ロシアン・スナイパー Bitva za Sevastopol

●「ロシアン・スナイパーBitva za Sevastopol 」
2015 ロシア・ウクライナ 123min.
監督・(共同)脚本:セルゲイ・モクルツキー
出演:ユリア・ペルシルド、ジョーン・ブラッカム、エフゲニー・ツィガノフ、ヴィタリー・リネツキー他
ロシアン・スナイパー Bitva za Sevastopol _e0040938_15133415.jpg

<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ロシア映画を観るという機会はあまりないが、WOWOWで放映していた本作を鑑賞。
「アメリカン・スナイパー」を彷彿とさせるタイトルに釣られたのだが、本題は「セヴェストポリの
戦い」。 凄腕スナイパーとしてドイツ軍に恐れられた実在の女性、リュドミラ・パブリチェンコの
物語である。ハリウッドなどの西欧の映画にはないシーンや画面作りがあって、CGもまあ
鑑賞に耐える範疇なので、主人公の存在の面白さが加わり、面白く鑑賞することが出来た。
ロシアによるクリミア半島の併合事件があったばかりで、ウクライナ出身のパブリチェンコを
描くことで、プロパガンダに役立てようと言う試みが透けて見える感じもある。

パブリシェンコをどういう女性として描きたいのか、今ひとつピント来ず、途中で挿入
される現代ポップス系の歌などもあり、恋愛模様があるのならそれでいいのだけれど、
ハードに徹したほうが味わいが出たのではないか。

時制が1942年に彼女がアメリカを訪れた時を中心にスナイパーとして309人を殺害した
戦場の1937から1941年のセヴェストポリの戦いまで、いったり来たりしながら、
1957のスーズベルト夫人の回顧と、目線が落ち着かない所も難点である。

大学で歴史を学ぶパブリチェンコが、射撃ゲーム場で遊んだ結果が良かったことから
ドイツ軍のソ連侵攻を受けて赤軍のスナイパーとしてスカウトされる。
なぜ、スカウトを受け入れたのか。最初のうちは前線でゲーム感覚で狙撃をしていて
上官からたしなめられるというシーンも有り、一体彼女の心のなかはどうなっているのだろう、
男になり切ったのか、と思いきや、上官に恋してしまい、その上官が戦死すると次の上官にも
恋してしまい、子供が欲しいとか言い出す。その上官も彼女を守って戦死すると、ずっと
彼女を好きだと言い続けてきた大学からの友人の医師を伴侶として迎えることになる。
節操ないの?とか思ったり。

アメリカの欧州戦線への応援を得るためにプロパガンダ要員として繰り出された
パブリチェンコ、彼女を優しい美しい女性としてみるルーズベルト夫人と本国から
ついてきた男の間で、自身アメリカでどう振る舞うべきか迷っている。
「男など振り向かない冷徹な女か、と思えば上官にスグ惚れるという性格も描かれる
のだが、あくまで女性として恋に悩み、英雄という立場に戸惑い、と揺れる心も
あったりで、初めのほうで描いたとおり、散漫になった感じなのだ。

最初の方のドイツ軍との戦闘でロシア兵がほとんどヘルメットを被っていないことに
びっくりした。
309人のファシストを殺した、と自己紹介するのが1942年ワシントンで開かれた世界
学生会議のソ連代表メンバーとして参加した折なのだが、42年後半という年が
先の大戦でどういう年だったのかという所をネットで調べてみた。ソ連にとっては
なかなか大変な年であったようだ。
ロシアン・スナイパー Bitva za Sevastopol _e0040938_15135313.jpg

<ストーリー>
1941年.ナチスドイツによるソ連侵攻が開始され、まだ大学生だったリュドミラ・
パブリチェンコ(ユリア・ペレシド)は、女性ながらその非凡な射撃の才能を買われ、

ソ連軍兵士として戦場に身を投じていく。
狙撃兵として次々と標的を仕留めるリュドミラは、やがて敵からは“死の女”と恐れられ、
軍上層部には英雄として讃えられながら戦意高揚の道具として利用されていくのであった。

戦場で芽生えた恋、愛する人の死、そして新たな出逢い……。その間も戦況は悪化し、
ソ連軍は黒海北岸のセヴァストポリ要塞に追いつめられる。そして10カ月におよぶ
ドイツ軍とソ連軍の壮絶な攻防戦が始まった……。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-05-07 23:40 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)