってある。そして西武バスでスキー場に向かう、優=原田知世と、恭世=鳥越
の乗るスキーバスが。それを抜いて走る・・・

もうワクワクで、スキーに行きたくなるようなホイチョイのくすぐりはバッチシです。
この映画はスキー人口の爆発的拡大のキッカケになったのだが、クルマのことで云えば
先のカローラⅡリトラ、また高橋ひとみと原田貴和子の運転するセリカGT-Fourがフルタイム
四駆のスキーぐるまとして一躍注目された。私の後輩でもこれを観て同じクルマを買った
やつがいたなあ。

それとこの映画にはスキーブームが来ると目をつけたホイチョイがセレクトしたガジェットの
数々が用意されている。主に沖田浩一が使うのだが、ハンディ無線、キヤノンの防水カメラ
背中にバッテリーとライトを背負ってスキーで走る夜間走行用デバイス、スキー板の剣山装置
などなど。またスキー場で展開される、「見栄講座」的な滑り方(トレイン、ムカデ、股抜けなど)
スキー板のターンの仕方、ビンディングを外す様々なかっこいいやりかた、板とストックで作る
リクライニング装置、ゲレ食に入る時、ペアの板を片方づつ組み合わせて盗難防止をする方法
など、いろんなアイテムが提示される。矢野の「また内足持ち上げて引きつけていただろう」と
いうセリフは当時、スキー場で流行ったに違いない。

もちろんスキーウェアはワンピースの白が目立つ。この頃の女性ファッションを観ると、ジーンズは
ハイウエスト、髪はワンレンかソバージュ、そして眉毛が太い。男のスーツも肩パッド入れた
ソフトスーツで、ネクタイは細め、全体にダボダボしている。DCブランド、だよなあ。
今のスキニーなんて想像も出来ないころだ。原田知世がデートで来てくるコートもすごくでかくて
裾が長い。

当時の若者達(布施博だけ外科医で金持ち風だが)は、争うこと力むこと教訓くさいこと真面目な
ことはダサく、ちょっと外れたのがカッコよかった。お金に不自由せず、男はいつも女の子のことを
考え、女の子もいい男を見つけることしか頭にない状態。

本作は若い男女の3つの大イベントである、クリスマス~新年~バレンタインデーまでを描き、
その間に繰り広げられる愛と仕事のファッショナブルなコメディータッチのストーリーだ。
私をスキーに連れてって_e0040938_15414242.jpg

<ストーリー>
矢野文男はある商社に勤める26歳のサラリーマン。仕事ぶりも恋もいまひとつパッとしない
都会人だが、大学時代からスキー選手として鳴らしてそちらのほうはプロ級の腕前、
ゲレンデではいつもスターなのだ。
会社ではスキーの名門ブランド“サロット”の販売を、元ワールドカッブ選手・田山の
プロジェクトで行なっていたが、矢野も部外者ながら手伝っていた。

クリスマス、奥志賀のスキーツアーで矢野はOLの池上優と知り合い、一目ぼれ。
矢野の高校時代からのスキー仲間、正明、真理子、和彦、ヒロコの四人もなんとか二人を
くっつけようとするが、オクテな矢野はなかなかアプローチすることができない。
ようやく電話番号を教えてもらったが、それはデタラメの番号だった。

東京へ戻ったが優と連絡が取れずに落ち込んでいた。ある日、彼は仕事のミスで常務に
呼び出され、なんと社内で優とバッタリ。彼女は同じ会社の常務秘書だったのだ。田山が
企画したサロットの新しいウエアの発表会が、バレンタインデーに万座のスキー場で行わ
れることになった。矢野もその準備に忙しく、せっかくの優とのデートにも遅れたり、行けな
かったり。矢野は優のためにバレンタインの日は、スキーツアーに参加することにした。

当日、矢野は優や仲間たちと志賀でスキーを楽しむ。ところが、万座では田山に反発する
所崎らの陰謀により発表用のウエアが一着も届いていなかった。頼みは矢野たちの身に
着けている6着のみ。矢野がつかまらないので、真理子とヒロコが車で万座へ向かった。
しかし、それでは間に合わないと思い、優はウエアを着込みスキーで万座を目指したが、
志賀・万座間は難所が多くスキー歴の浅い彼女には自殺行為だった。トラブルに気づき、
矢野は優の後を追った。一方、真理子らの車は途中で横転。

夜になり矢野と優もスキーでは走れなくなったが、運よく正明と和彦がライトを背負い
応援に来た。4人は万座へ急ぐが、発表会場はすでにガランとしていた。間に合わなかった
かに見えたが先に着いた真理子とヒロコがモデルとなり野外では撮影会が始まっていた。
サロットのペアルックの文男と優も舞台に上がり写真撮影に応じる。その場で優は文男に
バレンタインのチョコレートを渡した。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-10-05 22:30 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)