6才のボクが、大人になるまで。Boyhood

●「6才のボクが、大人になるまで。 Boyhood」
2014 アメリカ IFC Productions (presents),Detour Filmproduction.165min.
監督・脚本・(共同)製作:リチャード・リンクレーター
出演:パトリシア・アークエット、エラー・コルトレーン、ローレライ・リンクレーター、イーサン・ホーク他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
劇場に観に行こうと思っているうちにタイムアップになってしまった作品。昨年のオスカーを
賑わせて、助演女優賞にパトリシア・アークエットが選ばれましたね。

この映画の凄いのは、役者が演技しているのだけれど、6才から18才まで同じ人が演じて
いるので、リアリティが滲み出て来て、まるで本当の家族の歴史、子どもたちや家族の成長の
話を観ているような気になること。WOWOWでの鑑賞だったが、「W座」の小山薫堂も言って
いたが、日本には「北の家族」という本作よりもっと長い間かけた作品がある。
しかし、1本の映画にリアルな12年間を閉じ込めたという意味では、迫力の差は自ずと出ると
思う。

主人公はメイソンという男の子ではあるが、その姉サマンサ、そして母オリヴィア、離婚して
しまうけど父メイソン・シニアの家族の物語でもある。あたりまえのことだけど、12年の年月で
子供は成長し、大人は老いる。それは残酷なほど画面にあらわれる。

冒頭、メイソンが6歳のガキの頃は、大した話題もなくどちらかというと夫婦の話に重きを
置く。このままこのようなタルい話を160分以上も見せられるのか?と思っていると、時間の
積み重ねとともに、俄然面白くなっていく。それは何故か。

メイソンとサマンサが自我を持ってくるからだ。自分の考えを持ち自分で何かをしようとする
時、それは周囲に影響を与え、物語を作る。
メイソンという男の子は、どちらかというとゲームが好きなオタク系の大人しい子で、根は
優しいが、ワルに誘われれば、14才でビールも飲むし、ハッパもやるような大胆さもある。
彼は誕生日に買ってもらったカメラが気に入り、その才能が開花、大学も写真方面に進むの
だが、高校時代の学校の暗室での教師との会話が良かった。

メイソンの両親は離婚し、母は再婚するのだがこの相手が最悪な高圧的暴力夫であった。
家族で逃げ出し、母の友人の家に転がり込む。母は大学で教鞭を取る、という夢に
向かって修士号を獲り、大学に就職、更に3度めの結婚をする。そんな母親の成長の
記録でもある。二人の子供を大学に出し、自分の人生を生きたいという気持ちも二人の
子供を前に遠慮なく発言する。舞台となっているのがテキサスというアメリカでも保守的な
あるいは男尊女卑的な風土を持ったところ、という面もこの映画のポイントであろう。
そうした風土の中で母が女として自分の人生を如何に生きるか、という点も見どころである。

さて、われらがメイソン君だが、若者のエネルギーは「リビドー」だなあ、と感じさせる成長を
する。素直な子なので、大したトラブルもなく、また頭もいいので、苦労することもなく
テキサス大学に進む。姉のサマンサもテキサス大学だ。 中学の頃から恋愛感情がふつふつと
湧き上がり、高校から大学では美女をしっかりものにし、でもその美女はラクロス部の
スポーツマンの方にいってしまう。失恋もしっかり経験するのだ。そしてまた成長するのだ。

折節に実父のシニアがいいことを言う。この父親はミュージシャン志望だったのだが、売れず、
保険会社に就職し、再婚。赤ちゃんがいた。
後半、家族全員で父のギターに合わせて唄うところがあるが、こういうことって中々出来ない。
つまりメイソンの一家はいい家族なんだな、いい家族になったのだな、と分かる。
できすぎな感じもあるが、出てくるパーソナリティが、暴力義父以外みんないい人なんだな。
いい人に囲まれ良い家族が出来上がっていく。実際はそんなに上手くは運ばないケースも
多いとは思うが。

つまり、子供も親もその親も、誰一人自分一人では生きてはいけず、お互いが影響し合い
尊敬し合い、愛しあい、「自慢の息子だ」「自慢の母だ(父だ)」と言える家族を努力して作り
上げていく、家族として生きるということはそういうことなんだ、というとても大事なことを、
この映画は教えてくれる。

メイソン君はオーディションで選ばれた男の子。思春期になると顔にニキビが出来たり、その
過程の映像も楽しい。また姉サマンサはリンクレーターの娘だろう。長時間のドラマに拘束
するには都合も良かったし、自分の娘の記録にもなると思ったのかもしれない。
オスカーを獲ったが、母オリヴィアのパトリシア・アークエットは、その体型の変化や顔のシワ
まで含め、いい演技だったと思う。また父シニアのイーサン・ホークも12年の歳月をいい意味で
感じさせ良かった。

ラストはメイソン君の新しい恋の予感を示唆して終わる。

いい映画を観ました。
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<ストーリー>
第64回ベルリン国際映画祭で監督賞にあたる銀熊賞に輝いた、『ビフォア・ミッドナイト』の
リチャード・リンクレイター監督によるヒューマンドラマ。6歳の少年メイソンの成長とその家族の
変遷を、主人公や両親を演じた俳優など、同じキャストとともに12年にわたって撮り続ける
という斬新な手法で描く。

テキサス州に住む6歳の少年メイソン(エラー・コルトレーン)は、キャリアアップのために
大学で学ぶという母(パトリシア・アークエット)に従い、姉サマンサ(ローレライ・リンクレイター)と
共にヒューストンに転居、そこで多感な思春期を過ごす。
アラスカから戻って来た父(イーサン・ホーク)との再会、母の再婚、義父の暴力、そして初恋……。

周囲の環境の変化に時には耐え、時には柔軟に対応しながら、メイソンは静かに子供時代を
卒業していくのだった。やがて母は大学で教鞭をとるようになり、オースティン近郊に移った
家族には母の新しい恋人が加わっていた。
ミュージシャンの夢をあきらめた父は保険会社に就職し、再婚してもうひとり子供を持った。
12年の時が様々な変化を生み出す中、ビールの味もキスの味も、そして失恋の苦い味も
覚えたメイソンはアート写真家という夢に向かって母親から巣立っていく……。(Movie Walker)
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この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-02-14 22:50 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)