2016年 04月 19日
ラスト・リベンジ Dying of the Light
2015 アメリカ TinRes Entertainment,Over Under Media.94min.
監督・脚本:ポール・シュレイダー
出演:ニコラス・ケイジ、アントン・イェルチン、アレクサンダー・カリム、イレーヌ・ジャコブ他
<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
年老いて引退間近のCIAエージェントが、認知症にかかりながら、22年前の復讐に
乗り出す、という設定自体はいいのだが、セリフでの説明ばかりが多く、映画としての幅を
感じることが出来ず、さらに、致命的だったのが、ラストシーンの、それまでの設定を
ぶち壊す「理屈の通らない」展開。 ロケ地はアメリカ、東欧、アフリカと展開するのだが、
その割には広がりを感じなかった。
ネットで調べると、この映画のグダグダ具合は、名手ポール・シュナイダーやニコラス・ケイジの
責任では、どうやらなさそうで、ポスプロの段階で製作側から相当な横槍が入って、
シュナイダーが本来目指していた映画とは違った出来になったようだ。
認知症の中でも重症で、余命幾ばくもないという診断を受けたエヴァン・レイク(ニコラス)が
若手の相棒、ミルトンや、ブダペストで活躍していた頃の恋人にしてジャーナリストの
ミシェルの手を借りて、22年前のエヴァンの最大のトラウマでありやり残したことである
イスラム過激派の、死んだと思われていたバニールへの復讐に乗り出すのだ。
妄想行動や突然の感情の変化など、重症の認知症としての出方がもう少し描かれると
良かった。ラスト近くに、22年ぶりに対面を果たしたエヴァンとバニール。
片や重度の認知症で、片や「地中海高血圧」という重症の病で立てもしない身体。
対決したエヴァンは、バニールを前にして何をしていいか分からず、「帰るわ」と言って
その場をさってしまう。そのあたりは良かったのだが、その後、バニールの手下が
エヴァンたちが滞在したホテルに銃を乱射しながらやってきて、そこでエヴァンも
ミルトンも怪我を負う。
その後だわ、変なのは。記憶障害が出ているエヴァンは一度しか行ってないバニールの
アジトに車で急行。(よく覚えていたな) 車いすのバニールを殺しにかかる。
復讐を遂げたエヴァンは帰り道、呆然としたのか意識消失なのか、トラックと正面衝突し
命を落とす。
冒頭、彼がCIAの新入職員に対し、伝説のエージェントとして訓示するが、今や堕落し
力を失ったCIAを叱咤する演説がラストで繰り返される。
何だか、昨今ヘタレになったCIAを励ますような映画なのか?と思ってしまったのだ。
IMDb4,4の評価も致し方無い出来となってしまった。
<ストーリー>
30年のキャリアを誇るベテランCIA捜査官エヴァン・レイク(ニコラス・ケイジ)は、CIAに
入る以前はアメリカ海軍でも国に忠義を尽くすなど、輝かしい経歴を持っていた。
しかし、「自分はまだまだ現役として現場で役に立つ人間だ」と主張するレイクに、上司は
華々しい式典の約束と引き換えに引退を勧告する。
そんなとき、レイクを慕う部下・若きCIA捜査官ミルトン・シュルツ(アントン・イェルチン)が、
22年前の合衆国ミッション遂行中にレイクを監禁し拷問した政治過激派のテロリストリーダー、
モハメド・バニール(アレクサンダー・カリム)がケニアに潜伏している可能性がある、
という情報を突き止めた。
その忌まわしい過去の記憶を、レイクは22年間一時たりとも忘れたことはなかった。
死んだと思われていた仇敵がどこかで生きているはずだと信じていたレイクは、シュルツと
共にルーマニアに飛ぶ。
女性密偵ミシェル・ズバレイン(イレーヌ・ジャコブ)の力を借りながら、バニール生存の
証拠を掴むことに成功するが、レイクは末期的な認知障害と医者に診断され、記憶が
混濁するなど不安定な健康状態が続き、残された命は僅かになろうとしていた。しかし
レイクは自分の肉体と精神に消えない傷を刻み込んだ宿敵バニールへの復讐に燃え、
国家の威信と名誉、正義を守るため、自らの命を賭けてケニアへ最後の闘いに乗り込
んでいく。(Movie Walker)
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