嗤う分身 The Double

●「嗤う分身 The Double」
2013 イギリス Alcove Entertainment  93min.
監督・(共同)脚本:リチャード・アイオアディ 原作:ドフトエフスキー『二重人格』
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、ミア・ワシコウスカ、ウォーレス・ショーン、ヤスミン・ペイジ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
2015年の映画鑑賞納めが、本作となった。別に意識してこれになった訳ではない。
好悪の別れる映画だろう。allcinemaの感想にカウリスマキの影響を指摘する方がいたが
私もそんな感じを受けた。時代性や地域性を排除した作り、意識した色彩と、なんとも
不思議な日本の音楽を使った当りはカウリスマキ「過去のない男」に似ているような感じも
する。自分の分身の登場に困惑する男の不条理劇なのだが、劇中に使われる「上を向いて
歩こう」やブルーコメッツの「ブルー・シャトウ」他のグループサウンズは、日本以外では
どんな印象で受け取られたのだろうか。というか日本の曲だと気がつくのだろうか。
カウリスマキ「過去のない男」ではクレイジー・ケン・バンドが使われていたっけ。

さて、終始困り顔のジェシー・アイゼンバーグ扮するサイモン・ジェームズ。彼とそっくり
なジェームズ・サイモンというこちらは始終にやけ顔の不思議と自信を漲らせる(ハッタリ
だが)男。本家の困惑をそっちのけにやりたい放題のサイモンは、ジェームズが自分の
態度をはっきりさせないから苛ついている彼女を頂いちゃったり、くっつける役をしたり、
これはだれにでも分かることだけど、叶えられない願望を何の苦労もなくハッタリだけで
上手く切り抜ける、またどちらが自分なのかという不条理に悩む、人間だれでももつ性の
片面のメタファー的存在なのだ。

観始めてよく分からない設定に、観るのを止めようかと思ったのだが、よく分からない
「魅力」みたいなものに引きこまれて見切ってしまった。原作は未読だが、人間の持つ
二面性みたなものを描いたものなのだろう。

構成、カメラワーク、プロダクションデザイン、色彩、音楽、すべて妙ちきりんな映画なのだが
なんか不思議と「味」とか「雰囲気」を持つ作品だと思う。カウリスマキを好む方はきっと
面白いのではないか。
「悲喜劇」とでもいうのか「(苦笑)」という吹き出しがたくさん出るような映画である。
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<ストーリー>
ロシアの文豪ドストエフスキーの『分身(二重人格)』を『サブマリン』のリチャード・
アイオアディ監督が映画化。
気の優しい内気な男が、自分と全く同じ姿をした男の出現によって人生を狂わされていく。
出演は「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ、「イノセント・ガーデン」の
ミア・ワシコウスカ、「トイ・ストーリー」シリーズのウォーレス・ショーン。
2013年10月17日より開催された「第26回東京国際映画祭」コンペティション部門にて
「ザ・ダブル 分身」のタイトルで上映された。

厳しい束縛と管理体制の中、労働者は単なるコマにしかすぎない世界。“大佐”
(ジェームズ・フォックス)なる者が君臨する不穏な雰囲気の会社で働くサイモン・ジェームズ
(ジェシー・アイゼンバーグ)は、気は優しいが要領の悪い内気な男。
勤続7年になるが、その存在感の薄さから名前もまともに覚えてもらえない。
上司のパパドプロス(ウォーレス・ショーン)からはひどい扱いを受け、同僚にはバカにされ、
入院中の母親からも蔑まれる日々。密かに恋するコピー係のハナ(ミア・ワシコウスカ)の
部屋を自室から望遠鏡で覗くのが習慣だった。

そんなある夜、いつものように望遠鏡を覗いていた彼は上層階の窓際に立つ一人の
怪しい男を発見、男はサイモンに向かって手を振るとそのまま静かに飛び降りる。
この日を境にサイモンの人生はさらなる悪状況へと陥っていくのだった……。

会社期待の新人として入社してきたジェームズ・サイモン(ジェシー・アイゼンバーグ)は、
顔、背格好、ファッション、そして爪の形までサイモンと瓜二つの男であった。もう一人の
“自分”の出現に激しく動揺するサイモンだったが、上司や同僚は誰一人としてこの状況に
驚くことも不思議がることもしない。
ジェームズは瞬く間に会社に馴染み、一方のサイモンはますます影の薄い存在になっていく。

彼らの容姿は全く同じであったが、性格だけは真逆だった。サイモンはハナに対しまともに
アプローチもできないが、ジェームズは多くの女性を虜にし一度に複数と付き合うことができた。
サイモンは自己主張をせず仕事を正当に評価してもらえないが、ジェームズはそのアピールの
強さですぐさま上司の信頼を得てしまう。
そしてサイモンは真面目で優しいが、ジェームズはいい加減でずる賢かった。自信家で
カリスマ性を持つジェームズの魅力はハナをも巻き込み、彼女はジェームズに惹かれていく。
ハナのためにジェームズとの仲を取り持つサイモンだが、心の中は不安と悲しみに溢れていた。
やがてジェームズは“替え玉スイッチ”をサイモンに強要し始める。互いの適正を活かし、
時と場合によって二人が入れ替わることでその場をうまくしのいでいこうというのだ。
だが狡猾なジェームズの行動は徐々にエスカレート、サイモンは自分の人生を乗っ取られ
“存在”そのものを奪い去られる恐怖を感じ始めるのだった……。(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-12-30 23:10 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)