2015年 10月 19日
パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト The Devil's Vaiolinist
2013 ドイツ Summer Storm Entertainment.122min.
監督・脚本・撮影:バーナード・ローズ 製作総指揮・音楽:デヴィッド・ギャレット
出演:デヴィッド・ギャレット、ジャレット・ハリス、アンドレア・デック、ジョエリー・リチャードソン他
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
「21世紀のパガニーニ」と称されるデヴィッド・ギャレットが、自ら企画して主演、演奏もした
彼のための映画、と言えるだろう。この人、詳しく知らなかったが、本作の演奏を見て
只者ではないな、と感じて検索してみたら、結構名の知れたバイオリニストだった。
モデルもしているという長身とルックスは映画には持って来いだし、バイオリンの腕は
一流だし、自分がパガニーニの映画を撮らなくて誰がとるか、という気持ちだったのだろう。
全編に流れるバイオリンの音色も彼の演奏である。映画の中で使われているヴァイオリンは
5億円のストラディバリウスだったそうだ。
物語としては、史実に基づく箇所も複数あるが、(博打で自分の愛器を賭けてしまう、梅毒で
治療の為、水銀を吸っているが、演奏した楽譜を回収したり、他人に楽譜に書き起こされることに
細心であった、カジノを建てた、など) 、悪魔と思しきウルバーニのラスト辺りの存在が
曖昧になっていってしまった、パガニーニの子供の存在がよく解らなかったとかの難点がある等など
ギャレットの演奏がハイライトだけに物語がおろそかになった恨みは残る。悪魔=ウルバーニや
ロンドンの指揮者にして興行主であるワトソンとその娘でヴォーカリストのシャーロットは
架空の存在だろうが、ラスト辺りでシャーロットの心変わりがえげつなくて鼻白んだ。
「悪魔に魂を売った」と言われるパガニーニの破滅型、天才肌の音楽家はまさにギャレットの
私生活にも当てはまりそうで、まあ現代では彼を置いてパガニーニを演じる俳優はいない
だろうとは思う。素人にしては演技はまあまあだし。ただし、イタリア人のパガニーニが
英語でお芝居をするのは白けるなあ。後半でパガニーニがパリにカジノを建てるのだが
そこのマネージャーはフランス語を喋ったりしている。
パガニーニが活躍した時代、ロンドンの霧やスモッグなどの雰囲気などプロダクション
デザイン全般は良く出来ていたと思う。
彼が活躍した時代1800年前後とはどんな時代であったろうか。
同時代の音楽家にはベートーヴェン、ロッシーニ、シューベルトなどがいて、ショパン、
リスト、モーツアルトらはパガニーニがアイドルの時代だった。
フランスはナポレオン・ボナパルトの治世、イギリス国王はジョージ3世(孫娘がヴィクトリア
女王) 産業革命の時期であり、蒸気機関車が走り始めていた。
1809年には神聖ローマ帝国が滅亡する。アメリカは3代目の大統領トマス・ジェファーソンの
時代。我が日本はもちろん江戸時代で、第十一代徳川家斉の治世。1800年には
伊能忠敬が蝦夷地の調査をしている。
映画の中ではまだ羽ペンを使っている。
そんな時代に思いを馳せて見るのもまた一興かもしれない。
<ストーリー>
欧米でカリスマ的人気を誇るヴァイオリニスト、デヴィッド・ギャレットを主演に迎え、
19世紀に活躍した異端の天才ヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニの知られざる
物語を映画化した音楽伝記ドラマ。
“悪魔のヴァイオリニスト”と評された超絶技巧でセンセーションを巻き起こすとともに、
数々のスキャンダラスな逸話に彩られたパガニーニの愛と狂気の人生を、ある2人の
人物との関係を軸に、ギャレット本人が超絶技巧を披露する本格演奏シーンとともに
描き出す。
共演は「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」のジャレッド・ハリスとトム・フーパー
監督ミュージカル「レ・ミゼラブル」の端役でスクリーン・デビューしたばかりの新人女優
アンドレア・デック。
監督は「ハマースミスの6日間」「不滅の恋/ベートーヴェン」のバーナード・ローズ。
1830年、イタリア。不世出の才能に恵まれながらもスポットライトを浴びることなく
不遇の日々を送っていた天才ヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニ。ある日、その才能に
目を付けたウルバーニと名乗る男が現われ、“君を世紀のヴァイオリニストにしてあげる”と
宣言し、マネージャーを買って出る。
そして巧みなイメージ戦略で、瞬く間に彼をヨーロッパ随一のヴァイオリニストへと導いて
いく。しかし富と名声を手にしたパガニーニは、酒と女とギャンブルの放蕩三昧に明け
暮れる。そんな中、噂を聞きつけたイギリスの指揮者ジョン・ワトソンに招かれ、
ロンドンへとやって来たパガニーニ。彼はそこで、歌手を目指すワトソンの娘シャーロットと
出会い、その歌声に思いがけず心打たれるのだったが…。」(allcinema)
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