ラブ・トライアングル 秘密  3 coeurs

●「ラブ・トライアングル 秘密 3 coeurs」
2014 フランス Rectangle Productions and more.104min.
監督・(共同)脚本:ブノワ・ジャコー
出演:ヴノワ・ポールヴールド、シャルロット・ゲンズブール、キアラ・マストロヤンニ、カトリーヌ・ドヌーヴ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
日本劇場未公開。WOWOWの「ジャパンプレミア」で鑑賞。フレンチラブミステリ?。
ジャンルもよく分からない、ある種恋愛の悲劇を描いたフランスっぽい映画だった。
「或る悲劇」を綴る、という主題は分かるのだけれど、冒頭から流れるコントラバスの
不気味な通奏低音のようなBGMは、監督はミステリとして仕立てようとしているのか?
というミスリードを誘うし、映画の真ん中で急に登場する男の声のナレーションは、唐突
過ぎて、説明臭くて、映画の味を薄くした。
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いわゆる三角関係。最終電車を逃した税務調査官マルクが、立ち寄った立ち飲みカフェ?
みたいなところでシルヴィ(ゲンズブール)と出会うところから物語は始まる。
二人はたちまち恋に落ち、パリで来週の金曜に会おうと約束する。夜中にそんなところに
いたシルヴィもいわく持ちなわけだ。

シルヴィと妹のソフィ(マストロヤンニ)は母(ドヌーヴ)とパリ郊外の街でアンティークショップを
経営している。資産もある家のようだ。
シルヴィには夫がいる。そして金曜日、彼女はパリに出かける。時間通りに約束の場所で
マルク(ポールヴールド)を待つが、マルクは税務署でややこしい中国人に引っかかり
時間を食い、おまけに慌てて出かけたところ、クルマの中で心臓発作を起こししばらく
失神してしまう。それでも2時間強の遅れで到着するが、流石にソフィの姿は無かった。

その後、傷心のシルヴィは夫とアメリカへと渡っていく。姉妹が離れるのは初めてということで
二人の心は悲しい。そんな折、お店の税務問題で困っている妹のソフィは税務署の中で
マルクと出会い、マルクは税務の問題の相談に乗ってやることに。店でPCを叩き、
問題を解決、マルクはシルヴィに似ているソフィに、シルヴィの妹とはつゆ知らず、恋に
落ちていく。もちろん、姉とマルクのことなど知らないソフィも次第に心をマルクに寄せて
いくのだった。そして二人は結婚することに。

アメリカから帰ってきた姉は、妹ソフィに紹介された夫を見て驚愕した。あのマルクじゃないか。
マルク本人は、家にあった写真や、シルヴィにあげたライターなどから彼女が妹ソフィの姉で
あることは分かっていて、対面することが気が気でなかった。運良く?披露宴の間、姉は
飛行機が遅延して、遅くなってからの到着だった。

マルクの心の中のシルヴィを想う炎は消えておらず、シルヴィもまたそうであった。
いけないと思いつつひかれあう二人。シルヴィは一旦アメリカへと帰っていく。
シルヴィもさすがに最愛の妹を不幸にする訳にはいかないと思ったのだろう、それから
数年はフランスに戻らなかった。この間に、マルクとソフィの間には男の子が出来ていた。
マルクは勤務場所もパリから郊外の街へ異動願いを出して変わり、このまま秘密は
秘密のまま行くのか、と思っていた。

ところがソフィが、母の還暦と姉の40歳の記念パーティーを家で開こうと提案してきた。
それを聞いたアメリカのシルヴィは、当初行かない、と行っていたが、妹の強引な
誘いに折れて、再びマルクの前に現れることとなった。不幸の第二幕の開幕である。

賑々しくパーティーは始まったが、マルクとシルヴィはすぐにくっついてしまい、妹のスマホ
から姉の電話番号を盗み、メールをやりとりする。そして二人でどこかへ出かけて行ったり。
シルヴィもマルクも理性では、やってはいけないと十分分かっている、分かってはいるけど
運命の出会いは決定的だったのだ。
もう会わない、とシルヴィは決心するが、一方で二人でどこへ行こう、というマルクの絶望的な
誘いを受けてしまったり、二人の心は大いに揺れるのだった。

医者から過大なストレスは禁物、静かな生活を、と心臓のために言われていたマルクで
あったが、実際は心臓に悪いことばっかり。こうした中、家に帰ってきたマルクは
シルヴィからの電話に出ていた。椅子に座ったマルクはそこで心臓の発作に襲われ、
スマホを床に落とす。呼びかけるシルヴィ。そこに近づく妹ソフィ。マルクの様子がおかしい。
一方で床に落ちているスマホを拾い上げて、耳に当ててみると、聞こえてくるのはシルヴィの
声だった・・・。
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バッドエンドである。妹に不倫を知られた姉シルヴィは生きてはいられない、という
ニュアンスを漂わせて映画は終わるのだが、可哀想なのは何も悪く無い妹ソフィである。
驚くのは、マルクが妻や子供をほっぽらかして、シルヴィとどこかへ行こうとするところ。
そんなに絶望的な愛を選ばなくてもいいのにと。男ならソフィを幸せにして家庭を大事に
しろと。彼は税務調査員として市長の公金不正使用を暴き、裁判に持ち込むのだが、
その際、自分らの結婚の立会人である市長の不正を暴くことで、自分の不倫を暴かれたら
どうするつもりよ、とハラハラした。マルクという男は一見温厚そうに見えて、激情型
破滅型の人間だったのか。

ゲンズブールの存在感は素晴らしい。それとカトリーヌ・ドヌーヴも貫禄である。妹ソフィを
演じたマストロヤンニとは実の母娘である。 マルク役のポールヴールド、美人姉妹を
ものにしてしまうほどのイケメンではないが、それが故に妙にリアリティがあってそれなりに
良かったと思う。映像も美しい。最初に言ったように音楽の趣旨が分からない。
下の写真は、ラストシークエンスのシーンだが、叶うことなかったシルヴィとマルクの
パリはティュルリー公園での再会である。二人がこうであったらなんの不幸も生まれなかったと
言う事と、シルヴィとマルクの愛の強さを示していたのか。それにしてもソフィは可哀想だ。
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この映画の詳細は
by jazzyoba0083 | 2016-07-26 22:40 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)