ブルー・リベンジ Blue Ruin

●「ブルー・リベンジ Blue Ruin」
2013 アメリカ The Lab of Madness,Film Science,Neighborhood Watch.90min.
監督・脚本・撮影:ジェレミー・ソルニエ
出演:メイコン・ブレア、デヴィン・ラトレイ、エイミー・ハーグリーブス、ケヴィン・コラック、イヴ・プラム他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
★は8に近い7。
この監督さん、自分で本も書き、撮影もするというマルチタレント。「ジャズ・シンガー/ジャッキー・
パリスの生涯」(未公開)もWOWOWで見る機会があり、とても面白かったという記憶が
ある。本作と比して作品に通底する部分にどこか似た臭いがする。

本作、一口で言って「異様」な映画である。オフ・ビートというのとは違うだろうし、全編に
漂う「やるせなさ」「虚しさ」。アンハッピーエンドではあるが、これ以外の終わり方があるだ
ろうか、という物語。下手をするとダルく感じるストーリーを90分という短い時間に押し込め
「トーン」を演出出来るというのは、此の監督、只者ではない。こだわりの映像も、色彩を
上手く使い効果的である。例えば主人公の乗るボロボロのセダンは淡水色。恐怖のシーンに
使われる青い照明など、主人公の心象にブルーを置くことにより、「虚しさ」を強調する。
タイトル通りである。
そして実は結構リアリティに富む決定的なシーン。それは、主人公が両親殺しの復讐として
殺した男の兄弟が、主人公の友人のライフルで顔半分を吹き飛ばされる所。
これはその突然性と、リアリズムで、「虚しい」トーンの作品に緊張を与えるのに成功している。

出演者は知らない人ばかり。(端役として出ているのを観ているのかもしれないが)特に
主人公ドワイトを演じたメイコン・ブレアは、映画のトーンにぴったりな雰囲気。ヘタレな
イメージなのだが、結構意志は強かったりして、絶望に向かって突進する顔に似合わない
行動が「異様」で良かった。実際ドワイトのヘタレぶりは、いくつか描かれていく。ぞれがまた
前部痛い(物理的に痛い)のだ。刺さったボウガンを自分で抜こうとして抜けず、病院へ
駆け込んだ瞬間失神してしまうという・・。

いわゆる「復讐譚」なんだけど、ホームレスに身をやつして両親殺しの犯人の出所を待ち、
出てきたことを知ると、接近し殺害。だが、兄弟たちに言わせると彼は実行犯ではないという。
あれあれ・・・。 主人公ドワイトの両親が殺されたのは、父親が、ある男の妻ににちょっかいを
出し、これに激怒した男がクルマを運転している父親を射殺、同乗の母も死亡ということ
だったのだ。殺人事件の動機もトホホなもんだ。しかし、ドワイトには肉親を殺されたウラミは
強い。出所した犯人を殺して、その後どうするつもりだったのだろうか。自分が犯人だと
容易に想像されてしまうのに。刑務所に入ることも厭わないつもりだったのだろうか。それに
しても自分の人生を棒に降るような殺人の原因でもなかったと思うのだが、そこがこの映画の
狙い目。

出所したての家族を殺された一家兄弟は、殺人を警察に届け出ず、自分たちで復讐に乗り出し
た。狙われたのはドワイトの実の姉。ドワイトは姉の家に行き、事情を話し姉を転居させ
そこで一族が来るのを待つ。殺し合いをするつもりなのか? 案の定彼らはやってきて
逃げようとしたドワイトはボウガンに足を射抜かれてしまう・・・。

そこからドワイトと一家の殺し合いが始まる。ドワイトは高校の友人に銃の手ほどきを受けたりし、
一家の留守宅に忍び込み、有ったたくさんの銃をまとめて池に捨て、籠城しはじめた。
やがてやってきた男と姉と母。甥っ子みたいな若いやつに背後から撃たれ、母親にまだ机の
下に隠されていたサブマシンガンで撃たれるが、反撃もし、甥っ子は逃亡、後は全員死亡した。
「虚しい」・・・・。ドワイトの人生の来歴は語られないが、彼の人生は何だったのか。
決して暴れん坊ではない物静かなドワイトが殺しの連鎖に巻き込まれていく様は、見ものである。

冒頭から20分以上、ドワイトはセリフがない。寂れたクルマを根城にするホームレスとして
登場、誰なのかも分からない。そこに警察がやってきて署に呼び、両親殺しの犯人が司法
取引で釈放される、と教えられた。さあ、その時は来た!・・・・。ドワイトの行動に自分の
思いを重ねながら見るとよろしかろう。 
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<ストーリー>
両親を殺されたホームレスの悲しい復讐劇を描いたサスペンス・スリラー。第66回カンヌ国際
映画祭監督週間で上映されるや完成度とリアリティを持った世界観が話題となり、国際映画
批評家連盟賞を獲得した。
監督・脚本は、数々の作品の撮影を担当するほか、ホラー作品「Murder Party」(未)で
注目を集めたジェレミー・ソルニエ。
孤独な戦いに乗り出すホームレスを、これまでのジェレミー・ソルニエ監督作品全てに
出演しているメイコン・ブレアが演じている。
ほか、「ホーム・アローン」のデヴィン・ラトレイ、「SHAME-シェイム-」のエイミー・
ハーグリーヴスらが出演。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。


終始虚しいのでスッキリしないという方も多かろう。だがこの独特の雰囲気。私は嫌いではない。
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by jazzyoba0083 | 2016-01-26 22:40 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)