ショート・ターム Short Term 12

●「ショート・ターム Short Term 12」
2013 アメリカ Animal Kingdom,Tractiong Media.97min.
監督・脚本:ダスティン・ダニエル・キレットン
出演:ブリー・ラーソン、ジョン・ギャラガーJr、ケイトリン・デヴァー、ラミ・マレック、キース・スタンフィールド他
e0040938_16252100.jpg

<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
タイトルはおそらく公営なのであろう、何らかの理由で親が育てられなくなった青少年を
12か月の短期で保護する施設の名称。ここで働く若いスタッフと収容されている少年や
少女の心の触れ合いを、全編手持ちカメラ、砂をまぶしたような色調でリアリティーを
出しながら描いていく。監督自身がかつて此のような施設で2年間働いた経験を持ってる
のだそうだが、更に調査もしただろう、そうした実体験がなければここまでは描けないかも
知れない。

主人公のグレイス(ラーソン)は新しく入所してきたジェイデン(デヴァー)の担当となる。
固く閉じてしまった彼女の心を、あの手この手で解いていく。ジェイデンも本来悪い子では
なく、実は父親から乱暴されていた、という事実が明らかとなる。
彼らスタッフは医者でもないしカウンセラーでもないので、やることは限られている。
グレイスはジェイデンの背後にあるものについて所長に手紙を書いて出す。
しかし、ある日、父親と称する男が来て、彼女を連れて行ってしまった。

所長に猛烈に抗議するグレイス。所長は「彼女は暴行は受けていません」って言ってるよ、
という。なんという無知!DVに直面している子供らの多くは、聞かれれば「暴行はない」と
いうことを知らないのか。親を訴えれば自分が帰るところがなくなるから、子供らは黙るのだ。
そんなノー天気な所長にグレイスは切れた!

グレイスがジェイデンの心が分かるのは、グレイス自身が父親からレイプされ体には
自分て傷つけた傷跡がたくさん残っていたのだ。そんなグレイスだから心からジェイデンに
寄り添うことが出来るのだった。

しかし、グレイスの父親が刑期を終えて出所してくるという。そんなおり、グレイスは恋人で
同僚のメイソンの子供を妊娠していることが判明した。単純に喜ぶメイソンに対し、
グレイスは妊娠を素直に喜べず、堕胎を決心、メイソンとの間にも亀裂が入ってしまう。

父親の元に帰っていったジェイデンを救う?べくグレイスは金属バットを持って彼女の家に。
父親はベッドで寝ていた。ジェイデンとグレイスは父親のクルマのマドをバットで粉々に
してしまった。ま、本当にオヤジの頭をかち割らなくて良かったよ。

ジェイデンは再び施設に戻り、グレイスも子供を産もうと決心したのだった・・・。

この映画のハイライトとも言えるシーンは、ジェイデンが自分が創った童話ということで
グレイスに話して聴かせる「タコのニーナ」とサメの物語だ。ジェイデンはもともと利発な
少女で、出来上がった童話は、すぐに出版できそうな素晴らしい出来だった。

この童話こそ、加害側の親の困惑を示していて、この映画を見ているかたは一応に思われる
「子供を施設に入れてたからもう安心」ではない、ということだ。タコを食べちゃったサメは
友達になりたいだけだったのに、どうしたら友達を作れるか、が分からない。その表現の使用法が
わからないのだ。人間の親の子供に対する欠落した部分を直さないと、DVは永遠に続くのだ。
その辺りを短いセンテンスで実に良くまとめた童話だった。

またマーカスがラップを歌いながら心情を吐露するところも見どころだろう。彼らは黙っている
のではなく話す相手とタイミングと方法さえつかめば心を開いてくれる、ということを示す。

基本、全編重い映画ではあるが、最後のマーカスと彼女の下りはほっとするし、脱走常習犯の
サミー、アメリカ国旗を巻いて逃げ出すけどまた捕まる。こいつ逃げる気は元からなくて、
ケースワーカーたちに自分を認識してもらいたいだけじゃないか、と思ったり。
明日への光・希望をうかがわせて映画は終わっていく。

<ストーリー>
これが長編2作目となる新鋭デスティン・ダニエル・クレットン監督が、自身の体験を基に、
青少年向け短期保護施設“ショート・ターム”で働く20代女性を主人公に描き、数々の
映画賞に輝いたインディーズ系ヒューマン・ドラマ。
主演は「21ジャンプストリート」のブリー・ラーソン。
 
虐待やネグレクトなどに遭い、親と暮らせなくなった10代の少年少女たちを一時的に
預かる短期保護施設“ショート・ターム”。ここで働く20代のケアマネージャー、グレイスは、
同僚で恋人のメイソンと同棲中。明るくて仕事ぶりも有能な彼女は現場スタッフのリーダー的
存在。スタッフからはもちろんのこと、心に傷を抱えた施設の子どもたちからも厚い信頼を
寄せられていた。

しかし、そんなグレイスも、メイソンにさえ打ち明けられない深い心の闇を抱えていた。
ある日、新しく入所した少女ジェイデンのケアを任されたグレイス。聡明ながら誰とも
馴染もうとせず、施設を転々としてきたジェイデン。彼女の心の傷と真摯に向き合っていく
中で、次第に自らの辛い過去とも対峙していくグレイスだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はこちらまで。
トラックバックURL : http://jazzyoba.exblog.jp/tb/24120436
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by jazzyoba0083 | 2016-02-06 22:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)