紙の月

●「紙の月」
2014 日本 松竹 Robot  紙の月製作委員会 126分
監督:吉田大八  脚本:早船歌江子  原作:角田光代「紙の月」
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、小林聡美、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、平祐奈他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
昨年、「永遠の0」と並び、邦画界を賑わせた一作。「永遠の0」は映画館に行ったが、
こちらは宮沢りえがあまり得意でないので、WOWOWでの放映を待った。
原作未読、テレビ未見である。

で、どうしても、骸骨に渋皮が張り付いたような宮沢りえが気になってしまい、今ひとつ
のめり込めなかったのと、彼女の生き方に、へえ、こういう生き方もあるんだな、以上の
ものも感じ取られず、大金の横領犯がフィリピンだかの東南アジアに逃亡してしまうという
結末もなんだかなあ、銀行支店の誰かが処分されたという話も出てこないし(そういう事は
本作には意味がないということなんだろうね)。

映画から何か人生や意味を見出したい日本人にはとてもうってつけの作品じゃないか。
だいたいタイトルの「紙の月」というのが寓意の塊。つまり、本物ではない、作り物のことだ。
色んな人が色んなことをいうのだろうな。それはそれでいいのだけど、映画全体がメタファーの
塊のような作品は観ていて決して面白いとは思えないのだ。原作があるとは云え、活字の
世界と映像の世界は自ずと違うと思うのだが。

私個人としては、主人公がなんで、いとも簡単に浮気に走ったか、ということ。幼いころから
「与えることが幸せ」と育ってきたからか。奪っても与えることが幸せ、と思い込んできたからか。
そういう女がいましたさ、ということなのか。wikiによれば原作作家の角田は「お金を介在させて
しか恋愛が出来ない女」を描きたかったといっている。

家庭、お金、銀行、横領、浮気、露見、逃亡と一人の女を通して描くことが多すぎて、とっちら
かった感が否めなかった。池松壮亮と出会うまでは、普通のつましい家庭の妻であり、銀行の
パートさんであった若くもない女が、一人の男に心奪われることで世間を欺き、家庭を欺き
嘘で固めた世界に突っ込んでいくか、という病理が、クリスチャンの女学生時代の行動だけでは
説明しきれない病理であると感じたのだが。
即物的な満足でしか幸せを感じないある意味不幸な女の話、なのだろうか。

梅澤梨花(宮沢りえ)とは、何者? 結局そういう点において、私は腹に落ちるものが無かった。
敢えて1994年に時代を設定したのは原作重視だから?要らん時代考証不足を突っ込まれる
より現在にしてしまったほうが良かったんじゃないか。携帯だってあっても良かったと思う。
映画からは今から20年前での設定の意味が伝わってこなかった。

ラスト、大金横領が露見し、銀行から、家庭から、世間から、日本から逃げるわけだが
その主人公の走る様、何を言いたいのか?黒澤明じゃあるまいし。

確かに地味ーな女が金を掴むににつれ、服装が派手になる、若いツバメに掛ける金が
半端なくなる、嘘が嘘を呼ぶ、横領が巧妙になる、どんどん人を騙すという主人公の人格の
崩壊ぶりはお見事だったが、原作者が言いたかったのはそこではあるまい。

ああ、隔靴掻痒の作品だった! ※「本作をちゃんと観てないな、オマエ」という突っ込みは
ご勘弁ください。

あ、小林聡美と大島優子は良かったよ。
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<ストーリー>
直木賞作家・角田光代の同名作を『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八が、宮沢りえを
主演に迎えて映画化したサスペンス。
契約社員として銀行で働く平凡な主婦が、年下の大学生との出会いを機に、金銭感覚を
マヒさせていき、やがて巨額の横領事件を引き起こすさまを描く。相手役の大学生を演じる
のは若手実力派の池松壮亮。

1994年。梅澤梨花(宮沢りえ)は、子どもには恵まれなかったものの夫(田辺誠一)と
穏やかな日々を送っている。契約社員として勤務する「わかば銀行」でも、丁寧な仕事
ぶりで上司の井上(近藤芳正)からも高評価。支店では、厳格なベテラン事務員の
隅より子(小林聡美)や、まだ若くちゃっかり者の窓口係・相川恵子(大島優子)ら、
様々な女性たちが梨花と共に働いている。だが一見、何不自由のない生活を送って
いる梨花であったが、自分への関心が薄く鈍感なところのある夫との間には空虚感が
漂い始めていた。

ある夜、梨花の顧客で裕福な独居老人の平林(石橋蓮司)の家で一度顔を合わせた
ことのある孫の光太(池松壮亮)と再会した梨花は、何かに導かれるように大学生の
彼との逢瀬を重ねるようになる。

そんな中、外回りの帰り道にふと立ち寄ったショッピングセンターの化粧品売り場。
支払い時にカードもなく、現金が足りないことに気づいた梨花が手を付けたのは、
顧客からの預かり金の内の1万円だった。銀行に戻る前にすぐに自分の銀行口座から
1万円を引き出して袋に戻したが、これが全ての始まりであった。

学費のために借金をしているという光太に梨花は「顧客からの定期の申し込みが
キャンセルになった」と200万を渡す。さらに顧客から預かった300万を自分の通帳に
入れ、自宅で定期預金証書や支店印のコピーを偽造する……。

やがて横領する額は日増しにエスカレートしていくのだった、上海に赴任するという夫
には同行せず、梨花は光太と一緒に高級ホテルやマンションで贅沢な時間を過ごすが、
光太の行動にも変化が現れ、ある日、光太が大学を辞めたことを告げられる。
そんな折、隅が、銀行内で不自然な書類の不備が続いていることを不審に感じ始め
ていた……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
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by jazzyoba0083 | 2015-11-25 23:40 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)