マッドマックス 怒りのデス・ロード Mad Max:Fury Road

●「マッドマックス 怒りのデス・ロード Mad Max:Fury Road」
2015 オーストラリア Warner Bros.Kennedy Miller Mitchell,Village Roadshow 120min.
監督・(共同)製作・(共同)脚本:ジョージ・ミラー
出演:トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、ヒュー・キース=バーン他
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<2015 アカデミー賞 美術、編集、衣装デザイン、メイクアップ&ヘアスタイリング、
                        音響編集、音響調整賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
今年のオスカーの美術、音響など6つの部門を制し話題となった作品を、慌ててBlu-rayで
借りてきて鑑賞。それと映画ブロガーの中で昨年観た映画のナンバー・ワンに挙げていた
かたも多く、いずれは観てみようと思っていた所にこのオスカー騒ぎ。

30年ぶりのシリーズ4作目は引き続きジョージ・ミラーがトム・ハーディーを主演に迎え
ナミビアの砂漠で撮影したという。個人的にはシャーリーズ・セロンが助演女優賞ノミニーで
いいんじゃない?と感じた。メル・ギブソン主演の一作目は観ていると思うが、乗っていたクルマ
以外にあまり記憶がないのだ。また近未来の暴力的な映画は、最近では邦画の「進撃の
巨人」もそうだが(同列に論じるな、という声が聞こえそうだが)苦手なジャンル。そういう
点からは、前作までの感想を引きずって観るわけではないので、新しい気分で臨むことが
出来た。
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冒頭からシャーリーズ・セロンらが裏切って逃げてそれをイモータル・ジョー軍が追いかけると
いうカーチェイスのシーンくらいまでは、「なんじゃ、これは」という感じだったが、その後
映画のテーマが見えてくるに従い、多くのブロガーさんが昨年の上位に上げた意味が
分った気分だった。こいつはただの粗暴な映画じゃないぞ、と。
それは「近代文明への抗議、告発」が主テーマであり、その他にも「行った同じ道を再び
帰ってくる」という行動が発する「自由への渇望と行動」に対するメタファーなどなど。
勢い陳腐化してしまうテーマを、カーチェイスに伴う色々な攻撃様式などに多彩さを持たせ
、飽きさせない。また砂漠のシーンでの全体を覆う黄色いカラートーン、約束の地での
ブルー、イモータル・ジョーの世界のモノクロ、そしてラストの緑と、映画全体を覆う色彩の
アイデアも多弁である。
この映画、マッドマックスが口枷を付けられ、水を支配するイモータン・ジョーは人工呼吸器を
つけているということで最初のうちセリフが殆ど無い。監督はこの映画をサイレントで仕上げ
ようと試みたのだそうだけど、結局セリフが入ることになった。が、セリフが無くても十分通用する
ような映画だと思うけど。それだと客が入らないかな。
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オスカーを獲ったから言うのではないが、プロダクションデザインは上記色彩の工夫も含め
よく出来ていた。過去や現代は参考にするベースがあるが、終末感漂う近未来はなかなか
難しいと思う。最初から想像するしかないわけだから。登場人物が身につける衣装も同じ
ことが言える。
たとえば登場するクルマにも、過去に見覚えのあるクルマをくっつけて再構築したものを使い、
現代と未来をつなぐメッセージを発している。
個人的にお気に入りだったシーンは、イモータン・ジョー軍の「戦の太鼓」ならぬ、改造トラックに
乗せられた「戦いのエレキギター」と巨大なスピーカー群だ。
またやじろべえのようにスィングする攻撃法もなかなかなアイデアだった。こうして単純なテーマ
のカーチェイス映画にはさせないという構成の中で、主要なテーマを浮き立たせる監督の手法は
見事にハマっていてお見事というべきであろう。「輸血袋」マックスのシャーリーズ・セロンへの
蘇生のための輸血は大胆すぎでびっくりだったわ!
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一点だけ。フラッシュバックのように登場する少女は、恐らく殺された彼の娘だと思うのだが、その
あたりは前作からの主人公のなりたちを復習してから観たほうがいいのかもしれない。
ラスト、マッドマックスはどこかへ去っていくから5作目があるのかもしれない。

※Blu-rayの特典映像を観てから再度本編を観て・・・
特典映像では、ジョージ・ミラーら、スタッフやキャストが映画製作の裏側を語っていた。さすがに
いままで見えてこなかったことが見えてきた。それから再度観てみると、特に前半、手探りで
鑑賞していたなかで分からなかった事が明らかとなってきた。
上記に書いた映画の持つ意味、みたいなものについて深く語る人はいなかったが、深読みでも
いいので本作が少なくても私個人にはそういうふうに伝わったということは映画の持つ側面として
悪いことではないと思う。

ただただドッカンボッカンの追跡アクションと受け取る人もそれはそれで否定しない。が、深く
読んでみるのも楽しい。
クルマのシーンは全てリアルだ。画像的な合成はあるが、爆発シーンなどをCGで合成しては
いない。その辺りのこだわりは凄い。さらに改造車への執着も半端じゃない。その様子は
たっぷりと描かれる。古い車をリストアしたり部品を使ったり、一から作っちゃったり、それを
また惜しげもなくぶっ壊す。美術監督が語っていたが、日常でありえない組み合わせが狂気と
混沌を作り上げる、と。まさに本作からはそれがよく表出されていたと思う。
冒頭、マックスが「オレがマッドなのか、世界がマッドなのか」。そのテーゼが美術により
見事に実現されていたと言える。

<ストーリー>
終末的な世界で繰り広げられる壮絶なサバイバル・バトルを描いたメル・ギブソン主演の
アクション『マッドマックス』シリーズ。同シリーズで監督・脚本を務めたジョージ・ミラーが
再びメガホンを握り、放つバイオレンス作。
砂漠ばかりの荒涼とした世界に生きるマックスとフュリオサという2人の反逆者の物語が
つづられる。

石油も水も尽きかけた世界。元警官のマックス(トム・ハーディ)は、愛する者を奪われ、
本能だけで生き長らえていた。資源を独占し、恐怖と暴力で民衆を支配するジョーの
軍団に捕えられた彼は、ジョーに囚われた女たち“ワイブズ”を率いて反逆を企てる
フュリオサ(シャーリーズ・セロン)、全身白塗りの男ニュークス(ニコラス・ホルト)と共に、
自由への逃走を開始する。凄まじい追跡、炸裂するバトル……。
絶体絶命のピンチを迎えた時、マックスと仲間たちの決死の反撃が始まる!
(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
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by jazzyoba0083 | 2016-03-02 23:30 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)