ジャッジ 裁かれる判事 The Judge

●「ジャッジ 裁かれる判事 The Judge」
2014 アメリカ Warner Bros.,Village Roadshow Pictures.and more.141min.
監督・(共同)原案・(共同)製作:デヴィッド・ドブキン
出演:ロバート・ダウニー・Jr.、ロバート・デュバル、ヴェラ・ファーミガ、ヴィンセント・ドノフリオ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
まったく予備知識無しで観た。面白かった。この監督、作品を知らないが、演出や映像も
いい(撮影はヤヌス・カミンスキー)のだが、やはり脚本(物語)が良く出来ているということだ。
大体、映画の物語が動き出すまでは人物紹介等で退屈なことが多いこの手の作品、本作は、
主人公であるロバート・ダウニーJrの行動で引っ張り退屈させない。ここがまず見事。

ダウニー演じる弁護士ハンクはどうやら高慢ちきな自信家で、嫌なヤツっぽい。家族とも
断絶っぽい、家庭でも妻との離婚が秒読み状態という問題を抱える一方、4歳くらいの女の子の
父でもあるが、決して良い父とは言えないっぽい。そんなハンクが裁判の最中に携帯に
「母さんが亡くなった」との電話で裁判を延期してもらって、久しぶりに田舎に出向く。

さあ、ここでいよいよ事件の始まりだ。40年以上街の判事を努め市民から尊敬もされ、
それなりにウラミも買ってた父ジョセフ(デュバル)。実はガンを患っていて化学療法も受けている。
(このことはもう少し後になって明かされるのだが)どうやらその父が母が亡くなった日の夜、
ひき逃げ死亡事故を起こしたらしい。それも、自分の判決の軽さが原因で更に人一人を殺して
しまったその犯人を。

父の車には被害者の血痕が付き、クルマの前部が壊れてもいた。証拠は明々白々。
父は息子が辣腕弁護士と知っていても、彼に弁護を頼まず、経験不足の若い弁護士を
指名。しかし予審で終わらせ本裁判にはさせない、と狙っていたハンクの目論見は、
若い弁護士の力量不足で、第一級殺人で裁判になってしまう。

ハンクには大リーグ入りが嘱望されていたものの、ハンクが原因の事故で野球選手生命を
絶たれた兄と、知恵遅れでムービーカメラが趣味の弟が居た。ややこしい兄弟を抱え、
頑固一徹な父の裁判に臨むことになったハンク。対する検察官は切れ者ののディッカム
(ビリー・ボブ・ソーントン)だ。 父は事故の前後の記憶が無いという。目撃者はいないが
ガソリンスタンドの防犯カメラには、殺した男を追うような父の車が写っていた。

どうやら化学療法の副作用で一時的に記憶が飛んだらしい。が、父はそのことを認めない。
なぜならそれを認めると、その期間に出した判決に疑義が生まれてしまい、自分のプライドが
許さないのだ。ハンクは、オヤジの記憶などだれも覚えてやしないのさ、と一時的記憶喪失を
主張するように説得するが、父は頑として聞かない。

やがて被告人質問で、父は「記憶にないが、殺した」と言ってしまう。慌てて反論に出る
ハンクだったが、情状に訴えるのが精一杯。何とか第一級殺人は無罪となったが、故殺で
4年の刑が下ってしまった。ガンの身なのに収監される父を思うと頭を抱えるハンク。

しかしディッカムの恩赦要請で、父は刑期を短縮され釈放さてた。二人で久しぶりに趣味の
釣りに出る父とハンク。あれだけ頑固で息子に対し悪態をついていた父は、お前は最高の
弁護人だよ、と初めて息子を認めるセリフを口にした。目線を湖面に移し、父に戻すと、
父は絶命していた。

葬儀の日、街の裁判所には半旗が掲げられた。「オヤジが死んでも誰も覚えてやしないさ」と
言ったハンクは、父親の偉大さを改めて知ったのであった。そして、誰も居ない法廷に行くと
父が長年座り続けた裁判長の椅子をくるくる回し、椅子の正面が自分の正面に来ると、
ある意を決したようであった。

ストーリーをざっくり云えば以上のようなことだ。これにハンクの二人の兄弟、幼なじみの
サマンサ(ヴェラ・ファミーガ)、そしてハンクとサマンサの娘なのかもしれない娘などが
絡み、物語に厚みを付けていく。

ロバート・デュバルの老判事が素晴らしい。頑固なのかボケているのか、息子をどう思って
いるのか、それらは観ている人に任せ、頑固な老判事を好演。頑固ながら孫に見せる
態度、体が弱っていくこと、頭もボケ始めていることをわかりつつ認めたくない一人の老人、
しかし厳格な判事として尊敬を集めてきたとうプライド。その辺りがないまぜになって息子
ハンクにぶつかって行く。そのぶつかりの過程で、老父とハンクのわだかまりが詳らかに
なっていくという仕掛けだ。(ハンクに落ち度があるわけではなく、オヤジが頑固であると
いうこと=威厳といとでもあるのだが)最初は迷惑なこの頑固ジジイと思っていたハンクも、
裁判を通し父への思い=理解は高まり、それは次第に尊敬に変わっていく。
ちょっとエンディング辺りが
カッコよくにまとまり過ぎか、とも思うし、ハンクの兄と弟の描き方も中途半端で今ひとつなのが
惜しい。ただ、ヴェラ・ファミーガとの絡みは良かったと思う。彼女の存在がこの映画の
暗さを救っている大きなファクターだと感じた。 とにかく脚本とキャスティングの勝利である。

地味な映画で日本では評判にならなかった(デュバルはオスカー助演男優賞にノミネート
されたが)と思うが、こういう佳作に出会えることは映画好きの幸せである。
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<ストーリー>
この映画の詳細は“金で動くやり手弁護士”として名を馳せるハンク・パーマー(ロバート・
ダウニー・Jr.)。一流法科大学を首席で卒業しながらも、その並外れた才能が発揮されるのは、
金持ちを強引に無罪にする時だけだった。
そんな彼にとって弁護士史上最高難度の事件が舞い込む。人々から絶大な信頼を寄せられ
る判事、ジョセフ・パーマー(ロバート・デュヴァル)が、殺人事件の容疑者として逮捕されたのだ。
しかも彼は、ハンクがこの世で最も苦手とする絶縁状態の父親。
法廷で42年間も正義を貫いた父が殺人など犯すはずがない……。最初はそう確信していたも
のの、調べれば調べるほど、次々と疑わしい証拠が浮上する。

殺された被害者と父との歪んだ関係、亡き母だけが知っていた父の秘密、防犯カメラが
とらえた不可解な映像……。裁判は劣勢に傾いてゆくのに、犬猿の仲の2人は弁護の方針を
巡って激しく対立する。果たして父は殺人犯なのか? 深い決意を秘めた父の最後の証言
とは……?(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
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by jazzyoba0083 | 2016-01-25 23:45 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)