2015年 10月 28日
ファム・ファタール Femme Fatale
2002 フランス・アメリカ Quinta Communications,Epsilon Motion Pictures.115min.
監督・脚本:ブライアン・デ・パルマ 音楽:坂本龍一
出演:レベッカ・ローミン=ステイモス、アントニオ・バンデラス、ピーター・コヨーテ、エリック・エブアニー他
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
なぜか惹かれるデ・パルマ作品。もうB級臭プンプンなところが、敢えてカッコつけて
ハイブロウに仕立てられた映画なんかより全然下世話でいいのだ。
なので、この監督の作品について語らせたら止まらないファンも多いだろう。
このブログでも、エヴァーグリーン的にアクセスが多い「ボディ・ダブル」とか「殺しの
ドレス」なんかは、「面白いB級映画」として私のみならずファンも多いと思う。
どの作品にも「やっちまったなあ」という感じが付きまとうので、ラジー賞候補の常連と
なっているが、個人的には愛すべき作品が多いと感じている次第。
一般的には「虚栄のかがり火」あたりでよれ始めた、と言われているが、私にとっては
デ・パルマはずっとデ・パルマであるのだけれど。
閑話休題。★6つのうち1つはラストのどんでん返しに献呈させてもらった。
本作も、冒頭からミステリーとしては欠点だらけの、突っ込みどころ満載で
スタート。デ・パルマらしい安っぽさとエロっぽさが充満。ヘビ女のビスチェ、
乳首見えちゃってますからあ!!登場人物のつながりも、話の展開上必要な人物を
むりくりくっつけて組み立てた感がありありで、ストーリー全体としてのご都合主義的
チープさも半端ない。
しかし、スローズームやパーン、アップの多様などデ・パルマらしい映像はここでも
健在である。 ラヴェルの「ボレロ」そっくりな坂本龍一の音楽はいまいちだった。
カンヌ映画祭で女優の着用してくるショパールのダイヤが1000万ドル分もついた
ビスチェを奪おうとする一味。しかし、仲間だった女が裏切り、ダイヤを持って
とんずらしてしまう。彼女はパリで自分とうり二つの女性の家に忍び込み、夫と
子供を亡くし悲嘆にくれるその女性が拳銃自殺を遂げるのを見届け、彼女になりすまし
アメリカに飛ぶ。その飛行機の中でのちに駐仏アメリカ大使となる男性と知り合い、
結婚、再びパリに戻ってくる。しかし、宝石泥棒した仲間は血眼になって彼女を探して
いる。だから自分は写真を撮られたくない。しかしパパラッチのバンデラスはその
写真を撮り、事件に巻き込まれる・・・。
そんなストーリーなのだが、冒頭にも書いたようにミステリとしては穴だらけで、
一味を裏切った女性が人の部屋の風呂に入って居眠りをしてしまい、その短い10分か
そこら、夢を見るのだが、この映画はその夢がほとんどを占めている。夢だからいろいろと
つじつまが合わなかったり、唐突に出てきた人物が「誰?」ということが出てくる。
ええ??まさに「邯鄲の夢」的な「夢落ちなのお!!!」という展開に鼻白むのだが、
最期の15分くらいで、それまでの部分を全て回収する作業が行われる。このあたりは
無理矢理感漂う中にも痛快で面白かった。
途中で2度、街角のポスターに「デジャヴ」と書かれているところがさりげなく映されるが、
ラストあたりで「なるほど」と納得するのだ。
二役のレベッカは「Xメン」のミスティークで、いつも全身塗りたくられての出演なので
素顔の彼女の演技は初めてだったが、デ・パルマのご期待通りのエロくてスタイルが良くて
下品で、という要素は満点だったよ。若きバンデラス、夢の中では殺されちゃうけど
女に振り回されっぱなしのパパラッチ、感じ出ていたと思う。
タイトルのファム・ファタールとは「運命の女」とでも訳せるフランス語。
<ストーリー>
カンヌ国際映画祭の会場で、1000万ドルの宝石が盗まれる。実行犯のロール
(レベッカ・ローミン・ステイモス)は仲間を裏切って逃走。その途中で気を失ったロールは、
見知らぬ家のベッドで目覚める。彼女は別の女性、リリー(レベッカ・ローミン・ステイモス、二役)
に間違えられていたのだ。
まもなく帰宅したリリーが、ロールの存在を知らないまま拳銃自殺。ロールはリリーに成り済まして
単身アメリカへ飛んだ。7年後、ロールはアメリカ大使夫人としてパリに舞い戻る。決して人前に
出ず過去を隠していたが、カメラマンのニコラス(アントニオ・バンデラス)にスクープ写真を
撮られてしまってから態度を変える。
ロールは素性を探ろうと接近してきたニコラスを誘惑。ニコラスは彼女の罠に落ち、ロールは
完全勝利を収めたかに見えた。だがすべては、見知らぬ家のバスタブにつかったままロールが
見ていた夢だった。目覚めたロールは、リリーの自殺を止める。そして本当の7年後、ロールの
行動によって未来が変わり、彼女はニコラスと出会って恋におちるのだった。」(Movie Walker)
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