2016年 03月 30日
はじまりのうた Begin Again
2013 アメリカ Exclusive Media Group,Sycamore Pictures,Apatow Pro.104min.
監督・脚本:ジョン・カーニー
出演:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、ヘイリー・スタインフェルド、アダム・レヴィーン他
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
2日連続して、心が温まるいい映画を見させてもらった。本作も「佳作」である。
以前、音楽をテーマにした作品「ONCE ダブリンの街角で」でも高評価を獲得した
ジョン・カーニー監督が脚本も書いて作った、本作も音楽がテーマとなる人間ドラマだ。
時制の設定の仕方も上手く出来ていて、物語を飽きさせない。何より、悪い人がだれも
出てこないし、みんないいやつばっかり(まあ音楽をやるやつに悪いヤツはいないのだ
けれど)、で、ほのぼのとした気分で観終えることが出来、観ている最中も自分が知らずの
うちに笑顔になっているのに気づく。
自らがバンドをやっていた監督だけあり、物語の作り方も音楽家ならではのツボが
押さえられていて、いい歌もたくさん歌われる。キーラの相手役デイブを演じるアダム・
レヴィーンは「マルーン5」のメンバーなので歌は上手い。キーラの歌は味があるっちゃ、
あるけど、上手いとはいえない。
マーク・ラファロのも良かったが、なんといってもキーラの、「セリフが決められていないんじゃ
ないか」、と思わせるような自然体のセリフ回しと演技。ナチュラルなその演技が映画に
リアリティと嘘っぽっくない心の温まりを感じさせるのだった。
個人的に一番のお気に入りは、ダン(ラファロ)とグレタ(キーラ)が、イヤフォンを二股に出来る
コードを使ってお互いのプレイリストを聴き合うながら夜のNYを歩きまわるシーン。
フランク・シナトラやスティーヴィー・ワンダー、サッチモなど、中々渋いところが出てくる。
これがまたNYの夜景に良く似合うのだな。
かつては大ヒットをプロデュースしたダンはこれに悩み、酒に溺れる日々。ついには自分が
立ち上げたレーベルの会社をクビになる。一方イギリスからやって来たグレタは、名前の
知られたアーティストと恋人関係で、曲も作り提供していた。しかし、彼氏に浮気されて
別れ、知り合いの男性のところに転がり込んだ。彼が歌うパブで無理やり引っ張りだされ
自作の歌を歌うはめになる。それを聞いていたのがダンだった。彼は一発で彼女の歌を
気に入り、契約しようとするが。
お金がないので色んな屋外でライブ盤を収録。バンドメンバーはNYの売れないミュージシャン
や音楽研究生たち。警察に追っかけられたり、住人から「うるさい!警察呼ぶぞ」とかいわれ
つつ、アルバムを完成させる。
ダンには中学生の娘がいて、ギターをやるのだが、ビルの屋上での夜間セッションには
彼女も入れる。分かれていた妻もやってくる・・・。かつてプロデュースして今や大スターに
なったヒップホップのミュージシャンも協力してくれた。
良いアルバムが出来たのだが、ダンとグレタは、ネットでたった一ドルで売りに出してしまう!
アルバムが出来て、別れが来た時見つめ合うダンとグレタ。ダンの目にはグレタに対する
愛を感じてしまったな。結局、ダンは妻と和解し、娘とも上手く行き、モトサヤになるのだけど。
ラスト、自転車に乗って夜のNYを行くグレタの横顔に、みんなを幸せにする天使の顔を見た。
<ストーリー>
音楽がつなぐ予想外の出会いと運命を描いた物語。キーラ・ナイトレイが失意のヒロインに
扮しギターを片手にその歌声を初披露するほか、人気バンド・マルーン5のボーカリスト、
アダム・レヴィーンがヒロインの恋人役として映画デビューを果たす。
監督はアカデミー賞歌曲賞に輝いた『once ダブリンの街角で』のジョン・カーニー。
ニューヨーク。シンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、同じミュージシャンの
恋人デイブ(アダム・レヴィーン)に裏切られ、失意のままライブハウスで歌っていた。
そこに偶然居合わせた落ちこぼれの音楽プロデューサー、ダン(マーク・ラファロ)はグレタの
才能に惚れ、彼女にデビューの話を持ちかける。
ところが、その録音はニューヨークの街角で行うという。セントラルパークやチャイナタウン、
橋の下、路地裏、ビルの屋上、地下鉄のホームなど、グレタのゲリラレコーディングは続いて
いくが、この無謀な企画が小さな奇跡を起こし始める。やがてアルバムが完成したその日、
誰も予想できなかった最高のはじまりが待っていた……。(Movie Walker)
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