奇跡の2000マイル Tracks

●「奇跡の2000マイル Tracks」
2013 オーストラリア See-Saw Films 112min.
監督:ジョン・カラン  原作:ロビン・デヴィッドソン 『ロビンが跳ねた』(冬樹社刊)
出演:ミア・ワシコウスカ、アダム・ドライヴァー、ローリー・ミンツマ、ライナー・ボッツ他
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<感想>
オーストラリアの大地は冒険譚が良く似合う。本作は、1977年にこの大陸を約3000キロに
渡って、ラクダを引き連れ横断したロビン・デヴィッドソンという女性の実話を元に製作された
映画。

砂漠、土漠、乾燥地帯、人間のいる所、全くいない所などを歩き、様々な出会いや別れを
体験し、本人は映画の中では旅の成果についてどうこう言わないのだが、きっと人間として
一回りも二回りも大きくなったことだろう。大自然の映像はとても美しいのだが、ロビンを
演じたミア・ワシコウスカ、(実際のロビンと似ている)の存在感というか演技というか、が
素晴らしく、優しさと強さを兼ね備えたロビンという女性をよく演じていた。
4頭のラクダを実際に馴らしながらコントロールしていくのは相当訓練を積んだのではないか。
また酷暑の中のロケは大変だったろうな、というのは観ていて分かる。

オーストラリアにラクダがいたのか、という個人的な驚きは勉強不足なのであって、映画の
中でも説明しているが、かつて英国人が荷物の運搬の為に連れて来たのだが、その後
交通機関の発達で放置され、絶滅するかと思われていたのだが野生化したラクダの
生命力は強く、今や世界一ラクダが多い国になっているのだそうだ。

映画の中でロビンが連れて行くラクダも野生のものを捕まえてきて調教し、売りだすという
牧場から買ったもの。ラクダはああ見えて結構凶暴だったりするので、野生のラクダは
危険だという。
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映画は、人生の目的を見失ったロビンという若い女性が、オーストラリア大陸2000マイルに
及ぶ踏破に挑戦するというもの。作品の中に繰り返し出てくる少女時代の思い出は、母の死
(自死)以後、親戚の家に預けられ、愛犬と別れて育ったというトラウマのような光景。
一方父は若いころ東アフリカの砂漠をラクダを連れて長い距離歩いた経験があるという。
牧場を経営していたが破産。旅に出るまで、ロビンが直近でどういう生活をしていたのかは
描かれないが、世の中をすねて、自分自身の居場所が判らないという状況であった。

父のマネであり、父への復讐のような部分あり、旅立つときには「行きたいから行く」といい、
ゴールした時には「ラクダを連れた旅は始まりも終わりもない」などという達観した言葉を
吐いたりする。

見知らぬ土地にやってきてラクダ牧場に努めてバイトしてラクダを買おうとして一軒目で
騙され、二軒目のアフガニスタン人の牧場で可愛がられてラクダ4頭を得て、出発準備に
とりかかるが、お金が足りない。たまたま現地で知り合ったアメリカ人カメラマン、リックに
ナショナル・ジオグラフィックにタイアップを頼んだら、とアドバイスされ、同誌に手紙を
書き、スポンサードを獲得する。但し条件はカメラマンとしてリックを帯同すること。

こうしてリックはジープで時々キャラバン?を訪れ写真を取るがロビンに取っては煩わしい。
全行程砂漠、ではなく、人がいる所も通る。アボリジニの村にも入る。野次馬がやってきて
「キャメルレディ」と言って写真を一緒に取りたがる、という風に完全に解脱した心境で旅は
出来ない。俗社会と付き合いつつ、親切なアボリジニや現地の白人たちの支援や応援、
やがてリックもロビンを心から応援するようになる。そうした中でラクダとのトラブル、愛犬との
別れ、何回も旅の意義を見失い、止めようと思った折れそうになる心を励まして、ついに
インド洋に到達した。インド洋の透明な海水が胸を打つ。
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ロビンは半年掛けたこの冒険で人が経験することのない経験をし、何でも出来る人間に
なっていった。自分が何故生きるのか、彼女は見つけたに違いない。そうは言わないけど。
尋常な人間はやらない大冒険を成し遂げた一人の女性の記録として、その物語の再現に
触れることが出来るのは映画の持つ可能性の1つを明示するものとして素晴らしいと思う。
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<ストーリー>
ラクダ4頭と愛犬を連れ、オーストラリア西部に広がる砂漠2000マイル(約3000キロ)を
横断した女性の回顧録を映画化。オーストラリア各地で大規模ロケを敢行、アリス・
スプリングスからウルル(エアーズロック)を経由しインド洋へと彼女がたどった道程を再現
している。
監督は「ストーン」のジョン・カラン。製作には「英国王のスピーチ」のイアン・カニングと
エミール・シャーマンが加わっている。冒険の旅に出た女性を「アリス・イン・ワンダーランド」の
ミア・ワシコウスカが、ナショナルジオグラフィックの写真家を「フランシス・ハ」のアダム・
ドライバーが演じている。第70回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品作品。

24歳のロビン(ミア・ワシコウスカ)はどこにも居場所を見つけられず、ひとり都会から
オーストラリア中央部の町アリス・スプリングスへやってきた。彼女はパブで働きながら牧場で
ラクダの調教を覚え、オーストラリア西部に広がる砂漠を横断しインド洋を目指す2000
マイルもの旅に出ようとしていた。
荷物を持たせた4頭のラクダと愛犬を連れ出発したロビンは、大地を一歩一歩踏みしめ
ながら進み、貴重な出会いと経験を重ねていく。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
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by jazzyoba0083 | 2016-04-20 23:15 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)