シン・ゴジラ

●「シン・ゴジラ」
2016 日本 東宝 120分
総監督・脚本:庵野秀明  監督・特技監督:樋口真嗣  音楽:鷺巣詩郎
出演:長谷川博己、石原さとみ、竹野内豊、高良健吾、松尾諭、市川美日子、余貴美子、國村隼
    平泉成、柄本明、大杉漣、ピエール瀧、小出恵介、松尾スズキ、古田新太、光石研、他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
一部ネタバレを含みますのでご注意ください
東宝特撮シリーズはリアルタイムで観、ハリウッド版のゴジラもチェックしてきた私と
してはドキドキのシネコン。大きなスクリーンで夏休みの日曜ということもあったか、
上々の入りだった。年齢層はやや高め。
直近で見たのが2014年のギャレス・エドワーズ版「Godzilla」。渡辺謙さんが出た
やつ。前の爬虫類みたいなゴジラからオーソドック版に戻り、VFXもストーリー性を
重視した物語も、まあ良く出来ていたと思った。さて、庵野版。どうか。

面白かった。ゴジラファンも満足な出来ではないか。100%満足、とは参らない部分も
あるが、全体としてよく出来ている。VFXもそりゃ、大金かけたハリウッド張りとまでは
行かないけど、初のフルCGのゴジラも含めてよく頑張っていた。
1954年製初代ゴジラへのリスペクトは、冒頭の「東宝マーク」から始まり作中、そして
エンドロールに使われる伊福部昭氏のあの有名なゴジラのテーマ、そして「終」の文字
まで、しっかりと表現されていた。
劇場から「面白かったなあ」と思いながら出てきたのだが、何が面白かったのか、
考えてみた。構成が凄くシンプルであったこと、活劇として出来が良かったこと、
俳優陣が良かったこと、が挙げられよう。少年の心で本作に接しられたということは
初代のゴジラが持つ、プリミティブな分かりやすい魅力を持っていた、ということなのだ
ろう。すなわち、これまでコジラ映画なんて一度も観たことがない、という人にも
十二分に面白い。

冒頭から暫く続く会議の様子。政治家は責任を逃れ、役人は縦割りで融通がきかない。
会議ばかりで対応はさっぱり前に進まない。特に大杉漣演じる首相の主体性のなさ、
これらは、いざ対応したことのない災害などに対し、政治家や役人がさもありなん、の
現象であろう。これらに対して皮肉たっぷり。やがて乗り出してくる米国の有り様も
無理ばかり言ってくる様子が、これまたさもありなん、の風情。御用学者の有様も
思わずニヤリだ。役人の会議の手続きとかしっかりリサーチされていてリアリティが
あった。
自衛隊に武器を使わせて「除去」するときも、法解釈的に自衛隊が国内で武器使用を
することがどうなのか、などの侃々諤々も、現代の時事問題にフィットしかつ、
アイロニカルで面白かった。

初代のゴジラは原爆実験が産んだ時代の怪獣だった。そして本作のゴジラは、3.11の
原発事故が生み出した生物体であった。最終場面で、ゴジラは冷凍になるのだが、
まるで今の原発の冷凍土作戦のようだし、冷凍にしたまま死んではいない。そして
尾っぽの先には子どもと思しき姿が・・・。それは、そのまま原発の不気味さと表現している
と見られる。初代の持つメッセージが、60余年を経て、正しく伝えられたといえるのでは
ないだろうか。まず対決モノでないところがまず好ましい。

初代のゴジラは海に消えたわけだが、その末裔が原発の放射能を浴びて変容し、60余年
経過して現代の東京に現れたのだ(と私は解釈した)。なぜ東京に上陸したのか、それは
語られない。ひょっとしたら続編でその謎が解明されるのかもしれない。

一方、防衛省、自衛隊の全面協力を得て、自衛隊の活躍はかっこよく描かれる。かっこ
よすぎじゃねえか?と思うくらい。だが、自衛隊ではゴジラはやっつけることは叶わない
わけだな。ゴジラの動きを止めるのは、はぐれ科学者たちの一団だ。

見たことのないものの出現に慌てふためく政治家や役人。会議ばかり。役にたたない御用学者、
歯がたたない自衛隊、次第に被害は拡大するいっぽう。大きな口から放射線を吹き出す
ゴジラ。こうやって書いていると、その物語にはリアリティがあり、ゴジラと原発事故をそのまま
置き換えても成り立つなと。あれは福島原発のメタファーなのか?

役者陣が凄い。初めてちゃんと見た長谷川博己が良かった。周りの渋目の配役たちも
映画にしまりとリアリティを与えていた。固めの配役がむしろ石原さとみを浮かせてみせた
ほどだ。小出恵介、片桐はいりワンカット、松尾スズキ2カットなど、贅沢な使い方。
そしてエンドロールに出てくる野村萬斎の名前。さてどこに出ていたのか。

テンポが凄く良い。2時間という上映時間も非常に適切だ。カットが工夫されていて
アップを効果的に使い、絵の流れに変化を出していた。そして時々使われる劇画風な
演出。VFX以外の画作りも工夫されていた。ただ、中世音楽のようなコーラスのBGMは
いかにも感が強かった。

全体的にみてとても良く出来たゴジラ映画であり、邦画である。是非映画館の大きな
スクリーンでご覧になることをお勧めしたい。
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<ストーリー>
「ヱヴァンゲリヲン」シリーズの庵野秀明が脚本と総監督、「のぼうの城」「進撃の巨人」の
樋口真嗣が監督と特技監督を務め、世界的怪獣キャラクター“ゴジラ”を日本版としては
12年ぶりに復活させた特撮アクション大作。

謎の巨大不明生物“ゴジラ”の出現という未曾有の国難に直面した現代の日本を舞台に、
全てが想定外の中でギリギリの決断を迫られる政府関係機関の緊急対応の行方と、
ゴジラに立ち向かう人類の運命を、綿密なリサーチに基づくリアルなストーリー展開と
迫力の戦闘アクションで描き出す。

主演は「地獄でなぜ悪い」「進撃の巨人」の長谷川博己、共演に竹野内豊、石原さとみ。
そのほか大杉漣、柄本明、高良健吾、余貴美子、國村隼、市川実日子はじめ実力派
キャストが多数出演。

 東京湾・羽田沖。突如、東京湾アクアトンネルが崩落する重大事故が発生する。すぐさま
総理以下、各閣僚が出席する緊急会議が開かれ、地震や火山などの原因が議論される中、
内閣官房副長官・矢口蘭堂は未知の巨大生物の可能性を指摘し、上官にたしなめられて
しまう。しかしその直後、実際に巨大不明生物が海上に姿を現わし、政府関係者を愕然と
させる。
のちに“ゴジラ”と名付けられるその巨大不明生物は鎌倉に上陸し、逃げまどう人々など
お構いなしに街を蹂躙していく。やがて政府は緊急対策本部を設置するが、対応は後手後手に。

一方、米国国務省が女性エージェントのカヨコ・アン・パタースンを派遣するなど、世界各国も
事態の推移と日本政府の対応に強い関心を示していく。そんな中、様々な思惑が交錯する
関係機関をまとめ上げ、ゴジラによるこれ以上の破壊を食い止めようと奔走する矢口だったが…。
(allcinema)

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by jazzyoba0083 | 2016-07-31 11:20 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)