カプリコン・1 Capricorn One

●「カプリコン・1 Capricorn One」
1977 アメリカ・イギリス Associated General Films,ITC Films.129min.
監督・脚本:ピーター・ハイアムズ
出演:エリオット・グールド、ジェームズ・ブローリン、カレン・ブラック、O・J・シンプソン、テリー・サバラス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
今から40年以上前の作品で、一度は観ているはずなのだが、内容を殆ど覚えていないので
WOWOWでの放映をチャンスに観てみた。
この映画がキッカケで、アポロの月面着陸もフェイクじゃないか、といっとき話題になりました
っけ。製作の過程で協力していたNASAも、内容を聞いて激怒し、協力を止めたという曰くつきの
作品なことは有名な話。
前半が宇宙もの(もどき)、後半は政治的なサスペンスというような仕立てであった。
アポロ11号が月面着陸に成功してからまだ10年経つか経たないかという時期にこういう
発想で映画を作ってしまったハイアムズはなかなかなモノだ。

単純なストーリーの中に政府の陰謀と飛行士の悩みなどが盛り込まれ、またカーチェイス、
複葉機と最新(当時の)ヘリとのチェイスなど見どころも満載だ。

事件を追跡するTVリポーターが、自分のクルマに仕掛けをされて街なかを暴走するシーンも
ローアングルのカメラワークが上手く、今でも手に汗を握る。
またテリー・サバラス演じる薬剤散布用複葉機と米軍の小型ジェットヘリ2機のチェイス
シーンも、並走してソーンを撮ったり、ヘリが崖にぶつかって大破するリアリティも含め
見どころとなっている。
ただ、3人の飛行士が軟禁されていた基地から小型ジェットで逃げるのだが、滑走路を
塞いだNASAの自動車と車輪がぶつかり、砂漠で胴体着陸を余儀なくされる。
その胴体着陸シーンは流石に砂煙でごまかしたな。
飛行士のリーダー格ブルーベーカーが砂漠での逃亡中、ガラガラヘビを殺してこいつの
腹を割いて内蔵を出し、生肉を食らうシーンはリアリティありすぎで引いてしまった。
それと、3人の飛行士のうち、ブルーベーカーは自分の葬儀の場に現れるのだが、
捕まってしまう後の二人はどうなったのだろうか。オープン・エンドである。
今回のWOWOWでの放映はカット版だったようだが、オリジナル版にはドッキングの
シーンや船内でふわふわ浮く(ピアノ線で吊り下げられた)飛行士のシーンなどが
カットされたようだが、NASAが怒ったシーンをカットしたようだ。オリジナル版を観て
みたいものだ。

前半の有人火星探査ロケット「カプリコン・1」の打ち上げまでに至るシーンはNASAの
協力もあり、結構本物っぽい。
ボロの端緒が、管制官の一人が、火星に近づいている宇宙船からの交信にしては
タイムラグが無く、まるで近くにいるようだ、という事に気がついたところなのだが、
そこらあたりは科学に疎い人でも、なるほど、と理解が出来る。
火星から映像を送ると21分かかる、ということでこの時差を利用して砂漠のスタジオから
の中継を入れて誤魔化していたわけだから、通信の時差に気がつかないわけが
ないと思うのだけれど。画竜点睛を欠いたわけだな。

全体として若干の古さは感じるが、その内容からSFものとしては映画史に残る作品
なのだろう。リポーター役のエリオット・グールドの存在に味があった。
彼も今は78歳になるのだなあ。
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<ストーリー・結末を含みます>
東の空が赤く染まり、やがて朝日が1日の始まりを告げようとしている中、人類史上初の
有人火星宇宙船カプリコン・1の打ち上げが目前に迫っていた。
カプリコン・1には、ブルーベーカー(ジェームズ・ブローリン)、ウィリス(サム・ウォーターストン)、
そしてウォーカー(O・J・シンプソン)らが乗り組んでいる。

発射5分前、突然カプリコン・1のハッチが開き、1人の男が乗組員3人を船外に連れ出し、
ヒューストンより3人をジェット機で連れ去った。そして5分後、カプリコン・1は、人々の
見守る中、有人宇宙船の名の下に火星へ向かって飛び立つ。
一方、3人を乗せたジェット機は砂漠にある格納庫のわきに着陸した。そしてそこには、
NASAのケラウェイ所長(H・ホルブルック)がいた。驚く3人に向かって、彼はカプリコン・1の
生命維持装置に故障が発見されたが、我国の議会や世論を今一度宇宙計画へ目を
向けさせるには、今さら計画の中止は出来なかった、という事実を告げる。

そして3人は、もしさからえば家族の安全は保証出来ないという脅迫の中、格納庫にある
火星表面のセット・ステージで世紀の大芝居を決行する。そしてそれが宇宙中継の形で、
全世界にTV放送された。よろこぶブルーベーカーの妻(ブレンダ・ヴァッカロ)達。
だが、家族と3人の宇宙飛行士との交信の内容に疑問を持ち出した男が1人いた。
新聞記者のコールフィールド(エリオット・グールド)だ。何かがある、と探る彼。そんな彼に
忍びよるNASAの魔の手--。

しかし、無事、“火星着陸”をやってのけたカプリコン・1が、大気圏再突入の際、事故で
消滅するという事態が発生--。これに感づいたブルーベーカーら3人は、消滅
(=3人の死)に身の危険を感じ、格納庫より脱出する。そして3人を生かしておいては、と、
NASAの刺客が放たれた。三方に分れて砂漠を逃亡する3人、そして事件の核心に
ふれ、友人のジュディ(カレン・ブラック)に金を借り、この世紀のスキャンダルを
スクープしようとするコールフィールド。灼熱の砂漠の中、NASAのヘリは、ウィリスを、
ウォーカーを発見し、ブルーベーカーにも魔の手はのびた。と、その時、アルバイン
(テリー・サヴァラス)の複葉機をチャーターしたコールフィールドが、追われ
ブルーベーカーを助ける。追うNASAのジェット・ヘリ。逃げる複葉機。

やがて、追撃戦の末、ヘリは爆破した--。そして、今、大統領臨席の下、3人の
宇宙飛行士の壮厳な葬儀が始まったその時、ブルーベーカー夫人の瞳に、車からおり、
こちらにかけてくる死んだはずの夫の元気な姿が映った--。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-05-09 22:50 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)