トレヴィの泉で二度目の恋を Elsa&Fred

●「トレヴィの泉で二度目の恋を Elsa&Fred」
2014 アメリカ  Cuatro Plus Films,Defiant Pictures and more.97min.
監督・(共同)脚本:マイケル・ラドフォード
出演:シャーリー・マクレーン、クリストファー・プラマー、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウェンデル・ピアース他
e0040938_14585176.jpg

<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
お年を召した名優によるこの手の映画は時々出てくるが、だいたいどちらかが偏屈もので
次第に二人が打ち解けて理解しあうという、ほろ苦い、ほの悲しい、そしてちょっぴり可笑しい
物語。本作の場合、偏屈ジジイ、フレッドを演じるのは、妻を亡くし、娘の指示で必要ない使用人を
付けられ高脂血症の為毎日たくさんのクスリを飲む、というクリストファー・プラマー。
片や、フレッドの向かいの部屋に住んでいるエルサは、一人暮らしの元気なおばあちゃんだが
3度の結婚に失敗した長男と、抽象画を描く画家の二人の息子が別にいる。彼女は
シャーリー・マクレーンが演じる。

物語の筋としては、まあ驚くこともないありがちな話であるが、名優(老優)二人の年季の
入った演技を観ているだけで得したような気分になる。映画の出来としてはごくごく普通。

しかし、私のように、人生晩年に入ったものは身につまされるし、「自分のしたいことをしてこその
人生じゃないか」というメッセージは、この手の映画では常に提示される。
偏屈ジジイ、フレッドも頑固一徹の男だが、隣に住むエルサにあれこれ付きまとわれていく
うちに次第に自分のしたいことは何か、本当に残りの人生に何をすべきか、が分かってくる。

エルサには良く言えば妄想癖、悪く言えば虚言癖のようなものがあり、フレッドと付き合うに
ついては、自分は未亡人だ、マゴが5人いる、などなどの嘘ばかり。フレッドも辟易とする
場面もあるが、エルサのフレッドを想う気持ちに偽りはないようだ。
部屋に閉じこもってばかりのフレッドを公園の散歩に連れ出し、レストランに食事に行き、
ダンス教室に連れて行き、とフレッドを連れ回す。フレッドもあまりの強引さに怒る所もあったが
彼女がホントに自分の事を想っていることを理解し、おしゃれし、料理を作り、部屋を綺麗にし、
と変わってきた。

マゴの誕生会に付いて行くと、なんとエルサの別れた旦那が来た。未亡人だと言っていた
のに!頭にきたフレッドは帰ってしまうが、別れた旦那がフレッドの元を訪れ、警告に来た、
彼女は危険な女だ、夢のなかで生きている、、などというが、しかし、彼女はニューオリンズ
イチのいい金髪女だよ、彼女を手放したことは一生の不覚だった、などというものだから
フレッドの気持ちも吹っ切れてしまった。

エルサは実は透析を続けていて、この歳だとあまり先は長くないという。彼女の夢は
毎日のように観ているフェリーニの「甘い生活」のワンシーン。トレビの泉の中に入った
女優がマルチェロ・マストロヤンニ扮する恋人とのやりとりと同じことをすること。

フレッドは娘の旦那がはじめようとしていた事業に投資をしてくれと頼まれていたがそれを
断り、その金でローマ行きのチケットを買い、エルサを誘ってトレビの泉のシーンの再現を
しに出かけた。「自分に投資することにした」と。
そして映画と同じというわけでもないが、夜のトレビの泉で映画とほぼ同じようなシーンを
再現、エルサの長年の思いは叶ったのだった。

しかし、ラスト、帰国したエルサの自宅。エルサの姿は見えない。長男が母があなたに
渡すようにと言ったという、紙包みを手渡した。そこには、どうせ嘘だろう、と思っていた
ピカソが描いた、と言っていた彼女の肖像画があったのだ。(ホントにピカソ作かどうか
は判らないが)

アメリカにおける老夫婦の有り様というのは日本とは随分違うので、我々が映画と同じ
ようなことをしようと思うと難しいし、日本人がマネをすればいいというものでもないが、
年老いたからと言って、あとは子供や医師のいうことに丸投げしてしまい、自分の人生を
生きることを止めてしまうのはつまらないだろう、という呼びかけは万国共通なものだろう。
そういうメッセージを受け取れたことは個人的には良かった。
e0040938_14592351.jpg

この映画の詳細はこちらまで。
トラックバックURL : http://jazzyoba.exblog.jp/tb/24322179
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by jazzyoba0083 | 2016-04-21 22:40 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)